| | 「食卓の安全学」&疑似科学 09.04.2005 |
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| 環境問題と食品の安全性の問題は、実のところかなり似ている。いずれも、リスクという概念をもっていることが不可欠であること、メディアの報道の影響を非常に強く受けていること、商売上「言った者勝ち」的要因が強いこと。などなどである。 今回ご紹介するのは、松永和紀さんの著書、「食卓の安全学」である。ISBN4-259-54677-5、家の光協会、1400円+税。 環境問題的な要素を含む食品問題を取り上げている著者は何人も居る。その中で、信用できる人は余り知らない。松永和紀さんはその一人。他には、と言われれば、群馬大学の高橋久仁子先生は教育学の先生。さらには、「食物とがん」のプロである東北大学の坪野吉孝先生は疫学の先生。 C先生:この本は、いささか構成が変わっている。最初は普通だ。様々な実例、例えば、「ココア」、「酒粕と味噌」が「みのもんた症候群」の例として、中国産冷凍ホンレンソウの残留農薬(クロルピリホス)問題で、実は、もっとも危ないのはエダマメだった。しかも、そこに含まれるのは、オメトエートと呼ばれる日本では農薬として認められていない物質、などなどが指摘されている。ところが、第2章が「科学記事はこうして作られる」、第3章が「科学記事を正しく見極めるには」、第4章が「正しい食品情報を簡単に得る方法」となっていて、実に、半分程度の100ページ余をメディアリテラシーと言える事象に割いている。 A君:これまで、ここほど科学記事の読み方や正しい情報の獲得法を書いた食品の本はなかったかもしれませんね。 B君:環境問題について、情報の獲得法の提供を目指しているのが、本ページ。その意味では、我々の発想法に近いものがある。 C先生:I上さんという日経関係の方に聞くと、身近なところでは、食品とか水、そして、化学物質、さらに、環境問題、そしてこれらの問題は最終的には疑似科学問題に繋がっているが、こんなことについて批判的なHPを自ら書いている大学人は、4名しかいないとのこと。 A君:最初の3件のHPは、 B君:ところが、4人目はいささか不明で、 C先生:ここでは詳しくは触れないが、「疑似科学とは何か」が分かっているか、分かっていないか、そのリトマス試験紙になりそうな本があるようだ。それは、江本勝なる人物が書いている「水からの伝言」とか「水はすべてを知っている」とか言った本。キーワードは「波動」。内容を知りたいかたは、天羽さんのブログの方をご覧下さい(http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/blog/index.php)。 A君:疑似科学を信じる人の感性とぴったり合った本を書くのも才能のうちでしょうかね。 C先生:読者側の最大の問題は、この本の内容を信じることが、疑似科学を信じることなのだ、という認識すら無い人が多いことだろう。噂では、この本を総合学習の道徳用の教材に使っている小学校の先生が居たとのこと。 B君:このあたり、すべての大学人・科学者が自分の意見・見解をはっきりと述べないと、1人の金儲けが旨い人間の嘘を潰せない。 A君:本HPで何回も言っていることですが、「波動」を謳う商品は、ニセモノである確率が99.999%。 B君:この江本氏なる人の商売は、どうも「波動」が分析できたり、転写できるという装置を支援していることではないか。この装置は詐欺だぜ。 C先生:まあ、大学人というものも結構いい加減なところがあって、自分に関係無いと思うと、全く反応を示さない人も多い。というよりも大部分がそうだ。反応を示したとしても、「無視」という反応が大部分で、それに対して戦う人間は相当変わっている。これも、大学人が社会貢献などをしても、業績にならないと考えているからか。さびしい限り。 A君:大分、話題がずれてしまいましたね。松永さんの話に戻しましょう。 B君:まず、この本の第2〜4章に述べられていること、すなわち、正しい情報を獲得する方法について、いくつか整理するか。 A君:了解
A君:新聞がいつでも間違った科学記事を書くと言う訳ではなくて、本来伝達されるべき情報が新聞社のビジネス優先姿勢のために伝達されないことが多い、ということだけを強調した方が良いのでは。 B君:もう一つの真理が、テレビは、単なるバラエティー、エンターテインメントだと思うべし。例外が多少あるだけ。 C先生:加えて、もう一つ難しいことが、ここでは議論されていない。それは、「×××が絶対にないことは証明できない」ということ。現状の科学が不完全だからということではない。今後、いくら科学が進歩してもやはり証明できないものはできないのだ。それが科学というものの方法論の限界でもあるのだ。 A君:その×××には、色々なものが入る。例えば、「お化け」。もしも本当に「いる」のであれば証明可能。一方、「お化け」が絶対に「いない」ことは証明不能。しかし、多くのまともな人々は「お化け」は心理現象であって、実在はしないと思っている。何故か?それは、「いる」ことは証明可能なはずなのに、これまで証明されたことが無いからだ。それを常識的に知っている。 B君:ところが、ある健康食品が「がん」に効くというが、実はそれが怪しいとする。しかし、上の文章の×××として「ある健康食品のがんに対する有効性」と入れると、「有効」ならそれを証明可能なのだが、「有効ではない」ということを証明することは不可能だということになる。となると、有効だと言い張ることが商売上有利に決まっているので、根拠がなくても、そう主張するのが健康食品の販売者。そして、一見、有効性が証明できているかのごとき誤解を与えるのだ。そこで信じる人が出てくる。 A君:「波動によって健康が改善されること」を×××に入れると、これが江本勝氏がやっていること。 B君:波動がなんだか分からないが、それが健康に効かないことは、ちょっと科学が分かっている研究者にはすぐ見抜けること。まともな研究者は、その機器のインチキ性を見抜いているから、誰もそれをまともに取り上げて研究することはない。となると、有効性を否定するデータは、いつまでたっても出ない。だから、有効だといういんちき情報を出した人の勝ち。 A君:まさにその通り。もっと研究者が真剣に取り組むべきような課題であれば、可能性を実証できない失敗例が積みあがるのに、最初からインチキが見え見えのことに対する「有効でない」実験例は決して積みあがらない。結果として、商売上の「有効」という主張が力を得ることになる。 B君:本来、商売を行う側が証明をする必要があるのだ。これは、法律的に決める以外に方法は無い。 C先生:ところが、現在の法律の仕組みが、そうなっていない。医薬品の場合、特定保健用食品の場合、などは、そうなっているのだが、いわゆる健康機器・用品は、ほぼ完全に対象外。 A君:やはり、松永さんが食品について言うように、自分で情報を得る必要があるのかもしれない。 B君:それは当然なのだが、やはり、科学者側が黙っていることが一つの問題点だ。 A君:そうかもしれないけど。とりあえず、松永さんが食品に対して提案している「正しい食品情報を簡単に得る方法」を紹介しましょう。 1.まず、テレビ、新聞で情報を C先生:まあ、かなり積極的な方法論で、ここまでできればかなりの実力者。 A君:6番目の「行政と市民団体のどちらを信じる」、というのは結構重要。新聞や他のメディアは、行政の過ちを叩いておくのが安全な手法なので、一般市民の行政への不信感は、必要以上になっている場合が多いと思うのですね。 B君:これまでの経験から、行政の一部に不信を持つことは重要かもしれない。しかし、それが必要なのは金が絡む場合であって、情報だけを流す場合には、かなり信用できると思って欲しい。 A君:もっともアスベストの禁止が遅れたことも、金がらみだと思われているかもしれない。 B君:まあ、それでは、もっと限界をはっきりさせて、市民の食品への安全性については、過去、行政からの情報伝達が不十分だったかもしれないが、このところ、かなりまともになっている。しかも分かりやすい方法が採用されている。 C先生:キンメダイあたりの痛い失敗への反省からなのだ。 A君:健康食品についても、国立健康・栄養研究所のホームページを見るのが必須。 B君:健康食品と言えるのは、特定保健用食品だけだと思えば、まず間違いは無い。 C先生:一方、健康機器に関しては、「無効なのは分かっているが、無害だからやらせ放題」で良いというものではない、と思うのだが。特に、江本氏が推薦していると思われる波動測定器は、なんと180万円もするのだ。もっとも、講習会などが商売の一部で、この機器を使って、詐欺行為をして儲けろというのが経営方針のようなのだが。 A君:活水器については、東京都からの勧告がでましたね。メーカーから提出された有効性の根拠が十分ではないとして。 B君:勧告を出して欲しいものがいくらでもある。波動測定器、波動転写機もその一つ。昔なら、マイナスイオン。今なら、除菌イオン。プロ野球の選手が付けている健康ネックレス。 C先生:最近、大手電機メーカーは、アカデミックマーケティングという言葉を使って、学会発表をしましたといことで、正当性を主張するようになった。 A君:松永さんも言っているように、学会発表などは、何の意味も無いのだ。誰が自発的に追試をしてくれたか、これが重要なのだ。あるいは、著名な論文誌に掲載されたかですね。これなら証明になる。著名な論文誌に掲載されれば、それに対する反論もこれまたその著名誌に掲載される可能性があり、多くの研究者が賛成・反対の両方の方向性から取り組む可能性が強いから。 C先生:そのあたりの常識も是非広めたいものだ。同様に、国連総会の会場で講演をしたから、といって科学的に正しいという証明には全くならないのだ。権威を持っていると社会から誤解されている機関は、もっと注意を払う必要がある。 A君:そろそろ終わりでしょうか。その前に、松永さんの本に書かれている誤解の例などについて、せめてリストだけでも作りましょう。 B君:協力する。誤解例は短文形式にする。 *中国産冷凍ホウレンソウは、殺虫剤クロルピリホスが農薬残留基準の50倍が残留 → コマツナだと基準内。本当に危ないのはエダマメだった。 *無農薬農業は農薬より危険な薬剤を使っている。 → クレオソート、クレゾール、ナフタリンなどなど。木酢液も危ない。 *有機農業は農薬も使う。 → 有機農業でも許可されている農薬デリス乳剤は、魚毒性が非常に強い。 *BSE問題 遺伝子組み換え食品 ヒジキ カドミ米 養殖フグのホルマリン 省略 C先生:なかなかの読み物揃い。 A君:今後の食と農の問題は、こんなものというリスト。 *最大のリスクは食料自給率 B君:もしも、これらの予測の中身を知らないという人は、是非一読を。 C先生:この予測には、ほぼ全面的に賛成。ということだが、本日のHPは、松永さんの本を紹介すると言いつつも、どうやら、他の議論が長くなってしまったようだ。 |
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