これは、5月17日に米国セラミックス協会のガラス・光学材料部会からの招待で講演する内容である。
RoHS規制は、電気電子製品に4種の元素(イオン)と2種の臭素系難燃剤の使用を禁止するEUの規制であるが、詳しくは、
http://www.jeol.co.jp/envi/regulation/weee-rohs/pdf/weerohs01.pdf などをお読みいただきたい。
今回の講演の論点の一つは、物質の規制をするということと、元素の規制をするということの違いをEUは理解していなかったのではないか、である。
C先生:久々に元の専門であるガラス・光学材料部会で講演をすることになった。一応、ご招待だが、費用は当方負担。ガラスの組成設計をするときに、有害元素に対して、どのような基本的な考え方を持つべきなのか、ということ。
A君:RoHS規制によって、鉛やカドミウム入りのガラスの使用が規制されそうになった。しかし、現状では、光学部品としての鉛ガラス、カドミウム入りのフィルターガラスなどの使用は例外リストに入ったので、許容されることになった。
B君:本HPの基本的スタンスは、ヨーロッパの有害物規制が、予防原則重視型になっている。それは、考え方として有り得るが、予防原則を適用すると、規制はポジティブリスト型になる。すなわち、「全面的に禁止、しかし、例外として、これとこれは許容」、という表現形式になる。現実的に考えると、元素の使用を全面禁止にするのは無理なのではないか。結果的に、余りにも長い例外リストを作ることになって、ある製品が、法律違反しているかどうか、検査ができなくなってしまう。したがって、RoHS規制は、もともと不完全なシステムであって、早晩無くなるだろうと思われる。
C先生:まあ、そんなところだ。光学ガラスには、未だに鉛が入ることが多い。なかなか、他の元素では大体できないのだ。なんと言っても、製品に使える元素は、90種も無いのだから。
議論の進め方として、同じ鉛だが、ガソリンの添加剤として使われた四エチル鉛を先週考えた。そして、今回はRoHS規制で使用禁止になった有鉛ハンダ、などを対象にして、規制のあり方を考えてみたい。
A君:その前に、どんな元素がガラスに使われているのか、それを指摘しておきましょう。
鉛ガラスは光学ガラスとしてだけではなくて、プラズマディスプレイにも使用されている。ヒ素は有害物質であるが、RoHS規制の対象にはなっていないが、液晶パネル用のガラスには、泡の発生を防止するために、少量入っている。
B君:最近、日本では、温泉水に含まれているホウ素Bの環境規制が問題になっているが、耐熱ガラスには、ホウ素は必須だ。
A君:ガラスに固定された元素は、簡単には溶け出すことはない。そんなガラスであれば、コップのように水を使う製品にすることもできないし、水滴が付着したら困るので、使い物にならない。しかし、元素を規制対象にしたら、膨大な数の製品や素材を対象に、その製品・素材の特性、例えば、水に溶けやすいか、酸性になったらどうだ、といった検討をしなければならない。リストを作ること自体を不可能だとは言わないが、後の規制の実施段階を考えると、現実的ではない。
C先生:さて、今回の講演の戦略だが、こんな目次で行く予定。
(1)まず、環境規制の簡単な動向を述べる。廃棄物規制などは、日本が世界をリードしている。
(2)ヨーロッパの環境規制が強くなる理由と予防原則。
(3)RoHS規制と例外リスト。
(4)どうやって製品の評価をするか。
(5)関連するリサイクル法であるWEEEと実施方法。
(6)鉛と環境問題の歴史。
(7)有鉛ハンダを規制することの意味と無意味。
(8)有害物質規制の基本的な考え方。やはり、Riskベースでモノを考えること。
(9)高性能材料の開発時のライフサイクル思想の重要性。
(10)元素を対象とした規制、物質を対象とした規制。
A君:(1)まず、環境規制の簡単な動向を述べる。廃棄物規制などは、日本が世界をリードしている。
これですが、最初は、水俣病などの公害から入る。なんといっても、公式確認50周年ですからね。
C先生:大気・水質汚染が最初で、次が廃棄物、そして、その対応としてのリサイクル。ここまではどの国でも行くべきなのだ、ということをまず示したい。
B君:最近、米国ですら、リサイクルが始まった。最近、ヒューレットパッカード社がパソコンのリサイクルではリーダーシップを取っていて、一方、アップル社の対応が駄目なので顰蹙状態。
C先生:リサイクルは、本来、廃棄物対策としてだけ行われるのではなくて、資源の適切な管理という視点から行うべきことだ、と述べようか、と思う。日本の3R思想だが。
A君:そして、(2)ヨーロッパの環境規制が強くなる理由と予防原則、ですか。
C先生:ECが作られたときの条約の174条にその基本思想が書かれていて、これは守らざるを得ない。
あ)環境保全、環境保護、環境改善。
い)ヒト健康の保護
う)自然資源の慎重かつ合理的な利用
え)地域環境・地球環境を守るための対策の推進
B君:だからといって予防原則的になることは無い。
C先生:174条の2項に、そんな表現がある。「環境は高度に保全することを目標とすべきであり、同時に、各地域の特殊性を考慮すべし。その際、予防原則を基礎とする対策が取られ、汚染はその根源から除去され、かつ、汚染者負担が原則である」。
A君:状況の違う地域、例えば、単純埋め立てや単純焼却がなされてしまう地域で多いのであれば、予防原則を適用して、有害物は使わないのが一番。ということで、RoHSができた。
C先生:予防原則を追及すると、すでに述べたように、「全面禁止+例外条項」となるのが普通だ。
B君:日本のように、リサイクル法が先にできるのではなくて、リサイクル法と一緒に動いたことも、元素規制に走った要因ではある。
A君:(3)RoHS規制と例外リストの話に行きますが、RoHS規制は、これはご存知の通りで、
あ)鉛
い)カドミウム
う)水銀
え)六価クロム
に加え、2種類の臭素系難燃剤、
お)PBB
か)PBDE
の使用を原則的に禁止するもの。
C先生:しかし、許容される例外があって、それが徐々に増える傾向にある。英語で失礼。日本語に直すと、誤解をまねく恐れがあるので、敢えて英語のまま。
1. Mercury in compact fluorescent lamps not exceeding
5 mg per lamp.
2. Mercury in straight fluorescent lamps for general purposes not exceeding:
- halophosphate 10 mg
- triphosphate with normal lifetime 5 mg
- triphosphate with long lifetime 8 mg.
3. Mercury in straight fluorescent lamps for special purposes.
4. Mercury in other lamps not specifically mentioned in this Annex.
5. Lead in glass of cathode ray tubes, electronic components and fluorescent
tubes.
6. Lead as an alloying element in steel containing up to 0,35 % lead by
weight, aluminium containing up to 0,4 % lead by weight and as a copper
alloy containing up to 4 % lead by weight.
7. - Lead in high melting temperature type solders (i.e. tin-lead solder
alloys containing more than 85 % lead),
- lead in solders for servers, storage and storage array systems (exemption
granted until 2010),
- lead in solders for network infrastructure equipment for switching,
signalling, transmission as well as network management for telecommunication,
- lead in electronic ceramic parts (e.g. piezoelectronic devices).
8. Cadmium plating except for applications banned under Directive 91/338/EEC
(1) amending Directive 76/769/EEC (2) relating to restrictions on the
marketing and use of certain dangerous substances and preparations.
9. Hexavalent chromium as an anti-corrosion of the carbon steel cooling
system in absorption refrigerators.
9a. Deca-BDE in polymeric applications.
9b. Lead in lead-bronze bearing shells and bushes.
11. Lead used in compliant pin connector systems.
12. Lead as a coating material for the thermal conduction module c-ring.
13. Lead and cadmium in optical and filter glass.
14. Lead in solders consisting of more than two elements for the connection
between the pins and the package of microprocessors with a lead content
of more than 80 % and less than 85 % by weight.
15. Lead in solders to complete a viable electrical connection between
semiconductor die and carrier within integrated circuit Flip Chip packages.’
A君:(4)どうやって製品の評価をするか、が重要な課題。RoHS規制を実施するときに、どうやって、検査をするかということ。ある製品がRoHS規制に適合するか、しないか。その判断が必要。
C先生:それには、まず、Homogeneous material というものが定義されている。訳は「均一素材」ぐらいか。製品には、様々な素材から構成された部品からなるが、分析は、部品単位で行われるのではなくて、さらに、「均一素材」レベルでの評価が必要となる。
例えば、ICを構成しているパッケージ用のプラスチックは、重点材を含めて、「均一素材」。電線は、芯の銅線と被覆材料は分けることができるので、「均一素材」ではない。
そして、カドミウムについては、0.01%未満ならOK。それ以外については、0.1%未満ならOK。
A君:分析を携帯用蛍光X線装置でまず、ラフに評価して、グレーのものは、卓上型のX線分析装置を使って分析をするとのこと。
B君:分析装置が随分と売れただろう。
C先生:いずれにしても、かなり面倒な分解を行わなければならないし、どこまで精密に分析をするかによって、取り扱いも相当気にしつつやる必要がある。
A君:特に、特定用途の素材では、Pbの使用が認められている訳で、例えば、高温ハンダであれば、鉛が85%も含まれているようなものが許容されている。そのハンダ付けがされている端子の方は、Pbの含有は認められていない。もしも、高温ハンダを使っている製品の場合、その端子がRoHS規制を満足しているかどうか、それを判定しようとしたら、これは、相当面倒なことになる。
B君:むしろ不可能といっても過言ではない。どのような運用がなされるのか、見極めることになるだろう。
A君:それでは、次に、(5)関連するリサイクル法であるWEEEと実施方法。RoHSとある意味で、ペアをなしている。
B君:WEEEの方も大変で、次のような部品は、まず、製品から取り外してリサイクル工程に入るべきことが決められている。
○Polychlorinated biphenyls (PCB) containing capacitors
in accordance with Council Directive 96/59/EC of 16 September 1996 on
the disposal of polychlorinated biphenyls and polychlorinated terphenyls
(PCB/PCT) (1)
○Mercury containing components, such as switches or backlighting lamps
○Batteries
○Printed circuit boards of mobile phones generally, and of other devices
if the surface of the printed circuit board is greater than 10 square
centimetres
○Toner cartridges, liquid and pasty, as well as colour toner
○Plastic containing brominated flame retardants
○Asbestos
○Cathode ray tubes
○Chlorofluorocarbons (CFC), hydrochlorofluorocarbons (HCFC) or hydrofluorocarbons
(HFC), hydrocarbons (HC)
○Gas discharge lamps
○Liquid crystal displays (together with their casing where appropriate)
of a surface greater than 100 square centimetres and all those back-lighted
with gas discharge lamps
○External electric cables
○Components containing refractory ceramic fibres as described in Commission
Directive 97/69/EC of 5 December 1997 adapting to technical progress Council
Directive 67/548/EEC relating to the classification, packaging and labelling
of dangerous substances (2)
○Components containing radioactive substances with the exception of components
that are below the exemption thresholds set in Article 3 of and Annex
I to Council Directive 96/29/Euratom of 13 May 1996 laying down basic
safety standards for the protection of the health of workers and the general
public against the dangers arising from ionising radiation (3)
○Electrolyte capacitors containing substances of concern (height >
25 mm, diameter > 25 mm or proportionately similar volume)
A君:しかも、以下の部品については、その取り扱い方が、規定されています。
○Cathode ray tubes: The fluorescent coating has
to be removed.
○Equipment containing gases that are ozone depleting or have a global
warming potential (GWP) above 15, such as those contained in foams and
refrigeration circuits: The gases must be properly extracted and destroyed.
Ozone-depleting gases shall be treated in accordance with Regulation (EC)
No 2037/2000 of the European Parliament and the Council of 29 June 2000
on substances that deplete the ozone layer (4).
○Gas discharge lamps: The mercury shall be removed.
C先生:しかし、ここまでは、実は、RoHSとWEEEの現状のような話であって、余り、実質的な議論をしている訳ではない。問題は、やはりどのように考えるべきか、という原理原則論。そこで、(6)鉛と環境問題の歴史。最悪な歴史が先週議論した四エチル鉛だが。
A君:この四エチル鉛の話は、余りにも内容が濃かったですね。
B君:まさに。繰り返しになるが重要なことはいくつかあって、まず、四エチル鉛を使っていたために、米国では、すでに数100万トンの鉛を大気中にばら撒いてしまったということ。欧州でも同様。
A君:もう一つ重要なことが、ハイオクタンガソリンへの四エチル鉛の添加は、米国と日本では比較的早めに規制が実現したのですが、ヨーロッパでは、非常に遅れた。2001年までイタリアでも使っていた。
C先生:そこで、(7)有鉛ハンダを規制することの意味と無意味、の話になる。現時点で、ハンダに使っている鉛の割合は、2000年時点で、大体0.6%程度。世界全体での使用量が700万トンぐらいだとしたら、4万トン程度。RoHS規制最大の効果が、有鉛ハンダの使用禁止にるものだとしたら、この4万トンの鉛の使用の削減が、本当にヒト健康リスクと、生態系リスクの削減に利くのか、という話。
A君:鉛は武器にも相当使用されている。特に、銃弾は相変わらず鉛。この鉛弾は、過去、日本でも鹿猟では使われていたことがあって、それをオオワシなどが飲み込むと、死亡に繋がる。
B君:ヒトへの鉛の悪影響は確実にある。これも先週の議論にあったように、血中の鉛濃度が10マイクロg/dLを大きく下回れば、まあ、それほど酷い状況とは言えない。なぜならば、歴史的に、米国のデータを見ても、1975年前後では、18マイクロg/dLほどもあった。
C先生:そして、四エチル鉛の規制のお陰で、1992年には、2.5マイクロg/dL程度になり、さらに減少中。今後、RoHS規制が有っても無くても、血中濃度はまだ下がり続けるだろう。
A君:以前は、水道管も鉛だった。白色のペンキも鉛白という顔料が使用されていた。
B君:子どもが古い家を遊び場にしていて、剥がれ落ちた白色のペンキの破片を舐めるということで、鉛中毒になることがあった。
A君:鉛は、ヒ素と違って、ヒトにとって必須元素ではないようですから、減らすことは悪くは無いのでしょう。
C先生:いずれにしても、RoHSの有鉛ハンダ規制は、リスクという概念を重視した議論で決まった訳ではなく、予防原則を適用した例として考えるべきではないか、と思われるのだ。
EUは予防原則でものを考えるが、日本の環境規制は、
あ)汚染者負担原則
い)環境効率重視
う)予防的対策
え)リスクに基づく判断
の4つのバランスだとされていて、EUのように、予防原則だけで判断を下さない。
A君:そのリスクに基づく考え方が、日本社会に危険を撒き散らすと主張する人々も居ますが。
C先生:そこで、(8)有害物質規制の基本的な考え方。やはり、Riskベースでモノを考えること、を説明する必要がある。
最近、こんな図を作って説明しようとしている。
まず、ガソリンの添加物であった、四エチル鉛が使用されなくなったケースであるが、それは、こんな状況であったと言えるだろう。まず、図1の製品Aが十分な性能を出すことは出すのだが、同時に、リスクも大きかった。しかし、製品Bに切り替えることによって、リスクは圧倒的に低下することは分かっていても、性能が大幅に低下したり、コストが格段に上昇してしまうような場合には、切り替えは行われないが、性能の低下も、コストの上昇もまずまずの状態になれば、切り替えが行われる。リスクの評価は、時代時代によって変わる。したがって、以前は受容されたリスクでも、時代とともに、受容されなくなる。そして、リスクの低い(コストの高い)製品に切り替わる可能性が出てくる。

すでに述べたように、リスクに対する考え方は流動的である。特に、予防原則を適用することによって、リスクを過大評価を起こすような時代になったと言える現状では、この図2のような転換も起きる。すなわち、すでに安全域にあるような製品も排除の対象になる。この図は、有鉛ハンダから無鉛ハンダへの切り替えが起きた状況を示しているのではないか。
A君:歴史的な経緯を検討すればするほど、有鉛ハンダが起こすリスクがそれほどではないことが分かる。
C先生:似たような図なのだが、この図は、付随するリスクをどのように考察すべきかを示している。もしも、無鉛ハンダにインジウムのような資源的に限界のある元素を使ったら、トータルリスクとしてみると、かならずしも低下しない場合がありそうである。もしも、そのような場合が想定されたら、そのような材料は使うべきではない。

B君:コストファクターなどをもっと明確に示す図も必要のようだが。なかなか旨く描けない。
C先生:ということで、最後のまとめとして、(9)高性能材料の開発時のライフサイクル思想の重要性、を述べることにする。
これは、高性能材料も、開発時には、環境影響などを特に考える必要は無いのだが、製造段階を考慮するときには、単に、製造段階までの環境負荷を考えるだけではなくて、使用段階、リサイクル段階、廃棄段階まですべてのライフサイクル段階での負荷を総合的に考える必要がある。
すなわち、開発段階、実用段階、その後、と分けて考えること。そして、もしも、それが可能ならば、開発段階にも、すべてのライフサイクル段階を考慮して、どのぐらいリスクが管理可能か、すなわち、最善の対策をとった場合でも、どのぐらいのリスクが漏れ出てしまうか、といった発想を持つことが望ましい。
A君:まあ、当然のことですね。
C先生:そして結論。(10)元素を対象とした規制、物質を対象とした規制、について記述したい。
物質を対象とした規制は、比較的楽である。代替品が開発される可能性が高いからである。しかし、元素の使用禁止は、地球上に存在している90種程度の1つを使わないということであるから、その意味は、物質規制とは全く違う。特に、これまで多様な用途に使用されてきた元素の使用を禁止しようとすることは、現実的だとは言いがたい。
A君:多様な用途に使用されるということは、それだけ、メリットがあるということですからね。
B君:代替品の有る無しで、例外規定を作ることも可能ではあるが、最後には、法律を遵守させるには、分析を実施できるだけの枠組みを作る必要があるが、これが極めて困難になりがち。
C先生:Cdも非常に嫌われているが、将来、現在の太陽電池とは違った新しい形式の太陽電池ができるとしたら、Cdを使ったものになる可能性がかなり高いような気がする。
A君:いずれにしても、有害元素を使わないで、十分な性能が出るのであれば、それは代替されていくでしょう。当然、ライフサイクル全体で、評価をしていかなければならない。地球に存在している使用可能な元素量なども重要な考察要素になる。
B君:代替品ビジネスが成り立つのは事実だろう。無鉛ハンダの場合でも、千住金属(+松下電器?)はこれで儲けたに違いない。だから、代替品の開発をやることは、ある意味で重要なことかもしれない。
A君:代替品、あるいは、代替元素があるかどうか、これを実験的に検証することは、ある材料がどこまで使われるかを判断する重要な基準を提供するでしょう。
C先生:代替品が無いということになって、有害元素を含む材料を使っても良いということになった。そこで、リサイクルと最終処理に関して、極めて厳密な社会システムを作ったとする。しかし、いくら厳密な規制を作ったところでも、どうしてもリークは起きる。ここで、またまた判断が必要になる。だから、使わないのか、いや、やはり使うのか。これはまさに、どこまで管理できるか、ということに掛かる。
しばしば言われることだが、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して、再度使うことは可能ではあるが、そのプルトニウムをどこまで人類がどこまで管理できるのか、となると、これが最大のネックになりそうな感じだ。
A君:テロなどにプルトニウムを奪われると、大変なことになる。
B君:特に、毒性も強いし。
C先生:どこまで、人類を信用できるか、ということが、そこまで環境規制を厳密に作るかというに関する最後の問題なのかもしれない。
とにかく、元素の使用規制を行うことがいかなる意味を持つのか、RoHSを作るときに、技術的にも思想的にも、十分考慮されなかったような気がする。
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