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 新型インフルエンザの家系図1    05.31.2009
     



 筆者が所属している製品評価技術基盤機構(NITE=ナイト)は、国立感染研と協力しつつ、インフルエンザウイルスの遺伝子解析をしている。
http://www.bio.nite.go.jp/release/press20090520flu.html

 インフルエンザの塩基配列の全長は約13、000塩基で、その中に、8つの遺伝子が含まれている。

 国立感染研によって不活化されたウイルスを用いて、まずは治療にとって重要なタミフル耐性株かどうかの解析を行うこと、そして、全塩基配列を解析して、ウイルスの家系図を書くことがNITEの役割である。

 5月29日にその第一回の家系図を発表した。
http://www.bio.nite.go.jp/release/press20090529flusankou.pdf
 読めるギリギリまで小さくしたものをここに掲載する。



図1 NITE版家系図の縮小図

 朝日新聞も5月30日朝刊で、この図を簡略化して取り上げている。



図2 朝日新聞による簡略化した家系図

 この図からでも概略は分かるのだが、図1を見ていただくと、さらに色々なことが分かる。


 まずは、神戸・大阪の集団感染とも言える発症について、いくつかその伝染経路について示唆を与える情報を整理してみよう。

成田経由の大阪府立高校=成田経由北米系

1.カナダから米国経由で成田空港に5月8日に帰国した男子生徒2名と教諭1名が新型インフルエンザに感染していた。
 国際交流事業に市内の他の府立高校2校の生徒計30名と教諭6名でカナダ・オークビル市の高校などを訪問した。全日程は、4月24日から5月8日だった。

2.最初に発症した男子生徒は、5月5日夜に38度の発熱だった。


神戸の動向=神戸集団系と略称

1.神戸高校では、「5月に入り欠席が増加」という表現を見たが、連休中のこともあって詳細不明。

2.5月8日に、神戸高校と兵庫高校とバレーの交流試合を行った。
 当日、神戸高校のバレー部員の一人生徒Aが体調を崩していた。翌日には、神戸高校バレー部で別の2名が部活を休んだ。

3.生徒Aは11日に悪寒を訴え、15日に新型インフルエンザであることと判定された。

4.その後、3名が新型の判定。以上の数名の高校生は、いずれも海外渡航をしていない。


大阪の動向=大阪集団系と略称

1.5月11日 高校2年のクラスで2〜3人が欠席

2.5月12日 欠席者が12人に増加

3.5月13日〜15日 学年閉鎖

4.5月16日 授業を再開したが、84人が欠席。

5.5月16日 「新型インフルエンザの疑い」と茨木保健所から連絡


 図1から分かることは、まず大阪集団系と神戸集団系とは極めてよく似ていて、恐らく同一人から広まったのではないか、と想像できる。これは大阪・神戸集団系とでも表現すべきだろう。

 さらに図1から分かることは、成田経由北米系と大阪・神戸集団系とはかなり違うことである。

 ここで、NITEからの発表は終わっている。そのため、朝日新聞も図2のような簡略化した系図を掲載したものと思われる。

 しかし、よく見れば、さらになんらかの意味が読み取れそうである。

 韓国株と大阪・神戸集団系が極めて似ているという事実である。このようなことになるには、いまだ特定されていない大阪・神戸集団系の原因となった最初の感染者について、3つぐらいのケースが考えられる。

ケース1:4月末から5月はじめにメキシコへの渡航歴がある。

ケース2:4月末から5月はじめに韓国への渡航歴がある。

ケース3:4月末から5月はじめに英国などヨーロッパへの渡航歴がある。

図1をじっと眺めていると、どうしてもケース2の可能性が高いような気がしてくるのだが、読者の皆さんはいかがだろうか。

 韓国の最初の感染者は修道女で、メキシコで二週間ほどボランティア活動をして、ロスアンゼルス経由で4月26日にソウル・インチョン国際空港に大韓航空 (KE018)で帰国している。空港まで車で迎えに行ったもう一人の修道女が第二感染者であった。第三の感染者は、大韓航空に同乗していた人ではないか、と言われており、同機には337名の乗客が居たが、その内155名が追跡不能だとされている。
http://media.daum.net/society/view.html?cateid=1013&newsid=20090503104405934&p=yonhap

 ちなみに、韓国から関空への飛行機は毎日14便程度。メキシコからの旅行者が乗りそうなサンフランシスコあるいはロスアンゼルスから関空に到着する飛行機は毎日1.5便程度であり、ヨーロッパから関空は毎日4便程度。

 いずれにしても真相は永遠に謎であり、解明されることは無いだろう。