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何が正しいリサイクルなのか 08.08.2004 |
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リサイクルという行為を正しく理解することはかなり難しい。特に、政策的に循環を推進するために、自由な市場に補助金などを投入する場合には、当然のことながら利を得る業者、利を失う業者がでる。 それでは、何を基準にして、リサイクルの正否を議論すべきなのか。 恐らく、ライフサイクルアセスメントを活用すれば、どのようなリサイクルが正しく、どのようなリサイクルが正しくないか、といった結論が客観的に出る、と思っている方々が多いのではないだろうか。 ところがところが、リサイクルの効果を定量的に評価することは、ライフサイクルアセスメントの一つの課題であるものの、まだ、完成していないのである。 とても1回では終わらない。そこで、今回は、概論とカスケードリサイクル編。 残る課題は、水平リサイクルの評価、サーマルリカバリー(サーマルリサイクルと言う人もいるが、日本だけの不適正使用)の評価。もっとも、サーマルリカバリーはカスケードの一種として評価すれば良いが。 C先生:容器包装リサイクル法の改正に向けて、われわれが何か提案をできるとしたら、やはり、(1)専門性を生かす、(2)より広い大局観、(3)より戦略的、といったところだろう。すでに、(2)、(3)については考察した。 A君:それでは、今回は、(1)専門性を生かす、という立場からの提案をまとめますか。 B君:よし。ここでの最大の問題点は、リサイクルはなんのためにやるのか、ということだ。その主要目的は、2つ。(あ)地球への排出を減らす、(い)地球からの資源採取を減らす。 A君:ただし、副次的に(う)日本国内での雇用の創出、といった効果も無いとは言えない。 C先生:主要目的の2つは別のことのように見えるが、実施には、環境効率の向上という一つの概念で括られるものだということも、一応念のため。 A君:(あ)地球への排出を減らす、といっても、ゴミの埋め立てだけではなくて、二酸化炭素も立派な気体ゴミの一種ですし、さらには、余り重要な問題ではなくなったといっても、その他の健康影響も無い訳では無い。 B君:しかし、リサイクルによって、(あ)の地球への排出が若干減ることは事実。どのぐらい減るかは、場合によるが。 A君:しかし、単純リサイクルだと、これまでのペットボトルのように、リサイクルしても元に戻る訳ではないので、別の包装材(ブリスターパック)に使われて、結果的に排出されてしまう。 B君:ペットボトルのケミカルリサイクルは、次回の水平リサイクルのところで考察。 C先生:またまた恐縮ながら、そのような状況を理解できるエクセルのプログラムを提供しますので、ご利用下さい。ただし、100kB以上あります。これは、前回のバージョンと同じもの。新バージョンはなかなか暇が無くてできない。今回の提案を仮想体験できるようなソフトが必要なんだけど。誰か作ってくれませんか。recycle_new_nokey.xls A君:これからが実はリサイクルの本当の問題点なのですが、包装(ブリスターパック)に使われた再生PET樹脂が、環境負荷の低減にどのぐらい寄与しているか、ということの評価が難しいこと。 B君:我々は、多くの場合、今のリサイクルは2サイクルにすぎない、と主張しており、この2サイクル目のベネフィットは実は余り大きなものではない、としている。しかし、もしも、この2サイクル目の用途であるPET樹脂のブリスターパックをバージン素材で作ると、当然のことながら、新たに原油が必要となる。勿論、回収・分別・リサイクル過程でエネルギーが必要だから、リサイクルをすることによって、新たに必要な原油全部が不要になるわけではない。 A君:もしも、2サイクルが5サイクルになれば、恐らく、新たに必要となる原油の量はさらに減ることにはなりそう。 C先生:その理想系が、リサイクルに限れば、完全水平リサイクル。完全に元の製品に戻る。しかし、理論的に「完全」は常に不可能。 A君:アルミはかなり水平リサイクルされているし、ガラスも同様。しかし、やはり、廃棄物は出るし、新しい資源がやはり必要。 B君:議論を分けるために、水平リサイクルの場合、カスケードリサイクルの場合を分けないと駄目だな。 A君:カスケードリサイクルの場合で、5サイクルにもなっているものは無いでしょう。どれも大体2サイクル止まり。もしも、ご存知の方はお知らせいただきたい。 B君:だとすると、カスケードと言い方を止めて、2サイクルと水平に分けるか。そして、水平を2サイクル相当から5とか10サイクル相当まで、適切なLCA的方法論を用いて評価するが、それは次回。 C先生:実は、2サイクルにも色々と程度があって、実際には、リサイクル効率とか資源利用効率という考え方を導入することが必要。何が言いたいのか、といえば、例えば、ガラス瓶のリサイクルを考えたとき、それが、ガラス繊維や高級な建材の原料に使われた場合には、2サイクル目の効用と経済的効果は高いが、もしも、路盤材の原料として使われた場合には、経済的な効果は少ない。むしろ、廃棄物の減量にしかならない。 A君:路盤材なら、焼却灰から作ったスラグで良い訳ですから。しかも、焼却灰からのスラグは、使われないで埋立地の片隅に積み上げられている。 C先生:そこで、まあ例を出しつつ考えるのが良いだろう。リサイクル無しの基準がまず必要だ。PET樹脂がペットボトルになって、埋め立てられるという最悪のシナリオが基準になるだろう。このとき、ペットボトルとして1回使用という効用を与えるが、資源採取量も1本分、廃棄物の発生も1本分だ。 A君:整理しましょう。 C先生:2サイクルの場合、リサイクル品がある効用を与えるが、その効用は、1回目の効用よりは低いの普通。ただし、どんな場合でも、廃棄物の削減には有効だが、焼却などを考えなければ、最終的には1本分すべてが廃棄される。場合によっては、廃棄物も新規に発生するかもしれない。 A君:2リサイクルの場合: B君:2サイクルの場合、2回目効用はリサイクル無しの場合よりも少ないから、合計すると、リサイクル無しの場合の1倍から2倍の間。もしも、2回目のリサイクル品の効用がペットボトルの0.5本分だとして、リサイクルのエネルギーなどに0.5本分、さらに、リサイクル時に0.5本分の廃棄物が増えたとすると、実は、2サイクルをしても、実は、資源採取量、廃棄物発生量あたりの効用は増えないことになる。 A君:ただし比較法として別の考え方を採用するというやり方があって、2回目の製品、例えばブリスターパックは、もしも、リサイクルを行わないとしたら、バージンの素材から作ることになる。とすると、同じ効用を得るために必要な資源が増えることになる。 B君:分かった。両方ともバージンが基準という考え方なら。2回目の製品がペットボトルと同じ重さだとして、 A君:リサイクル無しの場合を加えると、 B君:効用に関しては、リサイクルを行わない場合と同じだけど、資源採取量も廃棄物発生量も1.5本分で済んでいる、という解釈をする。 A君::したがって、リサイクルをすることによって、全くリサイクルしない場合よりも、資源採取量も廃棄物発生量も減るから、常時リサイクルはすべきだ、という結論を出すことができる。 C先生:ただ、この議論は危険なのだ。なぜかと言えば、本当ならば、ブリスターパックの用途を考えると、バージンのPET樹脂で作るにはもったいない、品位が高すぎると言えるからだ。LCAの議論では、このような「もったいない」「材質が高品位すぎる」といった議論をする研究者は居ない。 B君:しかも、生産量の問題もある。すなわち、カスケードリサイクルでは、ペットボトルとブリスターパックの生産量にある制限があることだ。ペットボトルの生産量の80%ぐらいがブリスターパックである場合には都合が良いのだが、いつでもそんな状況になるとは限らない。 A君:さらに、言えることは、ペットボトル1本からできるPET樹脂の量は、かなり歩留まりが悪くなることです。 B君:さらに、ペットボトルの場合、蓋は別素材だし、表面のシュリンクラベルも別素材。 C先生:それはそうなんだ。しかし、なんといっても問題なのは、ブリスターパックの効用というものが、評価されないことだ。 A君:地球の資源を利用する場合に必要な最大の目標は、資源の利用効率を高くすること。となると、今後のLCAの評価関数に、効用あるいは経済効果という項目を入れなければならない。 B君:これまでのLCAの研究者は、どうしても、二酸化炭素排出量、エネルギー使用量などに拘泥して、経済的な価値とか、素材の性能の劣化といったコンセプトを取り扱うことができなかった。 A君:経済的な価値を入れると、サイエンスでなくなるという指摘をする人も居ますね。 C先生:そもそもLCAを学問としてやるとしたら、最終的な指標化といったところで、リサイクルに経済的な価値観を導入するといったことは、どうも最初から念頭にないのではないか。 B君:LCAは政策決定ツールなんだから、経済的な価値や資源生産性といった評価が提供できなければ。 C先生:まあそういうことなんだけど。ということで、問題点を整理しておけば、 A君:それでは、これまでの議論を図を作って説明してみましょう。ブリスターパックの適当な絵が無かったもので、ペットボトルが繊維になって、作業着になるという絵ですが。 B君:真ん中がプロセス。下が投入資源と投入される社会的コスト。すなわち税金。そして、上が効用。 C先生:価格の推移を示してみた。ここでの主張は何か、といえば、社会的公平性という立場から言えば、税金という社会的費用を投入して再商品化を行っている容器の場合には、自らの素材としての価値などを語る資格がもともと無いということだ。スチール缶は、容器包装リサイクル法の対象物ではないから、と言うかもしれないが、自治体が税金を使って回収しても、市場価格はほとんどゼロにしかならない。事業者自ら回収して、なんらかの正の価値になったのであれば、「代替性」を主張する権利も出てくる可能性があるが。 |
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