省エネの復習その2    11.20.2010   

       化石燃料の賢い使い方とは



 IEA(国際エネルギー機関)が中国での2010年の会合を終えた。その報告書、エネルギーアウトルック2010の説明資料が公開されている。
http://www.iea.org/speech/2010/Tanaka/weo_2010_beijing.pdf

 関連資料として、田中IEA事務局長が日本での2010年8月の講演資料が公表されている。
http://www.iea.org/speech/2010/Tanaka/NEDO_6Aug.pdf

 一方、環境省の中長期ロードマップ小委員会の中間とりまとめが行われつつある。こちらでも、エネルギー供給は大きな問題である。しかし、議論の中心は、再生可能エネルギー導入政策にあって、全般的な議論をする余裕が無い状態であったと思われる。
http://www.env.go.jp/council/06earth/y0611-16/mat07.pdf

 エネルギー関係の議論をするときには、現在が化石燃料時代のまっただ中にあって、化石燃料がもっとも安価なエネルギー源であるという現実を踏まえて、地球温暖化というリスクとの整合性をどこでとるのか、議論が必要のように思える。

 これも当然のことなのだが、その中で、省エネというもののあり方を考えなければならない。

 ということで、今回は、省エネの復習第2回で、題名は、化石燃料の賢い使い方とは何か。



C先生:ということで、本来ならば、第1回目に行わなければならなかった話題なのだろう。どんなスタンスで議論をするのだろうか。

A君:IEAのWorld Energy Outlook 2010=WEO2010は、議論のベースラインのようなものですから、その概観を見ることからでは。

B君:それは次回以降の方が良いのではないか。最近、このHPがかなりプロ向け化してしまったようにも思うのだ。そのため、我々の基本的なスタンスというか、いちいち説明をしていないのだが、なにか当然のこととして考え方のベースになっている事実ようなことを明らかにしたい。その上で、様々な議論を進めるべきではないかと考えている。

C先生:それは重要なことなのだ。一応、化学と材料というものが我々のもっている基本的な学問体系なのだが、その育ちが与えている基本的なスタンスというものが、果たして、汎用的だと言えるのかどうか、もう一度考えることは必要不可欠。

A君:今回、化石燃料というものの賢い使い方を考えるということが題材なので、やはり、化石燃料とはどのようなものなのか、もう一度復習することは必須だと思います。

B君:エネルギーというものの全体像を考えた上で、化石燃料の特徴を考える。

C先生:現代文明というが、実は、現在の文明は、エネルギー文明とも言うべきもので、しかも、その大部分は化石燃料文明なのだ。分かった。基本中の基本といった議論から開始し、IEAのWEO2010の話は、次回以降に継続することにしよう。

A君:エネルギーの全体像から行きますか。例えば、位置エネルギーとは何かとか。運動エネルギーとは何かとか。

B君:それも止めよう。エネルギー変換の話も止めよう。日常使えるエネルギーに限定し、化石燃料との関連を考えるという方針にしよう。

A君:了解。日常的に使えるエネルギーを考えましょう。まず、一般的な使用を考えるときには、まずはこれらを考えればよい。
(1)電気(火力発電、原子力発電、水力、再生可能エネルギー)
(2)燃料(気体、液体、固体)=化石燃料だと考えれば良い。

B君:何が賢い使い方かを考えるために、家庭内での使われ方をリストすると、
(a)熱源(暖房、給湯)
(b)動力源(家電など。照明用、テレビやパソコンを含む)
(c)自動車(移動)用動力源

A君:オフィスや業務用などでの利用も考えると、これは、家庭用と同じでよい。

B君:産業用を考える。エネルギー、特に、化石燃料として重要なもう一つの役割が、日常生活に材料や製品を提供すること。
(T)金属材料の製造(還元)=化石燃料
(U)プラスチックの原料と製造=化石燃料
(V)動力源=ほとんど電気
(W)熱源=化石燃料と電気

C先生:一言。産業用というと工業だけを考えがちだが、農業用途もここに入る。例えば、玄米1kgを作るのに、原油換算で、0.35リットルのエネルギーが投入されている。
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/energy-in-japan/energy2010.pdf

A君:運輸部門というものも別途あって、移動用の可搬型動力源が必要。
(あ)可搬型(ガソリン、軽油、天然ガスなど)
(い)可搬型(電池)
(う)動力線(電車、トロリーバス)

C先生:こんなところか。現時点で、日本のエネルギー供給の全体像を簡単に記述してくれ。

A君:それが意外と難しい。なぜならば、電気をどう考えるかという問題があるからです。

B君:使う側は電気を使っているという理解しかないが、実際には、化石燃料を燃やして電力を作っている。

A君:この思い込みが、電気自動車が排気ガスを出さないという思い込みにつながる。実際には、大量の排気ガスを別のところで出しているに過ぎないとも言える。

B君:電気自動車は英語だとElectric Vehicle=EVと訳すが、「排出は余所だという車、Emission Elesewhere Vehicle=EV」と揶揄されることもある。

A君:このあたりの説明については、このHPが結構分かりやすい。
http://www.iae.or.jp/energyinfo/kaisetu.html
 このHPが全部理解できれば、エネルギーのセミプロと言えるのでは。

B君:エネルギー総合研究所のページか。なかなか工夫されている。今の話題については、特に、この図がなかなか意味深い。


図 エネルギーを電力に変換するということ。エネルギー総合工学研究所より。
http://www.iae.or.jp/energyinfo/energykaisetu/kaisetu5.html

A君:エネルギーと用途の関係も、結構難しい。例えば、日本は石油を年間何億kl輸入して、何%が輸送用に使われているか、という問に答えるにはどうしたらよいか。

B君:現状だと、この図から読み取れる。一番左にある一次エネルギーの47%が石油。それが、右にある部門別で、運輸部門が23.5%。これが正しければ、石油の50%が輸送用だと言える。ただし、運輸用なので、電車による使用量や電気自動車を無視すれば、という条件付き。自動車と飛行機は入っている。

C先生:そんなところで、賢い使い方の話にいこう。

A君:賢いとは、いくつか要素がありますが、エネルギーの使い方で何が「賢い」か、と言われれば、それは、
(1)効率が高いこと
(2)使い勝手が良いこと
この2点に限られるのでは。

B君:安全なこと、というのもある程度は入るかもしれない。しかし、もともと、エネルギーの利用に限らないが、利便性の追求は安全性とのある程度のトレードオフを容認しなければならない。例えば、飛行機だって、自動車だって、安全性が完璧な訳では無い。

A君:効率が高いということの定義は簡単ですが、使い勝手が良いことの定義とは、何でしょうか。

B君:そうだなあ。
(1)準備なしにすぐ使えるとか、
(2)いつでも使えるとか、
(3)無くなる心配がないとか、
(4)性能がいつでも一定とか。


A君:現在供給されている電気は、停電しない限り、そんな条件を満たしますね。

C先生:モンゴルの話を繰り返すけど、3泊滞在したが、トータルで3時間ぐらい停電した。レストランとホテルでだが。街灯などには給電されていたようなので、その館内のトラブルだったのかもしれないが。
 日本の現状では、電力は使い勝手が良い。

A君:都市ガスの供給も同様で、地震でもない限り、ガスの供給が途絶えることは無いですね。

B君:諸外国だと、ガソリンの供給が途絶えるといったことも起きる。無くなる心配がないということに関しては、備蓄ができるといったことも重要なことなのかもしれない。

A君:効率が高いこと、ということをどう考えるか、これも実際のところ難しい。なぜなら、電力などだと、ユーザ側の選択で何か改善ができるということではないですね。

B君:そうかもしれない。経済効率であれば、価格に関連することなので、場合によっては工夫が可能になる可能性も無いとは言えないが、物理的な効率は、供給側だけで決まることだ。

A君:現在、火力発電による電力の発電効率×送電効率は、いくらだと考えれば良いのでしょうね。

B君:どうも、決まりがあるようで、発電効率は40%と考える。発電所内での損失が、4.5%、送配電損失率というものが5.3%というデータがあるようだ。
http://www.eccj.or.jp/law/pdf/050916/2-1.pdf

A君:送配電損失率というものは、送電電流値でも変わるらしいですね。何が正しい値かということになると、難しいということなのでしょう。

B君:そういうことらしい。いずれにしても、総合的にはというか、利用者から見れば、100×0.4×(1−0.045)×(1−0.053)=36.2%程度の熱効率だと考えることになるのだろう。

A君:現時点では、火力発電の発電端効率が40%ということになっていますが、今後、どのぐらいの効率になるか、これが挑戦課題だということですね。

B君:天然ガスを使ったコンバインドサイクルで、1500℃といったガスタービンを使うと、59%という効率になるということだ。http://www.tepco.co.jp/tp/howto_h/macc/index-j.html

A君:となれば、利用者が使うときの熱効率は、53.4%程度になる。

B君:それでも、半分程度はどこかで損失しているということ。

C先生:電気自動車の効率が良いという話をちょっとやるか。

A君:電気自動車は、電力を使って動力にする訳で、現時点だと、36.2%の熱効率の電力を貯めて、モーターを動かす。充電してすぐ使うか、電池で貯めておいてから使うかで、多少違いますが、効率は80%程度はあるのではと言われています。

B君:となると、総合効率で28〜30%ぐらいということ。

A君:ガソリン自動車の熱効率ですが、エンジン単体であれば、30%ぐらいということになるのですが、実走行時には効率の高い条件で動いている訳では無い。アイドリングをしているし、加速時には効率も下がっている。

B君:実走行時の効率だと、まさに走行条件によるので、なんとも言い難いが、総合的に10%前後と考えて良いのではないだろうか。

C先生:追加情報。前回、エコドライブの話を若干議論したが、こんなHPがあるのが分かった。かなり理論的な計算がなされている。
http://www.nies.go.jp/kanko/news/28/28-3/28-3-03.html

A君:エコドライブによって多少上がるといっても、まあ限界がある。

B君:ハイブリッド車の燃費改善は、加速時のエンジン効率の改良、モータでアシストされるエンジンなのでトルク特性よりも効率向上を優先できること、エネルギーの回収による効率の向上もさることながら、やはり無駄であるアイドリングをしないことが大きい。

A君:ハイブリッド車の実走行燃費の向上は、1.7〜2倍ぐらいと考えれば良い。

B君:非常にざっくりした効率の理解は、普通のガソリン車:ハイブリッド車:電気自動車で、1:2:3。

C先生:ここで化石燃料を賢く使うという話になると、電池とガソリンのエネルギー密度の話になる。

A君:ガソリンのもっているエネルギーは電気エネルギーの単位で表現すれば、13000Wh/kg、一方、リチウム電池に貯めることができる電力量は、120Wh/kg。
http://kankyomedia.jp/news/20100114_8133.html

B君:100倍も違う。しかも、ガソリンタンクはかなり軽い。しかし、そのリチウム電池の値は、外装まで含まれるのだろうか。

A君:それは不明。

C先生:いずれにしても、電池というものが、ガソリンのような燃料、これを我々は化学エネルギーと呼んでいるが、要するに、化石燃料に比べると、電池は、理論的にみて相当不利であることが分かる。

A君:結論ですが、エネルギーを貯蔵するということを考えると、化学エネルギーで蓄えるのが賢い。

B君:化学エネルギーは「燃える物質」そのものなので、種類が3種類ある。気体、液体、固体。

A君:その3種類の比較ですが、基本的な相違が体積。先ほどの比較は重さあたりのエネルギー量でしたが、もう一つ、体積あたりのエネルギーというものがあります。
 例えば、ガソリンをオクタンという化合物、C8H18で代表しますと、通常液体で、0.7028 g/cm3という体積です。1Lあたり、0.7kgということです。
 先ほどの13000Wh/kgが、体積あたりに換算した数値だと、9100Wh/Lになりますね。

B君:温度を上げて気体にしたことを考える。しかし、体積膨張を無視すれば、分子量が114なので、0.7kgだと、700/114×24Lぐらいだと計算するか。147L。となると、エネルギー密度が、60Wh/Lとなって、電池の半分ぐらいになってしまう。

A君:これが水素エネルギーの難しい本質ですね。オクタンならば、燃焼熱が5500kJ/114g。1gあたりにすると、48MJ/kg。これを体積に直すと、33.6MJ/L。
 一方、水素だと、141kJ/gというデータがある。水素1gは、常温で12Lぐらいなので、11.7kJ/Lとなって、単位が1000倍も違うので、オクタンの1/3000の発熱量しかない。

B君:もしもガソリンなみの体積あたりの発熱量にしたいのなら、3000倍も圧縮しなければならない。
 一時、次世代自動車の本命だと言われた水素燃料自動車だが、我々がこのHPであり得ないと主張したのは、この差を埋める技術が難しいからだった。
 現状、700気圧ぐらいまでは圧力を高める水素タンクを作ることはできるが、限界的な技術なので、相当にコストが高い。もしもタンクが破裂したら、気体燃料の場合の危険性はとんでもなく高い。

A君:米国などにおいては、銃弾にも耐えないとならないというケースもあるので。

C先生:ここまでの結論として、エネルギーを貯蔵することを考えたら、液体燃料というものがいかに優れているかということだ。
 ガソリン、灯油、軽油などが便利に使われてきた最大の理由はこんなところにもある。 もっとも固体なら、エネルギー密度は高い。それなのに、なぜ液体燃料なんだ、という説明が必要だ。

A君:それが使いやすいということですよね。

B君:単に蓄える量だけの問題なら固体でもよい。しかし、エネルギーをあるところから、別のところに移すことを考えると、気体か液体が便利。なぜならば、流れるから。流体だからと言うと、学問的か。

A君:もしも石炭自動車ができたら、どうやって石炭をタンクからエンジンに供給するのでしょうね。

B君:まあ、大量の空気の流れに乗せて運ぶ。しかし、量を細かく調整しようということは不可能。

A君:アクセルなどという機能は、固体燃料のエンジンでは実現できない。

B君:エネルギーの転送速度ということも重大な要素。例えば、ガソリンなら、ガソリンスタンドで、簡単に供給できる。液体燃料の優位は変わらない。

A君:この話は、電気自動車の最大の弱点ですよね。すでに、このHPでも何回もでていますが。

B君:エネルギーの転送速度。電気の場合だと充電時間。これが最大の問題。iMiev程度のバッテリーでも、急速充電でも30分で80%程度の充電だと言われている。

A君:正月休みのために、岩手県まで車で帰ることを考える。走行距離が550kmとする。渋滞していて、平均時速60kmが可能とすれば、約10時間。暖房を入れながら、渋滞の中を進むことを仮定すると、フル充電でも60km走れば良いところだろうと想像できます。80%充電しかできないとすると、12回の充電が必要になって、もしも急速充電器が空いていてすぐにでも使えたとしても、充電時間だけで6時間。もしも、前に3台待っている車があると、充電開始までに1時間半かかり、充電完了までに1回あたり2時間。12回の充電だと24時間掛かる。

B君:長距離用と考えたときの電気自動車の悲哀。

C先生:化石燃料というものが電気に置き換わるという人もいるのだが、実際、エネルギー源、具体的には、気体燃料、液体燃料、固体燃料、電気などは、それぞれ特徴があって、それを他の条件、例えば、地球温暖化を防止するという条件などに照らし合わせて、賢く使うことが必要なのだ。

A君:ということは、自動車などというものがいつまで使われるかは別として、理想的な輸送体用のエネルギーは、液体である、ということになりますね。それがもっとも賢い燃料だという表現になりますか。

B君:温暖化に対して、なんら問題の無い液体燃料というものが、実は理想形。

C先生:それができるかどうか、最後に議論をしよう。
 先ほど、エネルギー源、燃料と電気などには、それぞれ特徴があるといったが、それが電気自動車へ適用しようとする場合には、どうやって走るかではないので、本質的な問題とは言わないが、別の問題がある。

A君:自動車には暖房と冷房が必要ということです。暖房。暖房と冷房の両方に使える自動車用のエアコンの実用化がまだできていない現状だと、暖房は、ヒーターでやることになる。

B君:自動車用暖房エアコンが無い理由だが、その回答がここにある。この質問の回答者はプロのようだ。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1117592516
要するに、
(1)暖房に必要な能力は冷房よりも大きい。
(2)自動車用となると、零下10℃といった外気温にも対応することになって、エアコンの効率はヒーターよりも効率より悪い


A君:同じQ&Aですが、部分的に引用させてもらいます。
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どうして暖房を使うと、走行距離が短くなるか
日本の気候(東京付近)で考えると、下記のような空調用動力が必要です。

・冷房 初期=2〜3kW 定常時=1〜2kW
・暖房 初期=8〜10kW 定常時=3〜4kW

一方、定常走行時の動力は下記の通りです。
・時速40km/hでの走行抵抗 4〜5kW

もちろん加速時は、たとえば15kW程度使いますが、それでも暖房がいかに多くの熱量(動力)を消費しているか、おわかりいただけるでしょう。一般に冬季、暖房を使うと、走行距離が半減することも、上記の数値からご理解いただけるでしょう。
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B君:暖房だけを考えると、現状の内燃機関を使った車がかなり賢いということになる。

A君:一方、冷房は、電気自動車の方が賢い。なぜなら、モーターで駆動することで、アイドリング時のように、エンジン効率の領域での利用を避けることができるから。

C先生:こんなことからも、ハイブリッド車という発想が車の室内の快適性維持という面でも本質を突いていて、結構、賢いことが分かるだろうか。
 それでは、最後の課題として、移動体用としてはもっとも賢いエネルギー源である液体燃料だが、地球温暖化と両立するようなものができるだろうか。これを考えよう。

A君:考える境界条件ですが、色々と考えないと。
 まず、排ガスに温室効果ガスを含まないから、放出できるというケース。

B君:要するに、炭素を燃やしてはいけない。現状なら水加ヒドラジン。ダイハツが一時、これを使った燃料電池車の開発を考えていた。
http://journal.mycom.co.jp/news/2007/09/19/011/index.html

A君:ヒドラジンN2H6そのものは、ロケット燃料などにも使われる燃料です。相当危険な化合物。水加ヒドラジンは、水の量を増やせば、引火性は制御できますが、残念ながら、皮膚に触れると大変。眼に入れば、重大な影響。

B君:やはり、実用化は難しい。

A君:となると、駄目なことは分かっているのですが、やはり液体水素。非常に軽い液体で、密度が0.07kg/Lしかない。水の1/14、ガソリンの1/10しかない。

B君:それだけで、エネルギー密度の低さが分かってしまう。気体の水素の体積は、0.00008kg/Lなので、もちろんマシだが。

A君:700気圧にすれば、0.056kg/Lで、ほとんど、液体水素と同じになる。700気圧のタンクか、液体窒素のタンクか、どちらが有利か。

B君:液体水素の温度は、−252.6℃だ。どんなことをしても、多少はどうしても気化してしまう。そのため、タンクから少しずつ放出しなければならない。あるいは極めて高圧に耐えるタンクを作らなければならない。

A君:少しずつ放出は危険ですね。特に、閉鎖された地下の車庫などでは。結局、同じということですか。

B君:車用として実用的な液体燃料で、炭素を燃やさないなどというものは存在しないのかもしれない。もしも、誰かが発明すれば、それは人類文明の歴史を変える。

A君:Nと水素の化合物が駄目ならと周期律表を見ると、炭素の窒素と反対側の隣はホウ素Bですね。BとHの化合物は、と。ジボランB2H6は気体。これは危ない。
 なんで、炭化水素はまずまず安全なんですかね。Bの隣がC、Cの隣がN。この間に、もう一つぐらい元素があれば良いのに。

B君:周期律表の間に元素があれば、などという夢は、銀河系の隣のアンドロメダ星雲にいっても実現できない。この宇宙全体の大きな縛りだ。

A君:水素とアルミの化合物などは固体ですね。

B君:水素吸蔵合金という考え方はある。多くの場合、ミッシュメタルという希土類金属の混合物に水素を吸蔵させるが、アルミの方が軽くて良い。

A君:調べてみたら、かなり古いですが、こんな記事が見つかりました。
http://journal.mycom.co.jp/news/2006/04/24/012.html
http://tftf-sawaki.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_3859.html

B君:ただし水素を吸蔵するという訳ではないようだ。使ったら交換というタイプになるだろう。

A君:やはりガソリンに変わる燃料は無いですね。

B君:バイオ燃料というものは一つの選択肢ではあるが、これもなかなか難しい。植物の生産を行うには土地が必要で、もしもバイオ燃料で自動車を走らせることになったら、森林などへの影響が避けられそうもない。

A君:油を産出する微細藻類を海洋で育てて、それをジェット燃料などに使うということが米国などでは真剣に考慮されていますね。これは、二酸化炭素の発生を気にしているというよりも、石油の自給ができなくなった米国として、軍事用のエネルギー安全保障が重要だという観点からだと思います。

B君:人工光合成ができれば、太陽光を上手く使って、原料として大気中のCO2を使って、何か有機物を産出するというのが究極の回答なのではないか。

A君:大気中のCO2を使うのでなくて、CO2を循環利用するシステムを作れば良い、ということになりますかね。何んらかの方法でCO2をトラップして、それを循環利用する。まず、再生可能エネルギーのフラフラの電力を使って水電解で水素を作る。その水素とCO2からもっとも簡単にはメタノールを合成する。
 これを燃やしてなんらかのエンジンを回し、またまた排気を処理して、CO2を固体化して回収。

B君:現実から離れてきた。あり得ない提案のような気がする。

C先生:どうも化石燃料の賢い使い方には成っていないようだ。むしろ、2050年でも、CO2を今の20%は出せるのだ、という発想で、その20%をどこで出すのか、ということを検討すべきではないか。

A君:エネルギー源としては、石炭は固定用でCCSを併用して、CO2排出ゼロの運転をする。石油はかなり高くなっているので、化学原料としての使用を中心にして、燃料としては使わない。

B君:となると、燃料は天然ガスだということになる。高圧天然ガスを燃やすことになるのか。タンクが大きいが。200kgf/cm2の圧力というから、ほぼ200気圧。普通の高圧ボンベ(150気圧)のような重さになるのか。

A君:材質はアルミ合金にFRP繊維巻き付け補強ということのようですから、鉄製の高圧ボンベよりは軽いでしょう。

B君:最初からそれなりの設計をすれば、なんとかなるか。

A君:そして、当然のことながら、プラグイン・ハイブリッド車で、都市内なら電気のみで走る。長距離になったときだけ、天然ガスで走る。

B君:プリウスのプラグインハイブリッド車の燃費が57km/Lということなので、天然ガス・プラグイン・ハイブリッド車になれば、燃費はとにかく、ガソリンより二酸化炭素排出量の少ないメタンが燃料なのだから、さらに二酸化炭素排出量が少ない自動車が可能になる。特に、トラックなどは、こんな方法になる可能性が無いとは言えない。

A君:石炭を使うときには、どのような用途でも必ずCCSを義務化。そして、自動車は天然ガスという考え方もありかもしれませんが、天然ガスは、家庭用の燃料電池用という考え方もあるような気がします。なぜなら、家庭用だと給湯関係の熱利用があるからです。電熱同時供給にすれば、効率が70%ぐらいになって、コンバインドサイクルの火力発電よりは効率面では優位に立てる。

B君:しかも、変動負荷に対応出来る可能性が高いので、例えば、電圧が90Vから100Vの間でフラフラの電力網であっても、それに対応して安定した電源にするためのスタビライザーになりうる。

C先生:可能性は高い。しかし、そのような場合には、燃料別のコスト負担をどうするか。何が公平なコスト負担なのかをしっかり考える必要が出てきそうだ。
 化石燃料の賢い使い方とは何か、ということを考えてきたが、今後、どのような化学的技術によって、物質変換をいかに効率よく行うことができるか、ということが化石燃料をいかに賢く使うことができるか、という鍵になりそうだ。
 人工光合成は、なんとしても完成させたい技術の一つだ。現時点で行われている太陽光から水素を出すという考え方は、人工光合成に行く道ではないし、賢い考え方だとも思えない。やはり、植物のように酸素を出して、残りを有機物として有効利用するという人工光合成でなければ、使い物にならない。
 炭素を含まない、安全な液体燃料などができる可能性は、無いとは言えないがかなり難しい。しかし、知恵を出さなければならない。
 水素の移動体への搭載方法も、現在のようなものでは限界だ。なんらかの技術が必要だ。
 水素以外の燃料が使える燃料電池の開発は、多少可能性が見え始めているが、完成を目指さなければならないだろう。
 2020年までの25%削減のための技術は、もはや見えている。しかし、2050年までということになれば、かなり多くの新規技術が開発されることだろう。どんな技術が欲しいのか。できるだけ想像力を逞しくして、可能性を考えるべきだろう。