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 3代目プリウスの印象 一応のまとめ     06.14.2009
     



 これで、納車から2週間以上経過。走行距離は、やっと500kmだが、なんとなく、全貌が分かったので、一応のまとめとしたい。

1.2代目の欠点・特性と3代目の改良・変化

(1)2代目「冬、寒い」、3代目:結論は先送り

 2代目の相当に優れたエコ車であった。しかし、エコ車故に、多少犠牲になる部分があった。その一つが「冬寒いこと」であった。

 ヒーターを入れれば良いではないか。普通の車しか所有したことのない人はそう言う。ある講演会の控え室で同席したトヨタのかなり偉いある人に文句をいったときにも、そんな返答だった。

 ヒーターを入れるとどうなるか。室内の温度が設定温度になるまで、エンジンが回る(アイドリングより多少速めの回転数)のである。そのため、最初の10分間ぐらいの燃費が普通の車並になる。

 もしも目的地まで10分で到着してしまうのならば、エンジンが回る状態でプリウスを運転すれば、エコ的メリットは全く無いことになる。

 そこで、燃費を優先すれば、最初の10分間程度は、寒さを我慢することになる。「ばかばかしい!!」。その通りかもしれない。
 今回、3代目の納車がこの時期なので、冬になるまでその実態は分からないが、3代目には、期待の新コンセプトが持ち込まれている。

 それは、「冷却水はエンジンを冷却するためにあるのではない」というコンセプトである。これまでの普通の車は、アイドリングを無駄だと思わない設計になっていた。一方、2代目以後のプリウスはアイドリングをしないのが普通である。初代は、夏にエアコンを入れるとアイドリングをしたのだが、2代目から、駆動用バッテリーの電気で動かす電動エアコンになったため、エアコンを動作させても、アイドリングを継続することは無くなった。

 アイドリングをする車では、常に冷却をしていないとオーバーヒートしてしまう。したがって、冷却水やラジエーターはエンジンを冷却するために存在していた。

 アイドリングをしない2代目でも、実は、冷却水は冷却水であった。ただ、冷却水として機能する場合は極めて限られていた。

 3代目になって、冷却水の役割は完全に変わった。そこに貯められている水は、エンジンの温度をある適切な温度範囲内に保つために存在している。そこで保温水と呼ぶことにする。

 3代目には、エンジンの排ガスを使って、保温水を「加熱する」ための排熱回収システムが組み込まれ、所定の温度範囲に速やかに到達するような工夫がなされた。

 いわばエンジンを反応容器として取り扱っている。最適の温度で動作をさせるために、温度が下がれば排熱によって加熱し、温度が上がれば、ラジエーターによって冷却するのである。

 恐らく、このシステムの導入で冬の寒さもかなり解消されたのではないか、と期待している。

 絶対的な解決法だと思っていたシートヒーターは、最上位のGグレードのツーリングモデルの皮シート仕様にのみ設定された。太いタイヤには興味が無いので、このグレードを選択しなかったが、もしも寒ければ、小さな電気座布団を買う予定である。

 もう少々高級仕様になることを許せば、冬もエアコンという手が無い訳ではない。しかし、北海道では暖房もエアコンでは苦しいだろう。プリウス程度の価格の車では、現状のような解決法がベストのように思える。


(2)2代目:近所をちょこちょこ走ると燃費が悪い。3代目:かなり良さそう。

 これは、コールドスタートの燃費が悪いことを反映するものだったと思う。

 そのため、排熱回収システムによる保温水の温度制御がかなり有効に機能するのではないだろうか。

 実際、往復3.5km程度のスーパーへの買い物だと、これまでのところ17.1km/L(朝一のコールドスタート)、19.0km/L(ややウォームスタート)と、なかなかの成績である。

 同一条件を計ったことはないが、2代目だと、13〜14km/Lだったのではないだろうか。


(3)2代目:高速燃費が良くない。3代目:まずまずの改善。

 プリウスは普通の車に比べれば、高速での燃費は不利である。モーター、バッテリー、コントローラをエンジン以外に搭載しているからである。重い車の燃費は悪いのが当然である。

 プリウスのエンジンは、アトキンソンサイクル(ミラーサイクルと狙いは同じだが、構造がもっと複雑)という特殊な高膨張サイクルで動いている。そのため、最適状態だと効率が高いのだが、低速トルクはスカスカであり、高回転時のパワーも出にくい。

 平坦な高速道路のような状態では、モーターの出番も少ないし、そもそも、モーターは高回転状態になるとトルクが出ない。モーターの最大トルクは理論上0回転で出るからだ。

 とういう訳で、プリウスも、120km/hを超すとただの車だった。空力性能が良い分、多少ましといった程度の性能であった。
 3代目では、エンジンが1800ccになった。どうやらガソリンエンジンというものは、気筒体積が大きい方が効率が良いらしい。それなら単気筒エンジンが最良なのか。どうやら理論的にはそうらしい。3代目では、エンジン排気量を増やすことによって、トルクを稼ぎ、より低回転数で高速走行をできるようにしたようだ。

 東名の東京に近いところは、結構登り降りがあるが、平均100km/hをキープするような走り方で、24km/Lは出るようになった。2代目では、まあ20km/Lギリギリといったところだった。


(4)2代目:電池をフルに使わない。3代目:電池はいつも空になる。

 プリウスは初代から3代目に至るすべてのモデルで、ニッケル水素電池を使っている。サンヨーのエネループと同じタイプの二次電池である。

 エネループが出現するまで、ニッケル水素電池は、メモリー効果があるから継ぎ足し充電ができないとか、自己放電が多くて使わないのにそのうち電気が失われているという状態が起きるのが普通だった。

 ニッケル水素電池の進化は、初代プリウスが発売された1997年以降、相当に進んだ。そして、2005年11月にエネループが発売され、完成の域に到達した。

 初代プリウスの発売当時はもちろんのこと、2代目プリウスが発売された2003年でも、まだまだニッケル水素電池は未熟だった。

 そのためもあるだろう。所有していた2代目プリウスも2003年生れだったので、ニッケル水素電池は腫れ物に触るような使い方をされていた。

 ニッケル水素電池が本来もっている充放電の全能力の1/3〜1/2ぐらいしか使っていなかったのではないだろうか。しかし、そのために、2代目プリウスの電池は極めて長寿命だった。タクシーに使用しても、20万キロ以上もつらしい。また、10年程度はもつようで、価格的にもかなり安価になっていた。

 2代目プリウスにはEV(電気自動車)モードがあり、エンジンを完全に止めながら、1〜2km程度なら走行可能だった。しかし、電池に無理を掛けないという思想で作られていたため、アクセルを踏み込むと、比較的負荷の低いところからエンジンが作動するようになっていた。

 通常のモードで走っていても、バッテリーの充電状態をできるだけ一定に保つような制御がされていたように思う。電池と言うよりも、コンデンサーといった使い方だった。

 例外は高速走行時で、高速道路を出るときには、大体電池は満タン状態になっていた。少なくとも、電池を空に近い状態(実際にはまだまだ放電可能な状態)まで使うということは極力避けていた。

 3代目になって、電池の充電レベルがかなり上下するようになった。どうやら、電池をフルに活用するように制御法が変えられているように思える。

 ちょっと走ってみただけでも、EVモードを多用するようになったことが分かる。要するにエンジンが止まっている状態が長くなった。これが3代目の燃費改善の主役なのかもしれない。

 恐らく、ニッケル水素電池の信頼性がかなり高くなったのではないだろうか。その自信が制御法を変えさせたのではないだろうか。
 そのためだろうか、3代目になって、低速燃費が良い。環七を走っていても、混んできて信号にときどき引っかかるが、速度が遅くなってからの方が燃費がよい。25km/Lを切らない走りができるだろう。


(5)2代目:いつでも同じ走り。3代目:ときには変わった走り方ができる。

 2代目プリウス燃費マニアのHPなどを見ていると、同感できることがある。極限まで燃費競争をしていると、時に、切れて車をぶっ飛ばしたくなることがある。

 2代目でもアクセルを思い切りふかせば、実は相当速かった。しかし、何かインパクトが無かった。

 プリウス以外のトヨタのハイブリッドは、実は、燃費を稼ぐためというよりも、速く走るためにハイブリッドシステムが組み込まれているような気がする。

 3代目になって、モードのチェンジができるようになった。PWR(パワー)モードが出来たので、「気が向くと飛ばし屋」用の車にもなった。もちろん、燃費は下がるが、それでも郊外なら20km/Lを若干切る程度で相当速く走れるのではないか。

 通常モードよりももっと燃費を稼ぎたいときもある。そのとき用に、ECOモードができた。まだ、どのような状態になっているのかよく分からないが、少なくとも、加速はかなりとろい。しかし、それなりに踏み込めば、まあまあ走るので、普段からECOモードでも良さそうである。


(6)2代目:燃費マニアの好燃費モードを実現するのが難しい。3代目:自動的に行われる。

 2代目プリウスには、相当数の燃費マニアが存在していた。彼らの走り方は、大体こんな風である。

 発進と同時にバッテリーに充電が出来る程度のエンジン負荷で加速し、ということは、かなり高負荷状態だけど、効率が低下するほど過度に高負荷ではない状態で、比較的速やかに加速する。そして、目標の速度に到達したら、EVモードに切り替えるか、アクセルワークでエンジンを止めて、できるだけ一定速度を保ちながら微妙なアクセルワークで走行する。そして、赤信号になって速度を落とす状態になったら、できるだけ徐々に速度を落とし、発電される電力を効果的にバッテリーに貯める。もちろん、先読みを十分に行って、赤信号で止まらないように走る。といったテクニックらしい。他の車に迷惑を掛けそうで、とても真似はできないが。

 3代目は、どうも、自動的にこのような走り方をするように制御が変わっているような気がする。ECOモードだけの話かもしれないが。


(7)無給油で何キロ走れるか? 都内だと2代目850km、3代目1100km?

 2代目での話である。2004年の5月の連休明け。気温も上がり、そろそろ燃費が良くなるころのこと、無給油1000kmを達成するために、わざわざ東北へ温泉旅行を兼ねてドライブに出かけた。空いた道を選んで走るためである。都内だけでは全く無理だからである。

 しかし、3代目は若干の渋滞であれば、余り燃費が落ちないようだ。都内の一般道だけを走っても、無給油1000kmが簡単に達成できるような気がする。

 ガソリンタンクが45Lなので、「22.2km/Lを超せば」、が具体的な条件だが、なにか簡単そうに思える。

 都内一般道だけを普通に走って無給油1200kmが目標になり得る。

 都内だと、燃費に利くのが確かにアイドリングストップである。中谷明彦氏は、
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/column/20090601/101521/
で、トヨタ式ストロングハイブリッド車の弱点という記事で、プリウス以外のトヨタのハイブリッド車の燃費が良くない。一方、スマートのマイクロハイブリッドは、アイドリングストップをするので燃費が良い、という全く矛盾した記事を書いている。最近の自動車評論家の質に満足ですか? 皆さん!?

 プリウス以外のトヨタのストロングハイブリッドも完璧にアイドリングストップをする。しかし、燃費がそれほど良くないのは、基本思想の違いである。

 例外はあるものの、エンジンは排気量を含めてそのままで、多少デチューンしてはいるが、ハイブリッド化することで、走行性能が強化されているのだ。場合によるとエンジンの排気量がアップしているものもある。

 一方、プリウスのエンジンは、すでに述べたアトキンソンサイクルという特殊な高膨張型の構造で燃費最優先の設計だし、しかも、モーターが頑張るハイブリッド車専用エンジンなので、エンジンの機械的強度が低くても大丈夫なので、相当軽量にできているのではないか、と思われる。

 ところで、アイドリングストップを完璧に行うには、エアコンを電気で駆動する形式にしない限り無理。要するに、インサイトの方式では夏にエアコンを動かすとエンジンが止まらないはずだ。

 2代目の話だが、夏休みの中央高速で大渋滞に巻き込まれたとき、エンジンは全く動作しないで、エアコンは連続30分程度、全く問題なく動作するということが確認できた。

 夏の都内で20km/L以上の燃費を実現しようと思ったら、電動エアコンを装備した車以外は無理。エアコンを我慢するということもエコ車の場合にあり得るが。それにしても、3代目では、エアコンの効率も上昇したように思えるので、確認してみたい。


2.3代目の出すメッセ−ジ

 2代目までも、確かにハイブリッド車だったし、EVモードもあった。しかし、やはり「ガソリンで走る車」であった。

 3代目になって、「ガソリンを使ったEV車」というメッセージに変わった。できるだけ、EV車として走ろうとする。そして、エンジンが稼働すると、もっとも効率の高い方法で充電も同時に行う。

 これは、明らかに、「次はプラグイン・ハイブリッド車になるのだ」、というメッセージだと解釈できる。

 2代目でも、標準の2倍ぐらいの電池を搭載すれば、プラグイン・ハイブリッド車として使えるという実証テストを行っていたから当然でもある。

 「ガソリンを使ったEV車」=「次はプラグイン・ハイブリッド車になるのだ」。これが第1のメッセージである。

 すでに記述したように、燃費向上のためにエンジンを拡大するとか、冷却水が保温水に変わっているように、これまでの車に関するすべての常識を覆すような再検討が行われている。

 燃費を上げるには、細かいところまですべて手を入れない限り無理。そこで、第2のメッセージが、「単にハイブリッドにすれば良いというものではない。システム全体としての効率化が不可欠」というメッセージであろう。

 今回、今後10年間程度に有効な燃費改善技術がほとんどすべて、3代目には仕込まれた。

 ということで、3代目は、第3のメッセージとして、「3代目は、過去の車から未来の車へのターニングポイントである」、という総合的なメッセージを出している。


3.初代、2代、3代の進歩から未来を読む

 新聞によれば、日本ではすでに、ハイブリッドの次の段階が進み始めているとのこと。7月4日には富士重工が、そして5日には三菱自動車が電気自動車を発表した。価格的にはまだまだ高価であり、三菱のアイミーブは、459万9千円だという。

 メディアは、ハイブリッド車の次に、究極の未来車である電気自動車が来ると思っているようだ。その理由は、なんと言っても、見かけ上、何の排出ガスを出さない車だからだろう。燃料電池車の場合にも、水しか排出しないといって持ち上げたぐらいである。車の排気ガスが、現状でもすでに満足できるレベルにあること、二酸化炭素排出はトータルにみて少ない方が良いが、走行中に全く出さないということに特別の意味はないことに気づいていない。そもそも環境問題の答えに100点は無意味なのである。なんらかの減点要素が必ずあるからだ。

 メディアの思い込みの原因のひとつは、自動車の元祖である米国GMがシボレー・ボルトという電気自動車を未来車として位置づけているからかもしれない。ところが、このシボレー・ボルトは、実は、ハイブリッド車なのである。

 ハイブリッド車といっても技術は多種多様である。インサイトはエンジンとモーターが直結していて単独では動作しない「パラレル型」、プリウスは、モーター単独でも、またエンジンとモーターが協調しつつ効率的に走ることもできる「ストロング型」、そして、ボルトは、エンジンは発電のみを行う「シリーズ型」なのである。

 電気自動車は、ガソリンを使うハイブリッド車が衰退した後に主流になる未来車なのか。

 実像は恐らく違う。3代目が出す上述した3種類の強いメッセージ、これが全体の方向性を決めるだろう。

 この進化を未来に延長し、他の技術の動向を展望して見ると、今後10年間程度の車の展開はこうなる。

 まずは家庭で充電できる「プラグイン・ハイブリッド車」が普及し、その後しばらくしてから、充電器などの設置が進み都市内交通用に特化した「電気自動車」との二種類共存になることが確実である。しかも、その状態がかなり長期にわたり、恐らく2030年頃まで続くのではないだろうか。

 電気自動車の最大の減点要素は、電池のコストである。コストは、そう簡単に下がらない。しかも、もう一つの減点要素である「寿命」という大きな技術課題を抱えている。現時点で、電気自動車を買えば、そのコストの80%以上が電池の値段だということになりかねない。もしも数年で電池が寿命を迎えると、ほぼ新車を買える金額を電池のために払わなければならない。

 いずれにしても、搭載する電池の量が車の価格を決める。すなわち、電気自動車もプラグイン・ハイブリッド車も、そのグレードは、搭載する電池の量で決まることになる。電気で10km走れるグレード、30km、50kmなどといった形である。

 日常的な目的に応じて、電池の量を注文して搭載することが合理的である。通勤距離が片道10km未満ならたかだか20km分の電池を搭載したプラグイン・ハイブリッド車を購入すれば、ほとんど電気だけで走ることができて、環境性・経済性抜群である。

 買い物用ということならば、いつもの買い物ルートを走ることができる適量の電池を搭載すれば良い。買い物の駐車中に充電できるからである。

 もしも引っ越しなど、運転状況が変わったときのために、電気自動車も、プラグイン・ハイブリッド車も、電池を追加購入し搭載できることが大前提となる。

 電気自動車の出番は何か。都市内コミュータなら、純電気自動車のカーシェアリングがもっとも合理的である。いつでも充電された車を使えるからである。カーシェアリングを前提とすれば、搭載する電池の量は少なくて済む。

 カーシェアリングではなく、都市内用の自家用車が欲しいのなら、GMボルトのような「シリーズ型」のハイブリッド車のエンジン部を分離できるようにして、普段は純粋な電気自動車だが、必要に応じてエンジン発電ユニットをリアカーのように連結するといった考え方が合理的である。発電ユニットは、場合によってはレンタルという方法もあり得るだろう。

 となると、日本の自動車メーカーは、シボレー・ボルト的なシリーズ型のハイブリッドの研究開発をもっと行っておくべきなのかもしれない。

 もしも週末や休日の長距離ドライブが主要な用途ならば、電池のコストが1/10、寿命が3倍にならない限り、電気自動車という選択肢はない。プラグイン・ハイブリッド車にして、せいぜい10km走行分の電池を搭載すれば良いのではないか。場合によっては、通常のハイブリッド車でも良いのかもしれない。電池を必要以上に搭載すれば、重量も増加して燃費に悪影響を与えるからである。

 以上が、恐らく2030年までの自動車の進展の実像である。ハイブリッド車は、発売後11年6ヶ月を経て、今日はじめて主流の座に座った。しかも、若干の改良版であるプラグイン・ハイブリッド車が、今後20年も主流で有り続ける。

 ということは、プラグイン・ハイブリッド車を持たない自動車会社は、今後、速やかに苦境に陥ることを意味する。

 そして、純粋な電気自動車は、カーシェアリングシステムが普及して、自家用としての市場は小さくなり、利益がでるような対象ではなくなる。

 これ以外の選択肢は無いのか。かつて言われていたような、水素燃料電池車は結局実現しないだろう。水素の製造・供給インフラが整備されるとは思えないからである。水素でロケットは飛ぶが、水素は、「作る」、「運ぶ」、「貯める」、が難しく、汎用の燃料としては劣等生である。

 電気の場合は「貯める」が難しい。もちろん、電池のコストが、現在の1/10近くになり、寿命が10年もつようになれば、すなわち、アイミーブが120万円で売られるようになれば、話は多少違ってくる。さらに、電池コストが今の1/20になれば、決定的に違うストーリーを書くことになるだろう。しかし、電池技術は歴史が長いだけに、ブレークスルーは出にくいものである。

 2030年以降の状況はどうなのか。答えは、現状のものとは全く違う、「液体燃料を燃やせる新型の燃料電池」の開発次第ということになるだろう。なんといっても、炭化水素系液体燃料というものは、エネルギー体積密度、エネルギー重量密度の2点で、なかなか凌駕するのが難しい存在なのである。

 いずれにしても、この4月から起きたハイブリッド車の大量普及は、今後の車社会の大幅な変革の第一歩にすぎないが、それが今年起きたことに注目し、未来動向を見つめるべきである。