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  最新版:ペットボトルのリサイクル 11.04.2007
     環境問題のウソと正解 その3



 先週も北海道大学、東京モーターショウなどで講演などをしていたもので、全く暇なしの状態であった。今週から、多少は暇になることを期待したいが。

 なにはともあれ、ペットボトルのリサイクルを一応まとめなおすことにした。プラスチックのリサイクルは、ペットボトルの場合についてもそうだが、実にナマモノであって、古いデータはすぐ腐る。

解明すべき問題は、
(1)ペットボトルのリサイクルフローの現状。
(2)ペットボトルのリサイクルは資源の節約になっているか。
(3)ペットボトルリサイクルの金額面での評価。

といったところだろうか。

C先生:ペットボトルのリサイクルを取り上げ、上に挙げた項目にしたがって、順次検討していきたい。

(1)リサイクルフローの現状

C先生:ペットボトルのリサイクルについて、データが無いという話もあるが、実は、そんなことは無くて、PETボトルリサイクル推進協議会のデータはある。
http://www.petbottle-rec.gr.jp/top.html
それを信じられないという人(市議会議員や某教授)もいるが、
http://ameblo.jp/takeyan/entry-10046503898.html
もしも意図的な捏造がバレたら、それこそ「あるある大事典U」や「赤福」と同様になってしまう可能性があるので、そんなリスクは犯していないと信じる。ざっとみて、それほど妙なデータでもない。

A君:一方で、某教授が著書で使用したデータは、同協議会から次のような抗議を受けている

株式会社洋泉社発行の書籍「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」(武田邦彦著)の 13ページ図表1−1下部に「出所:PETボトルリサイクル推進協議会」と記されていますが、その図表1−1中「」にて示される「再利用量」データに関しては、一切弊協議会のデータではなく、弊協議会の名前を騙った捏造データであります」。
 「なお、PETボトルのリサイクルに関しては、(財)日本容器包装リサイクル協会のホームページおよび弊協議会の「PETボトルリサイクル年次報告書」をご参照下さい」。

B君:データ捏造で、番組がぶっ飛んだ「あるある大事典U」の担当者は、「テレビだと駄目で、単行本なら問題にされない。これは不公平だ」、とぼやいているのでは。

A君:それでは、同協議会が御薦めのPETボトルリサイクル年次報告書2006年版を見てみましょう。
http://www.petbottle-rec.gr.jp/nenji/2006/index.html
 統計データだけならこれが良さそう。
http://www.petbottle-rec.gr.jp/data/da_tou_you_f.html

B君:まずは生産量は、2004年に指定表示製品といわれる清涼飲料、しょうゆ、酒類用が50万トンを超して、やっと少し飽和傾向になっている。リサイクル率などを考慮する際に分母となる生産量は、2005年で53.26万トン

A君:そのうち、市町村が分別収集した量が25.20万トンで47.3%。市町村が再商品化に回した量が24.40万トン。これは、45.8%。

B君:これだと半分を超していない数字だが、実は、事業系というルートでの回収がある。例えば、新幹線を降りてペットボトルを捨てると、それは、事業系というルートに入る。そして、その事業系が9.73万トンほど回収されている。

A君:となると、(25.20+9.73)/53.26=65.6%が回収率

B君:どこかに消えたペットボトルが18.33万トンほどあることになる。これは、焼却・埋立、輸出といった可能性があるが、その詳細は不明。

A君:以上が収集量。リサイクルは、指定法人ルート(容器包装リサイクル協会ルート)と自主ルートの2種類があるようで、指定法人ルートだと、引き取り量が16.99万トン、再商品化量(リサイクルされた量)が14.30万トン。

B君:ここでも若干のロスがあることが分かる。汚れなどが激しい部分は、恐らく焼却されているのだろう。

A君:指定法人ルートに入ると、PET樹脂ペレットの形までリサイクルされて、そしてさまざまな用途に使われる。

B君:ただし、そこにボトルという記述があるけれど、これは、清涼飲料用などのボトルではなくて、台所用洗剤用など。

A君:以前は、帝人ファイバーが、化学分解法と呼ぶ本当のケミカルリサイクルを使って、飲料用ペットボトルにしていたのだけど、このところは、どちらかというとポリエステル繊維からのリサイクルで行くことにしたようで、ペットボトルの処理は、かなり少ないらしい。

B君:ボトルと繊維は良いとしても、シートといっても分からないかもしれない。中国では、ブリスターパックという包装用に使われる。日本だと、むしろ事務用品。透明フォルダーとか。

A君:いずれにしても、指定法人ルートに乗ったペットボトルは、用途までかなりきっちりと把握されている。

B君:それ以外のルートだと良く分からないが、一部はペットボトルを単に粉砕した形のフレーク、あるいは、場合によるとボトルのままで輸出されている可能性もある。
 ボトルのままだといくら有価物だといっても明らかに廃棄物でもあるので、バーゼル法に引っかかる可能性もある。

A君:輸出総量を協議会が推測していて、それによると21.1万トンになるとか。これは、生産量の40%弱ということになる。

B君:中国でのプラスチックの需要は、このままだと、まだまだ続くだろう。これをどうみるか。意見はさまざまあるだろう。

A君:廃棄物の輸出にならなければ、良いのでは。
 いずれにしても、ここまでのフロー情報を図にしてみました。左から右に流れていく。輸出がかなり多いことが目立ちますが、この輸出されたものは、リサイクル製品の製造に使われているでしょう。焼却や埋立されているものも皆無ではないですが、その割合は、ボトルのままで焼却か埋立分が15.2%程度、そして、リサイクル工程で出る残渣が焼却されていますから、合計18%ぐらいではないか、という推定になります。




図 ペットボトルのリサイクルフロー
 焼却や埋立されている量は、リサイクル工程の残渣を含めて、合計18%ぐらいだと推定される。


C先生:これでフローの実体が大体分かった。このようなフローによって、果たして環境負荷は、例えば、CO2排出量やエネルギー消費量は下がっているのか。これが次の問題。すなわち、
(2)ペットボトルのリサイクルは資源の節約になっているか、
を検討しよう。

A君:それには、かなり細かいLCA的な検討を行う必要があります。容器包装に関する最新の、といっても多少前になりますが、財団法人政策科学研究所の「平成16年度容器包装ライフ・サイクル・アセスメントに係る調査事業報告書−飲料容器のLCAに係わる実態調査−」がそれです。
http://www.ips.or.jp/05kanko/lca_2004.pdf
 ただ、この報告書では、他の素材の容器も取り扱っているために、ペットボトルに対する記述が十分では無いです。
 どうやら、同報告書に、別の図があるようで、それを協議会が引用していますので、ここで借用してしまいましょう。


図 ペットボトルのリサイクルの効果
 エネルギー消費量、化石資源消費量、廃棄物発生量、CO2発生量、NOx排出量、SOx排出量がいずれも低下することが分かる。特に化石資源消費量の節減が著しいが、それは、リサイクルによって作られる製品のために使用される資源量が節約できている効果が大きい。


B君:かなり明らか。特に、化石資源、この場合だと石油といってよいが、その節約になっていることが明らか

C先生:リサイクルを知るものにとって、常識とも言えることがある。リサイクルのループは、できるだけ内側を回るものが優れている。リユースというループは、リサイクルループよりも内側にあるので、さらに優れている。
 そして、リサイクルに限れば、理論的には、マテリアルリサイクルがもっとも優れている。それは、樹脂を樹脂として回すことは内側だから。現在のペットボトルのように、かなり混じり物が少ない状態で集められるものは、マテリアルリサイクルがもっとも資源の節約になる。

A君:しかし、残念ながら、飲料・食品用ボトルにリサイクルするには、これでも品質が十分ではない。
 だからといって、リサイクルの意味が無いということではない。

B君:アルミ缶はアルミ缶に戻る。しかし、蓋には戻らない。これはリサイクルによって、胴の部分に使われるMnという金属が入ったアルミになってしまうから。蓋は、簡単に切れるように、Mgが入っているが、それは、リサイクルプロセスで酸化物になって取り除かれる。アルミですら、リサイクルで蓋には戻らない。

A君:鉄では、スチール缶に戻しているのはほんのわずか。それは、リサイクル材の他の用途が圧倒的に多いから。スチール缶だって蓋はアルミだ。しかし、これは幸いにして鉄のリサイクルの妨害にはならない。

C先生:スチール缶のリサイクルが行われている形態と、ペットボトルのリサイクルの形態は、割合と似ている。多くの場合、2サイクルしか行われない。鉄の場合が多少良いのは、第二世代の製品が建設材料だったりして、その寿命が長いことか。ペットボトルの場合、第二世代の製品も余り寿命は長くない。

A君:ペットボトルのリサイクルの理想は、有る部分をペットボトルに戻すことでしょうね。

B君:それには、すでに出てきた化学分解法。これは、大変に精緻なプロセスなので、リサイクルループが外側にあって、資源の節約量はやや少ない。

C先生:そのデータを以前検討したことがあって、それによれば、こんな状態。




図 ペットボトルの化学分解法によるペットtoペットリサイクルでの資源節約量。大体、ペット樹脂になる石油原料分の節約にはなる。


A君:しかし、残念ながら、リサイクルコストが高い。

B君:だから、化学分解法は、経営的に苦しい。その他プラのマテリアルリサイクル優遇を止めて、そのかわり、ペットボトルの化学分解法リサイクルを進めるべき。現在よりもリサイクルコストはもっと高くなるが。

C先生:コストの話などになると、それは、次のテーマだな。しかし(3)ペットボトルリサイクルの金額面での評価は、しばらく後にして、ここで某教授の本と比較するところになるのが普通だろうが、あえて手にしない。となると、某教授が何を主張しているか、それを探さなければならない。一つ、良いものが見つかった。それは、通販生活の秋冬号。そこで、某教授と森口祐一氏の対談がある。司会者は、佐藤泉弁護士。

A君:ここで(1)マテリアルフローに関して某教授が主張しているのは、

自治体の分別収集量 30万トン
国内リサイクル      3万トン
輸出と焼却        27万トン

B君:これまでの協議会のデータ、すなわち、国内リサイクルは14.3万トンという推定とかなり違っている。もう一つは、輸出されるということがリサイクルにはならないと主張しているからのようだ。

A君:Webでよいものが見つかりました。東洋経済オンラインマガジン。
http://www.toyokeizai.net/online/magazine/story02/index.php?kiji_no=38
合計6回の連載記事がありました。関連しそうな部分を拾い出しました。

某教授:「この日本人の「誠」でペットボトルのリサイクルを計算します。今、捨てられているペットボトル50万トンのうち、半分の約25万トンが海外に移動します。でも、日本は自分の廃棄物を自分で処理すると約束し、国際的にも廃棄物の国外搬出は「してはいけないこと」になっています。だから「誠」から言うと「海外に持ち出されている使用済みペットボトルはリサイクルに入れない」という事になります」。

A君:海外に持ち出され量は、協議会は21.1万トン程度ということで、多少違う程度。問題は、「海外に持ち出されたものが廃棄物か」、ということとこれは、後ほど再検討。しかし、いずれにしてもリサイクルで14.3万トンが国内で製品になっているが、これを「リサイクルされたのが3万トン」と表現するのは、いかにもひどい曲解。この3万トンが、協議会から「捏造」だとされている数値

B君:製品になったものがまた輸出されて、国内に3万トンしか残っていないという推定をしたのだろうか。実は、自分でも「しまった」と思っていて、「誠」で言い訳をしているのが実情ではないか。

A君:いや言い訳にもなっていない。その3万トンを「自作データ」と書くと読者に信用されないから、ペットボトルリサイクル推進協議会の名前を意図的に使ったデータ捏造行為にでた。この捏造に対して、某教授は公式に謝罪したのだろうか。本当に「誠」が重要だと思うのなら、まず謝罪文をどこかに公式な形で掲載すべきだ。

B君:やけに強い態度だな。今日は。

C先生:某教授によれば、日本政府は、国民に対して、某教授:「資源の節約のために国はリサイクルをします。だから、皆さんは自分のごみは分別して出して下さい」と呼びかけた。これは事実。容リ法にはそのような仕組みが組み込まれている。
 しかし、東洋経済のウェブでは、某教授:「日本は自分の廃棄物を自分で処理すると約束し、国際的にも廃棄物の国外搬出は「してはいけないこと」になっています」
 日本がバーゼル条約を批准しているということであれば、その通りだが、容器包装を全部自前で最後の最後までリサイクル処理するという約束などはしていない。むしろ、最近になって、やっと国内処理を原則としようとしているぐらい。
 そして、結論として、某教授:「資源の節約という当初の目標を達成したリサイクルの量だけを推定しました。それが3万トンです」
 これに対する本HPの見解は、以下のようになるだろう。
 国内でリサイクルした量が14万トン。しかも、国外に出て行くときでも、自治体から自主ルートで出たペットボトルは破砕され、洗浄されて、フレークという状態にまではなっている。なぜならば、自治体も、廃棄物の輸出だと言われるのが嫌だからだ。フレークを廃棄物と言うか、それとも資源というか。これは、フレークに汚れがほとんど無いものであれば、現状の廃棄物処理法によれば資源だ。事業系からのペットボトルも、自治体自主ルートとそれほど変わりは無い処理が行われていると思われる。となると、廃棄物的な状況で輸出される可能性があるのが、不明ルートからの3万トン程度か。となると、国内リサイクルで14万トン余、輸出されたものも18万トン程度は資源としてリサイクルされたと認定するのが、妥当だと思われる。結論:「合計、32万トンがリサイクルされた」と推測される

A君:このあたりの状況を業界はもっともっと明快に、しかも証拠をもって示す必要がありますね。

B君:極めて明快な説明が行われないと、某先生などに突っ込まれても、反論できない。そして、市民には、弱みがあるのだろうと思われてしまう。

C先生:3万トンしかリサイクルしていないなどとは、何をどう捻っても根拠がない。この主張に同調する人は何%いるだろうか。
 そろそろリサイクルの効果に移ろう。
(2)ペットボトルのリサイクルは資源の節約になっているかに対する某教授の主張だ。

A君:まずはこれから。
 某教授「またリサイクルは資源の無駄を無くすためですから、リサイクルをすることによってよけいに石油を使った場合も、私はリサイクルから除きました。ところが公的な統計は「海外でも、資源の浪費になっても儲かるならリサイクルとして良いじゃないか。」という基準ですから、私の数字とはちがってくるのです」。

B君:待てよ。さきほど3万トンという数字だが、「かなりの量を海外に持ち出したから除外した」、と主張していたのに、今度は、「石油を余計に使った場合を除外して」こうなったと言っている。ロジックが変わっている。

C先生:本質的なところを突っ込むと、話題をどんどんとずらして、すれ違うことで逃げる、というような感じ。以前に対談したときに、正にそんな感じを得た。「一貫性が無くても、その場限りで通用するロジックで押す」という方針のようなのだ。

A君:この件、某先生の逃げ口上が読めますね。「もともと廃棄物なんだ。だから、輸出できないし、廃棄物なんだからリサイクルしようとすれば、資源の無駄になるだけ。だから、廃棄物ではない3万トンだけがリサイクルとして認定できる」のだ。

B君:さすがに相手のロジックまで読めるようになったか。それにしても、その3万トンの中身が何かを知りたい。

A君:そして、某先生の次の結論がこれ。
 某教授:「この日本で、ペットボトルがリサイクルされていないというのは、まるで現代の怪談話のようです。これほどみんなが分別して、駅でも学校でもペットボトルのリサイクルの箱が設置されていて、お金も1年で600億円も使っています。それなのに、100本のペットボトルのうち、何とか用途があるリサイクル品は6本がせいぜいで、残りの94本は焼却されているか、それに近い形で処分されているのですから」。

B君:「焼却されているか、それに近い形で処分」されて、現実にはリサイクル製品ができている。残念ながら、2サイクルではあるのだけど。しかし、立派に資源の節約にはなっている。

C先生:「なんとか用途があるのは6%がせいぜい」が正しいとしたら、中国がどうしてこんなにもリサイクルペット樹脂を欲しがるのだろうか。

A君:そろそろこれをきっかけに、三番目の検討事項である、
(3)ペットリサイクルの金額面での評価、に行きますか。

C先生:まずは、最初に共通理解にしなければいけないことが、自治体からの独自ルートあるいは自主ルートと呼ばれるところから、ペットボトルは海外に流出しているということは、すでに解析した通り。それは、指定法人ルートよりも、廃ペットの購入価格が高かったからなのだ。しかし、次の図を見てもらえば分かるように、19年度からは、指定法人ルートでも38900円ほどの有償になった。すなわち、自治体がペット処理を委託すれば、1トンあたり38900円に近い金額を手にすることができるのだ。




図 指定法人におけるプラ落札価格の推移


A君:昨年が1トンあたり17300円。それが今年は38900円。

B君:ここ2年ぐらいでペットボトルを巡る状況は完全に変わった。ところが、某先生の論理は、最初に「リサイクルしてはいけない」という著書(2000年1月発行)から基本的な論理を何一つ変えていない

A君:2000年だと、ペットボトルは、処理費用が71400円/トンも掛かっている。ということは、それだけの札束が乗った状態で、処理業者はペットボトルを引き取った。ところが、現状では、処理業者は、38900円に近いお金を払って、やっと指定法人からペットボトルを引き取ることができる。

B君:某教授:「お金も1年で600億円も使っています」。この根拠はいつごろのことを言っているのだろうか。

A君:まずは、指定法人経由の場合。2000年以降、ペットボトルの委託単価は8.9万円/トンから、2005年度の3.1万円/トンまで低下。それに再商品化量を掛ければ、最高が2002年度の84.5億円。2005年度だと44.6億円。600億円には遠く及ばない。

B君:この費用を負担したのは、事業者ではあるが、それは間接的な話で、最終的には消費者が負担している。しかも、これが費用のすべてではない。

A君:加えて、市町村が収集と貯留するための費用がある。1kgのペットボトルを収集するのに、100円は掛かるでしょう。自治体による収集には、昔からの「雇上」とかいったシステムがあって、なかなか安くは上がらない。400円掛かっているという話もあるが、これは極端なのでは。
 市町村が集めた量が25.2万トン、1kg100円とすると、252億円、1kg400円も掛かるとすると、1008億円

B君:なんだ。某先生の根拠もそれほど違っていないな。この500億円程度の金額は、住民税としてまさに住民が負担している、というのが正解か。

A君:53万トンのペットボトルが作られているとして、500mL用で1本25gだと仮定すれば210億本。1本あたりにすれば、3円程度。

B君:総計600億円のリサイクル費用が掛かっているとしても、国民一人あたりにすれば、年間500円程度。これは、ペットボトルのリサイクルというものを通じて、資源節約の重要性を勉強し、将来の持続可能な社会に向かうためのメンタリティーに変える準備をしていると思えば、それなりの費用かもしれない。

C先生:しかし、問題もある。この市町村の負担を、本来は事業者が負担すべきだというのが、市民運動の根幹的主張になっている。それには、ある条件で合意できる。事業者負担にすれば、ペットボトルを買った人が公平に負担することになり、もしも住民税で負担をすれば、なるべくペットボトルを買わないという人も、どんどんとペットボトルを使う人も、同じように負担することになる。これでは、買う際に、その負担を考える仕組みになっていない。

A君:現在の仕組みを改善して行くことでは、到底実現できないですね。かなり根本的に考え直さないと。

B君:これが毎度主張している、容リ法の最終の形。というよりも、材料リサイクル法に変わるべきだ。
 プラスチックなどすべての材料が作られたときに、そのゴミになりやすい部分について、課徴金を掛ける。そして、その課徴金によって、市町村が収集のために負担する50%以上、例えば、60%を負担する。ただし、市町村は、すべての収集費用を公開して、もっとも合理的な方法で収集をしなければならない。さらに、課徴金によって、収集されたプラスチックをリサイクル業者が入札で引き受けてリサイクルし、もしも、リサイクル不能の場合には、自治体が焼却処理をする。

C先生:そんな感じだ。いかにも過激に聞こえるかもしれないが、これが、実は、現在のフランス流に近い。リサイクルというドイツ・ドイツという声が聞こえることが多いが、実際、フランス流がなんとも合理的だったりする。ドイツのDSDシステムはどうも欠陥システムのようだ。

A君:最後にもう一つ。
 某教授:「さきほどのTV番組で私が「リサイクルに出されたペットボトルは1本もペットボトルになっていません」と言うと、スタジオから「えーっ!」と驚きの声が上がり、それを聞いた私の方がこんどは内心「えーっ! みなさん、ペットボトルになっていたと思っていたの!?」とビックリする始末です」

B君:これは、リサイクルをいかにも完璧にやっていることを言いたがる関係者が多いことが問題だったのだ。ペットボトルをペットボトルに戻すことは不可能ではない。化学分解法を使えば良い。あるいは、一時期、スイスで実験をやっていたように、リサイクルペットを新しいペット樹脂でサンドイッチ構造にして、ペットボトルに戻せばよい。この方法だと、透明でキラキラしたペットボトルを作るのは無理なのだが、容器などはそんなもので十分。

C先生:化学分解法について帝人ファイバーが努力していたことは認めるが、その発表を某副社長がある会合でやったときに、余りにも良さそうな数値(正確なところは覚えていないが、1/4ぐらいの資源消費でリサイクルできるようなもの)だけを出すものだから、文句を言おうと思ったら、さっさと逃げられた経験がある。やっていることは立派なことなのだから、多少控えめになるが、正直な数値を出せばよいのに。

A君:そんな態度が「リサイクルはすばらしい」と勝手に思い込む市民ができる大きな原因。そして、その弱点を某先生にキレイに突かれる

B君:ペットボトルのリサイクルは、実情を良く知り、結果的に、「リサイクルすれば、資源浪費の罪が消える訳では無いことを悟る」、といった教育的効果があれば、それでよしとする。「しかし、ペットボトルはリサイクルをしないよりは、した方が遥かに良い」。これが個人的見解。

C先生:ペットボトルのリサイクルに問題無しとはしないが、日本のペットボトルリサイクルは世界に冠たる成功例ではないだろうか、と思っている。成功しすぎて、ペットボトルからのフレークなどでも有価になった。スチール缶、アルミ缶がもともと容リ法の枠外であるように、収集すれば有価になる容器は、容リ法の枠組みから外すべきなのだ。しかし、ペットについてすぐにそうすると、困る事業者も出るだろう。だから、5年後にはペットは容リ法の枠から外すことを、国はそろそろ宣言すべきだ
 某教授:「新しく作れば10円、リサイクルすれば30円。だからリサイクルすると新品を作るための石油の3倍が必要」は、先ほど紹介された、2000年1月に発行された「リサイクルしてはいけない」における主張で、未だに固執している。この段階では、人件費を含めていると堂々と記述しているのだが、周囲から色々と指摘されて、ちょっとずつ変わっていてるのだが。いずれにしても余りにも馬鹿馬鹿しい議論なので、通販生活における森口先生の反論、「収集にもっとも費用が掛かるが、そのために使う燃料(石油)は、ペットボトルを新たに作る際の10%以下。うまくやれば、1%でも可能」、に任せることにする。
 ただし、この通販生活は、前の夏号で某先生の主張に近い記事を作ったものだから、冬秋号の編集の際、トーンを100%変える訳にはいかなかった。そのため、佐藤弁護士の発言が、両者の意見をとりなすような中立的であったように読めるのだが、本当にこのように中立的なものだったのか、かなり疑問だ。森口氏と某先生の意見を読んで見て、某先生を擁護できる部分など、どこにも無いのだから。