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  容器包装リサイクル法の最終見直し 1.29.2006
     



 容器包装リサイクル法が成立してから10年を経過したことを受け、経済産業省と環境省が共同で1年半に渡って作業してきた、容器包装リサイクル法の見直しに関する最終結果が、1月23日の部会にでまとまった。
http://www.env.go.jp/council/03haiki/y030-41/mat04.pdf
 容器包装も、業界の利益と自治体の利益、さらには、市民団体の主張と業界の主張が異なるところである。今回も色々ともめたようだ。
 参考人として意見を述べただけで、実際の審議などには加わっていない。
 環境省側の委員と、経済産業省側の委員は、
http://www.env.go.jp/council/03haiki/y030-41/mat02.pdf
 に出ている。
 合同小委員会の委員長を勤められたのは、郡嶌 孝 同志社大学経済学部教授である。ご苦労さまでした。


C先生:容器包装リサイクル法の改正の方向性がこれで決まった訳だが、ご苦労なことだ。容器包装は、本来の商品とは違う付属物なので、どうでも良いと思ったら大違い。付属物なだけに、できるだけ見栄えがよく、機能もよく、しかも、支払うコストだけは下げたいのが製造者であり販売者。一方、市民サイドからみれば、これは余分なもので、できるだけ減らしたい。そのためには、製造者・販売者の費用負担が多いほど良い。利害が最初から対立している。加えて、自治体も徐々にリサイクルを導入しない訳には行かなかったのだが、そのためには、自前の税収入を使わざるを得なかった。これを何とかして欲しい自治体。しかし、したくない製造者・販売者。市民サイドは、自治体に対しても結構冷たい。コストが掛かりすぎるお役所仕事だ、という訳だ。

A君:当日の会議で配布された資料を見ていますが、それによれば、最初にこれまでの容器包装リサイクル法の意義と成果が述べられていて、そして、次に問題点を指摘するという記述法になっています。

C先生:容器包装リサイクル法は、日本におけるゴミという大問題をリサイクル法という法律で切ったという意味では最初の法律であり、当然のことながら、妥協の産物だった。だから完全な法律ではないに決まっているのだが、最初にできたリサイクル法としては、充分にその機能を果たしたと言える。特に、市民社会のリサイクルに対する考え方を決定的に変えた。その意味から言えば、歴史的に見ても、価値の高い法律だったと思う。

B君:もちろん完全ではない。そこで、問題点ないし課題はあった。報告書でもその指摘がなされていて、
(1)容器包装廃棄物の発生抑制が不十分
(2)プラスチックと紙のリサイクルが不十分
(3)プラスチックのリサイクル費用が高すぎる
(4)消費者の意識改革も不十分
(5)最終処分量の削減が不十分
(6)廃ペットボトルの海外流出

A君:容器包装のリサイクルをやるようにはなったものの、本当の目的は、発生抑制。使わない。ところが、消費者や製造者・販売者の意識改革が不十分だから、実際のところ減っていない。

B君:昨年、ライフとイオンなどのスーパーがリサイクル費用(正式には再商品化委託単価)の支払いを拒否したり保留したりした。ライフは裁判中か。これは、容器包装リサイクル法が本当の意味で機能し始めた証拠。こんなにリサイクル費用を負担しなければならないのなら、多少、包装を簡素化しなければ、と思い始めたところだとも言える。それまでに10年掛かったと言うことを意味するが。

A君:そして、具体的な解決法としては、以下のようになっている。

(T)発生抑制と再使用の推進
1)循環型社会形成推進地域計画、市町村分別収集計画に基づく発生抑制と再使用の推進
2)家庭ごみの有料化を活用した発生抑制
3)市町村によるリターナブルビンの分別収集・選別保管の推進
4)公的施設などによるリターナブル容器の導入促進5)レジ袋対策
6)達成状況の報告義務
7)自主的な取り組みに対する優遇措置
8)事業者における自主協定の推進
(U)分別収集・選別保管の在り方
1)各主体の役割
2)分別基準適合物の品質向上
(V)リサイクル手法の見直し
1)プラスチック用の手法拡大
2)リサイクルに適した容器包装の設計と素材選択
(W)その他の論点
1)ただ乗り事業者対策
2)容器包装廃棄物の輸出の位置づけ
3)紙製容器の取り扱い
4)マーク表示のあり方
5)指定法人のあり方
6)普及啓発・環境教育
7)リサイクルの実務的課題
8)容器包装の範囲
9)小規模事業者の適用除外

B君:いささか、分かりにくい。問題点と解決法とを関連させながら、議論を進めるか。

A君:それでは、まずは、
(1)容器包装廃棄物の発生抑制が不十分
という問題点から。
 もともと容器包装リサイクル法の最大の目的は、過剰包装などの無駄な容器包装が減ること、そして、使用された容器包装は、仕方が無いので、リサイクルをする、という立場を取るべきです。なぜならば、2000年の循環型社会基本法で、そう決まっているからです。容器包装リサイクル法ができた1995年当時は、余り方針としては明確ではなかったのですが、基本法という上位の法律ができたのだから、当然、3Rの優先順位である、リデュースが第一、リユースが第二、そして、リサイクルは第三番目の目標でしかない。

B君:となると、発生抑制、すなわち、リデュースが最大の問題であることは、国の方針だということになる。ところが、容器包装のリサイクルはなんとか回るようになったものの、量が減った訳ではない。

C先生:容器包装を減らすのは、なかなか難しい。容器についても、重さを減らすことはできても、本数などは減りにくい。それは、消費者がより利便性の高い容器を求めるから。ガラス瓶では重たい。若い健康な人なら体力的にはOKだが、そういう人は、広いスペースに住めない場合もあって、置き場がないといったことになりがち。

A君:この発生抑制は、絶対量を減らすのは不可能なら、リユースでそれを実現しよう、ということまで含まれていて、ガラス瓶やペットボトルのリターナブルを推奨したいところ。

B君:しかし、ガラス瓶のリターナブルは、今や、ビール瓶と若干の一升瓶と牛乳瓶のみがまだ生存していて、そしてそれ以外はほとんど絶滅種になってしまった。

C先生:リターナブル容器の復権については、なかなか良い方法が無いのだ。

A君:今回の最終案では、リターナブル瓶の分別収集と選別保管を市町村にもっとやってもらうように、リターナブル瓶は、別の分別区分を設けることを推奨しようとしているようです。

B君:全部いっぺんに集めてきて、後で選別すればよいという考え方は成立しない。すべてのガラス瓶を袋に入れて運搬すると、その途中で、瓶の口が欠けてしまうことが多いのだ。だから、理想的にはプラ箱に入れて収集するのが良いのだが、それは嵩張る。取り扱いが難しい。

A君:ただし、市町村による分別収集は、ビール瓶や一升瓶などは対象としないようですね。他のリターナブル瓶に限るようで。となると、あまり対象が無い。

C先生:そこで、リターナブル瓶の標準化を国が推進するという方向性が今回打ち出されたことは、大変良いことだと思う。一企業でできることと、国が乗り出さないと駄目なことがやはりある。

A君:加えて、公的施設では、リターナブル容器を導入すべきだ、ということになっていますね。

B君:どうも、それは、リユースカップなどを意味するようだ。大分トリニータのサッカー場が先鞭を付けたリユースカップだが、最近では、横浜も大変に熱心。このようなイベント会場では、使い捨ての容器の使用は原則的に禁止するのが良さそう。

C先生:デポジット制は、通常の商品については困難という見解のようだが、イベント会場などでは、デポジット制が有効だと言っている。まあ、当然なのだが。

A君:もう一つの排出抑制策が、レジ袋対策。環境省は、「無料配布の抑制のための法的措置を講じる」といってなんらかの立法化を目指すようだ。ただし、「具体的な内容については、実効性の確保を旨としつつ、法制的な観点を含め妥当な方策を検討すべきである」、としていて、八方配慮型になっています。

B君:さらに、発生抑制をしました、という報告を求めるて、不十分な事業者に対しては、勧告・公表を行うといった措置を考えている。

C先生:杉並区の厚着賞、要するに、過剰包装をしている商品や事業者に贈る賞だが、その議論の中で、高級デパートにおける贈答品の包装がいつでも問題になる。いくつかのデパートに杉並区がコンタクトをしたが、日本百貨店協会には無視されている。個別のデパートだと、三越には「もう来るな」、と言われ、一方、高島屋は、「多少関心あり」ということのようだ。

B君:レジ袋をはじめとする発生抑制の対象については、デパートで無料配布している紙袋も対象にする予定のようだから、これでデパートも少しは変わるのでは。

A君:その他、コーヒーショップなどの店内で使用されるワンウェイ容器をリユース容器に変えることが、徐々にではあるが進んでいる。スタバはまだまだ。ドトールはもう変えた。エクセルシオールも基本的にリユース。タリーズはどうなのだ。

C先生:やはりスタバが変わらないと。それがCSRというべきものだろう。

A君:それでは次へ。次の2つは関連しますので、同時に。
(2)プラスチックと紙のリサイクルが不十分
(3)プラスチックのリサイクル費用が高すぎる

 プラスチックについては、現行法で「製品の原材料」へのリサイクルに限定しているのですが、そのまま燃料として使うことを認めていない。そのため、マテリアルリサイクルを優先させた入札システムを使って、落札者を決めている。そのために、マテリアルリサイクルの処理費が高くなっている。

B君:そのため、基本方針としては、プラスチック容器の分別収集をよりきめ細かくして、より合理的な処理をやろうということになっている。
 例えば、マテリアルリサイクルに適したものとして、ペットボトルや発泡スチレンは当然としても、シャンプーなどの容器に使われる硬質のポリエチレンなどは、別の表示をする。

A君:サーマルリカバリーという言葉がとうとう登場して、熱回収を合理的に行うことを推奨する方向になっている。特に、汚れが激しい容器包装については、熱回収がベストだと思う。

C先生:この部分は、今回の改正の方向性としては、一つの売りになる部分だろう。

B君:残りの話題、紙容器については継続して、容器包装リサイクル法の対象とする、というだけで、特段の対策は書かれていない。

A君:次です。
(4)消費者の意識改革も不十分
 この部分については、消費者の意識改革だけではなくて、表示の改善などによる分かりやすさの向上を提案している。
 そして、ライフスタイルの変革がこの問題の根本的な解決につながるとの理解のようです。まあ当然なんですが。

B君:地方自治体や地域レベルでの取り組みを進めることを推奨している。どうやってやるか、それは難しいところがあるが。

A君:次です。
(5)最終処分量の削減が不十分
 これは、プラスチックのサーマルリカバリーなどが制度化されれば、解決する方向にはなるでしょう。

B君:次だが、
(6)廃ペットボトルの海外流出
 この問題は結構深刻だ。ペットボトルのリサイクルシステムを整備した企業に、廃ペットボトルが流れない。これは、国内のリサイクル産業が崩壊することを意味する。

C先生:リサイクル産業というのは、それを取り巻く様々な環境が大きく揺れるので、リスクの大きな産業だ。容器包装リサイクル法に基づいた整備をしてもらったという要素があるから、当面の間は、なんらかの対策が必要不可欠だろう。

B君:住民の努力と負担によって「資源化」されたペットボトルが、勝手に海外に売却されるのは、やはり問題だ。

A君:しかし、そう言えば、アルミ缶、スチール缶も同様ですよ。ペットボトルだけではない。

B君:アルミ缶、スチール缶は、事業者側が困っているということが根底にあるということだな。

C先生:結局のところ、対策は良く分からないが、ペットボトルを自治体が輸出すると、「特定有害廃棄物等の輸出入の規制に関する法律」に基づいてチェックするぞ、と言っているようだ。まあ、こんなところが手始めか。
 しかし、本当のところを言えば、自治体の費用の一部を事業者が負担して、その負担金を自治体が受け取るのなら、国内で回せと義務化するのが、合理的のように思える。今回はこのような方向は実現できなかったのだが。

A君:さて、ここまでで検討してきたこと以外で書かれていることは、例えば、クリーニング屋の包装が容器包装リサイクル法の対象外であるということに関しては、事業者による自主的な取り組みを加速して、やはり、容器包装リサイクル法の枠外に置こうという意向のようです。

B君:ただ乗り対策については、市町村がある程度被るしかない、という解釈のようだ。

C先生:そして、今回の改正の目玉になるものと思われた自治体の費用の一部を事業者が負担するということに関しては、かなり後退してしまった。リサイクル費用が余った場合には、自治体と事業者側が折半するということに留まった。これだと、自治体にわたる金額が数10億円に留まる。これはある意味で残念。なぜならば、自治体の費用を事業者が負担することが決まれば、スチール缶やアルミ缶などについても、容器包装リサイクル法の枠組み内にすることが可能だったからだ。廃ペットボトルの海外流出問題についても、決定的な解決策が提案できたはずだからだ。
 まあ、今回の改正が最後と言う訳ではないが。

A君:今後は、5年間で見直しをする方向のようです。われわれの主張する、容器包装などの製造段階での費用負担という極めてカバー率の高いシステムの採用になるのは、いつのことでしょうか。

C先生:これまで3回目の改正と言ってきたのだが、今回の改正が多少小幅だったので、やはりまだ20年かかるかもしれない