________________


  夏のプリウス1000km 07.31.2004



 先日、もともとの所属学会である日本セラミックス協会のガラス部会が主催する若手セミナーに講師として参加。久々である。環境を勉強することが未来予測に有用であることを述べた。

開催場所は、立山の極楽坂スキー場の真正面の立山国際ホテルであった。

黒部・立山アルペンルートは、大町から室堂まで上がったことがあるので、今回は、黒部渓谷のもう一つのアトラクションであるトロッコ列車に乗ることにして、2泊でプリウスで出かけることにした。

走行距離がまたまた1000kmぐらいで、先日達成した1000km無給油と比較が可能ではないか、と考えたからである。


C先生:ということで、またまた1000kmドライブに行ってしまった。当然有給休暇。これが最後の夏休みだ。今年は、UNUサマースクールなる重要なイベントがあるので。8月はほぼ無休。

今回の経路だ。
初日:自宅→首都高永福町インター→中央道→長野道→上信越道→北陸道→立山インター→立山極楽坂。
二日目:極楽坂→宇奈月。昼前からトロッコ電車で欅平まで往復。
三日目:宇奈月→黒部インター→北陸道→富山インター→飛騨街道→神岡→平湯→梓湖→乗鞍高原→梓湖→松本インター→長野道→中央道→双葉ジャンクション→中部横断自動車道→南アルプスインター→桃の直売場→ガソリン補給→甲府昭和インター中央高速→高井戸インター→環七→自宅。

全く関係ない話だが、南アルプス市(2003年4月からこんな市がある。御存知?)の生産者直売の桃は安価かつ美味だった。一般の流通経路での桃は、やや未熟な状態で出荷せざるを得ないので。

A君:先日の報告http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/@Week0405.htm#label05081 だと、高速道路を98km/hr設定(実測91km/hr)でゆっくり走って、最高到達高度は、湯殿山で920mぐらい。そして、最終的な平均燃費が25.8km/Lだった。ただし、気温が低かった。

B君:5月8〜10日は、天気も余り良くなかったので、平均気温は17〜20℃ぐらい。

C先生:少なくとも、冷房は不必要だった。だからといって暖房も必要は無かった。空調にエネルギーはほとんど使われていない状態。

A君:今回の7月26日〜28日は、天気は26日がいささか不安定な天気、しかし、富山は晴れ、27、28日は晴れ。最高気温は、32〜33℃といったところ。

C先生:雨が時々降ったが、傘が必要ということは無かった。太陽の日差しはかなり強く、エアコンは必須。

A君:それ以外は同じ条件ですか。

C先生:それがそうではない。今回は最初から1000km無給油は無理だと思っていたので、前回よりも速度が少々速い。クルーズコントロールは105kmセット。実速は恐らく96kmぐらい。さらに、乗鞍高原では高度1500mまで登っているし、平湯峠も高度が高かった。今回、条件は遥かに悪い。

B君:結果は、これか。1012kmを45.3Lで走って、総合燃費が22.3km/L。

C先生:882km地点で40.3Lを給油してしまったので、それからの総合燃費は、燃費メーターからの推算値だが、そんなものだろう。

A君:前回が25.8km/Lで、今回が22.3km/L。前回はエアコンほぼ無しで、今回は、常時エアコンがON。さて、どう評価すべきなのでしょうね。

B君:思ったよりも良いと評価すべきだろう。なぜならば、燃費という数値そのものが意外と分かりにくいもので、今回、確かに3.5km/Lも燃費が落ちてはいるが、もともと25.8km/Lといった燃費が基準になっている場合と、10km/Lの燃費が3.5km/L落ちて6.5km/Lになった場合では、全く話が違う。

A君:当然、余分に消費したガソリンで評価すべきだ、ということですよね。
 1000km走ったとして、25.8km/Lから22.3km/Lへの低下は、ガソリン使用量に換算すると、38.8Lが44.8Lに増えて、増加量が6.0L。
 同じく1000kmを10km/Lと6.5km/Lで走った場合だと、ガソリン使用量にすると、100Lから153.8Lへの増加で、増加量が53.8L。

B君:差でなく、倍率で考えればすぐ分かる話だ。それはそれとして、今回、速度が少し速いことと、高度1500mまで登っていることなど、他の条件を勘案すると、それらに6Lのうち半分ぐらいは食われたとして、エアコン用は3Lぐらいか。

C先生:今回のデータからだと、それは分からない。ということで、極めて直感的ながら、平坦路で前回と同じ98km/Lにクルーズコントロールをセットして走ってみた。全く同じ条件だとは言えないが、午後2時頃、外気温34度ぐらいの条件で、燃費メーター上は、24.5km/Lぐらいだった。5月の状況だと、27.5km/Lぐらいは充分達成可能だった。

A君:そのデータが正しいとして、メーターの過大表示を補正して、実測91km/Lだとして、1時間走行したとすると、こんな結果ですね。
 1時間で91km走行のために3.5Lが使用され、エアコンのために、1時間あたり0.43Lが使用された。

B君:発熱量換算もやってみるか。ガソリンの発熱量を34.6MJ/Lとすると、0.43Lで14.9MJ。これが1時間で使われたのだから、仕事率にすると、4140W。

C先生:それは発熱量だけの計算。余り知られていないが、二代目プリウスのエアコンは、実は電動なのだ。他の自動車場合、コンプレッサーはエンジンが駆動する。ところが、プリウスは電池を積んでいるから、これで駆動している。それが何故か、と問われれば、まずは、効率が高いから。さらに、アイドリングをしない車として、停止中にもエアコンを動作させるために必須と言えるから。

A君:さて、電動エアコンだということになると、家庭用のエアコンのどのぐらいの機種に相当するのでしょうか。

B君:それは、4140Wのガソリンの発熱率からどのぐらいの電力が出るかだ。プリウスの熱効率は、トヨタの発表だと車両効率が37%。通常のガソリン車が車両効率16%ぐらい。まあ、そこまで良くは無いだろうが、33%ぐらいだと仮定して、1350Wぐらいのエアコンだということなのだろうか。

A君:当たらずといえども、遠からずではないですか。平均的に1350Wぐらいの消費電力のエアコンというと、14畳用ぐらい。車の熱負荷を考慮すると、丁度そんな感じではないかと思うのですが。

B君:ガラス窓から太陽光は入って、断熱の悪い構造。実質上2畳の広さしか無いのに、14畳分のエアコンが必要か。

C先生:ということのようだ。帰り道で、八王子インター付近で3台の乗用車が衝突事故を起こして、5kmぐらい約20分間の渋滞に出会った。この場所は、小仏トンネルからの連続数kmの下りの後なので、恐らく、プリウスの電池は満タン状態だった。渋滞に入ると、エアコンが電気を使うので、アイドリングを始めることが多いが、今回は、この20分間、スピードが10kmを超すとエンジンが掛かったが、それ以外だと、エンジンは止まったままだった。勿論車内の温度はエアコンで快適温度に保たれていた。

A君:普通の車の場合だと、レシプロエンジンなるものの特性として、アイドリングが必要。そのためのガソリン使用量は、14ml/分だという報告がありましたが、これは、エアコンの負荷が無い場合でしょう。

B君:アイドリングを1時間すると0.84Lのガソリンを消費。これだけで、プリウスのエアコンのためのガソリン消費量の倍もある。

C先生:アイドリングストップ車にすると、燃費が上がるのは確実なのだが、エアコンも止まってしまう。となると、夏はアイドリングストップ車は実質上アイドリングストップしないことになる。初代プリウスもそんな感じで、炎天下に信号で停車していると、すぐエンジンが掛かった。

A君:となると、アイドリングストップ車を作ったとしても、電動エアコンにしないと意味が無い。それには電池が必要。

C先生:プリウスの電池は、270Vで6.5Ah。Whにすると、1800Whあるから、先ほどの計算が正しければ、だが、もしもフル充電状態ならエアコンを1時間以上は駆動可能。

A君:アイドリングストップ車に電動エアコンを積むとしたら、やはり270V2Ah程度の電池は無いと余り意味が無さそうですね。

B君:となると、発電機もかなりのものになる。

A君:どうせそこまでやるのなら、ブレーキ時にはエネルギーを回生したい。となると、ハイブリッド車になってしまう。

C先生:なんだかそんな感じなんだ。車のエアコンをとことん極めると、車はハイブリッド車になる。これが、今回の結論なのだ。

A君:燃料電池車も当然、電動エアコン。

B君:どうも、ガソリンエンジンが車のすべての動力を供給する時代は、まもなく終わりを告げることになる感じだ。

C先生:そろそろ結論だが、どんな車でも燃費向上のためには、エアコンが結構重要な問題。プリウスの場合には、すでに極限的状況に近く、夏の効率はこれ以上良くならないぐらいだろう。むしろ、冬季のヒーターの改善の方が可能性があるかもしれない。