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    省エネから拾エネへ その2 
  12.27.2014
                そして蓄エネも極めて重要




 省エネ・拾エネは、しょうエネ・しゅうエネという語呂合わせです。拾エネの定義は、わずかでも良いので、自然エネルギーを拾うこと。そして、災害国日本にとって重要なこととして、非常時に備えてエネルギーを蓄えること(=蓄エネ)も考えるべきことでしょう。省エネ・拾エネ・蓄エネを考えれば、将来実現すべきエネルギー供給構造が見えてくるように思います。

 拾エネと畜エネをもっと考えなければならないと思ったのは、次の異常気象のニュースからでした。

 ”冬型の気圧配置の強まりで西日本各地で積雪があり、徳島、愛媛両県境の山あいを通る国道192号で12月5日、トレーラーなど車約130台が立ち往生するなど、四国や中国地方で道路網に影響が出た。
 西日本の大雪は7日、峠を越えたが、各地で被害が相次いだ。徳島県では計約1300人が住む6地区の孤立状態が続いた。
 徳島県によると、県西部の三好市とつるぎ、東みよし両町の山間部6地区に通じる道路が倒木などで寸断された。7日午後9時現在、計656世帯1262人が孤立。陸上自衛隊員が道路の木を撤去したり、ヘリコプターで集落に降りて安否を確認したりしている。四国電力によると一帯の約1480戸で停電が続いている。”


 要するに、大雪で停電、孤立。IP電話つながらず安否確認が難航、という事態であった訳です。

 災害国家日本ですし、気候変動がかなり悪影響を与えるレベルになってきましたので、このような事態が今後頻繁に起きることを考えなければならないのです。

 安否確認ぐらいであれば、携帯電話、スマホがあればなんとかなります。電気毛布が動作するぐらいの電力があれば、寒さはしのげるでしょう。普段はIHで調理を行っている家がインタビューされていましたが、非常用に、LPガスか灯油を備蓄していたようです。しかし、家庭内において、化石燃料のエネルギーを使って発電する手段はまずありません。電源が無かったために、AC100Vが必要なIP電話は動作せず、携帯も電池が切れ、僅かな電力で足りる充電用の電源も無かったということのようです。

 となると、なんらかの方法によって、エネルギーを自ら獲得し、そして、蓄電する方法論を持った家庭は強いということになります。

 そこで、拾エネの仕組みをレベル1,2,3,4ぐらいに分けて考え、最低でもレベル1を実現することが、どの家庭でも必須なのではないか、そして、できればレベル2の実現をと思った次第です。

 レベル1=携帯・スマホや、エネループなどの充電が可能 
 レベル2=多少の暖を取る手段がある
 レベル3=冷蔵庫が動く程度
 レベル4=完璧な拾エネ・畜エネハウス



C先生:本日の話題は、短期的には、災害国家日本でますます状況が悪くなるであろう異常気象への対応を考えると、自己防衛として拾エネ・畜エネ手法を実現することをお薦めしたい。

A君:不思議なこととも言えるのですが、レベル4の完全な拾エネ・畜エネハウスが先に商品化されています。

B君:それは、住宅を新規に作るときには、かなりの先行投資でも行うという顧客がいるのですでに商売になっている。しかし、一旦住宅を作ってしまうと、それから改造をして、例えば、レベル3の停電時でも冷蔵庫を動かすことができる程度の住居に改造することは、まだ、商売になっていない米国は規制がゆるいので、若干の電気工事とDo It Yourselfでも可能だけれど、日本では難しい。

A君:しかし、レベル2ぐらいなら、なんとかなりますね。

B君:今回の徳島のケースであれば、それでも十分だった。さらに携帯電話・スマホとLED非常灯用のエネループが充電できるというだけのレベル1でもあるとないとの差は大きい。

A君:それでは、完璧な拾エネ・蓄エネハウスから逆向きに行きます。

レベル4 完璧な拾エネ・蓄エネハウス

A君:最近、ゼロエネルギーハウスは次のような状況になっています
 例えば、次のようなものです。
 ★屋根すべてを太陽電池にすることで、13.12kWもの搭載が可能。
http://www.panahome.jp/shiawase-hatsuden/
 これなら、確かにゼロエネルギーで生活が可能でしょうね。しかし、難点は、(1)新築に限ること。(2)現時点のFITの価格であれば、経済的にもメリットが大きいが、今後、FITの価格は下がる一方だろうから、将来ともに有効とは限らないこと。都会の真ん中で、(3)周辺に高層建築ができて、二階建ての屋根に常時太陽が照らすという状況が実現できるかどうか疑問であること。

B君:現在の家屋を改造してこの状態にするのは、まあ無理だ。屋根の構造からして、南片流れの家などはないので。全くの平屋根も存在していない。

A君:新築ばかりですと、どうでしょう、一回りするのに、平均でまあ40年ぐらいは掛かりますね。そうなると、2055年ですか。

B君:来年の12月に枠組みが決まるCOP21対応としは、2030年までが一つの目安だが、その対応策としても十分とは言えない。

A君:ということで、検討は終了して次に行きます。


レベル3 照明や冷蔵庫が動く程度から、調理が可能なレベルまで

A君:実は、この調理レベルになると、拾エネと呼ぶには、余りにも大掛かりな設備になる上、不必要かもしれないと思います。それは、ポータブル型のガスコンロで性能的に十分だからです。やはり、化石燃料というものはすごいものですね。
 もしも、どうしても電気でやりたいとなったら、これは結構大事になります。IHポータブルヒータを導入することになって、価格コムで売れ筋1位のパナソニックKZ−PH33で最大消費電力が1.4kWになります。通常のコンセントを独占して使うような製品なので。

B君:そうだな。4kW程度の発電ができる通常の家庭用太陽電池を設置してあれば、停電時にも独立運転というものが可能なので、100V1500Wコンセントが1個は使えるだろう。ただし、曇ったらアウトだ。いつでも使用可能とは限らないのが、太陽電池のつらいところである。

A君:となると、せめて冷蔵庫を動かそうということになりますか。100V200Wぐらいの安定な電源が必要。しかも24時間運転が前提なりますと太陽電池だけでは不可能なので、家庭用のかなり大型の蓄電池を使うことになりますね。最低でも、100V5kWh程度でしょうか。

B君:4kWh程度の発電能力のある太陽電池であれば、晴れたときには、1日15kWh程度の電力が供給できそうだ。これを貯めるとすると、やはりそのぐらいのサイズの蓄電池になる。

A君:そのような製品は高いです。価格ですが、これが参考になると思います。

値段はこれが参考になります。
https://sii.or.jp/lithium_ion25r/device/search
4割ぐらいの補助金があったようですが、年度の始めに早々に予算額を超えて終了になったようです。

B君:現状だと、公共用・産業用ということなので、相当ハードルは高い。

A君:太陽電池と組み合わせるという考え方だと無理ですね。

B君:多分そうだ。色々と調べてみると、唯一可能と思われる方法は、ハイブリッド車にオプションでAC100V1500Wの出力をもつコンセントが追加できれば、これは、相当の簡単だし、実現性がある。
 ただし、拾エネというコンセプトからは完全に外れる。ガソリンという手段を含めた非常時用畜エネの一種だと考えるべきことで、二酸化炭素排出抑制とは遠いところにある話になる。

A君:1500Wのコンセントですが、トヨタのハイブリッド車は、かなりの車種でオプションで付けることができるようです。
http://www.yokohama-toyopet.co.jp/accesary_concent/index.html

B君:三菱のPEHVもオプションがある。

A君:これは、米国ではオプションになっていないのかもしれない。プリウス用を自作した強者がいます。
https://www.youtube.com/watch?v=Uh02JLAP3lo へのリンク

B君:いやこれは、220Vを自宅へ供給するという話のようだ。米国の標準電圧の117Vではなくて、なんと100Vらしいが、米国でもプリウスなどの正規オプションになっている。
http://techon.nikkeibp.co.jp/english/NEWS_EN/20121025/247531/

 2012年に米国ニューヨークを襲ったハリケーン・サンディの後の大停電のときに、プリウスからタンク3/4程度のガソリンで、ほぼ1週間の電力が供給できたという話が残っているが、そもそもハリケーン・サンディがニューヨークを襲ったのは、2012年10月29日なので、プリウスがオプションとしてAC100Vを供給するようになった時期とほぼ同時期。
http://oilprice.com/Latest-Energy-News/World-News/
Man-Uses-a-Toyota-Prius-to-Power-his-House-During-Weeklong-Blackout.html

 なんだ。じっくり読んでみれば、12VDCにインバーターを付けて照明、テレビ、コンピュータに1週間に渡って電力の供給を続けたが、そのためのガソリンはタンクの3/4を使っただけだったとある。冷蔵庫は動かしていない

A君:確かに冷蔵庫は無理かもしれません。なぜなら、シガーソケットから取り出せる電流の最大値が、国産車だと最低のもので10Aでしょうか。12V×10A=120Wなのです。

B君:ということは、ハリケーン・サンディのときの話は、上に示したYouTubeのように、バッテリー付近のコネクターから12Vを取り出したということだろう。

A君:しかも、そのYouTubeでも言われているように、正弦波を出すインバーターでないと、電気製品が壊れる可能性があります。ポータブルパソコンの場合には、経験的に大丈夫ですが。

B君:正弦波出力のインバーターは多少高いが、Amazonで2000Wのものが29800円で売られている。しかし、これだけの容量のものを安全に車に付けて使うには、相当の技術力が必要だろう。

A君:400Wのものは1万円以下ですが、この製品だと付属のケーブルがバッテリーの端子に繋ぐクランプがあるものになっていますので、安定性・安全性の両面で怪しいです。本格的には、YouTubeのやり方になるのでは。
 ただ、容量的に言えば、400Wでもハイブリッド車なら楽々大丈夫でしょうが、普通の車だとオルタネータ(発電機)の出力は800Wぐらいらしいので、まあまあ大丈夫といった程度でしょうか。

B君:このぐらいの投資で、普通の車でも、エンジンを掛けっぱなしにすれば、12Vの出力を使って300Wぐらなら取れるということにはなる。

A君:東京都では駐車中にアイドリングを続けることは都条例違反ですが、非常時なら大丈夫でしょう。
https://www.kankyo.metro.tokyo.jp/faq/idling.html

C先生:大分長い話になったが、結論として、家庭用電力を供給し続けるということは、相当に難しい通常の家庭用の太陽電池があれば、晴れたときだけは可能。24時間となると、プラグインハイブリッドがあれば、1500Wまでが、まあまあ可能というレベルだ。しかし、一週間の供給は無理なのではないか。
 しかし、非常時でもそこまで要求しないで、300Wぐらいを上限にして、エネルギー源としてあらゆる車の活用を考えるておくことが極めて重要だということだろう。


レベル2 LED照明あるいは多少の暖を取る手段を作る(電気アンカ25Wを1枚使える)

A君:本当の非常事態対応になりますね。それこそ、小規模太陽光発電でしょうか。

B君:方法論としては、いろいろ考えても、そんなことになるのではないか。
 要するに、ポータブル型の太陽光発電によって、若干の電力を発生して、それを蓄電池に貯める。
 まだ理想的なものは無いけれど、こんなものは市販されている。
(1)コールマン
http://item.rakuten.co.jp/otogino/solarpanel-55w/
(2)クマザキ
http://www.kumazaki-aim.co.jp/2012/12/sl200.html
http://www.kumazaki-aim.co.jp/2013/03/slp28.html
この二点の組み合わせ。
(3)アタッシュケース型
http://item.rakuten.co.jp/otogino/petc-fd-15w/
(4)ホームソーラーキット
http://item.rakuten.co.jp/otogino/hs1800/
(5)世界一小さな発電所を謳う製品
http://www.system-talks.co.jp/product/battery/npp_nr.htm


A君:これらならば、比較的簡単にシステムを組み上げることになりますが、予算は、数万円から十数万円になりそうです。

C先生:類似の太陽光発電なのだが、米国ではマイクロインバータと呼ばれる方式がかなり市場に出回っている。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130926/305658/?ST=ndh

A君:この方式になれば、これまでのパワコンを使わないので、数枚の太陽電池を簡単に設置することが可能になりますので、悪くはないですね。

B君:それに、通常のパワコンを使った場合に比べても、部分的に日陰になった場合の出力ダウンが少ないようだから、色々なところに太陽電池を設置することが可能になる。

A君:太陽電池モジュールの追加が簡単だということもメリットですね。

C先生:これはまだ日本で設置することはできない。規制緩和が必要なのだ。非常用としても理想的なので、日本の市場にも適している。是非とも、規制緩和を急いで貰いたいと思う。

B君:災害対策を除外して、本当の意味での拾エネとなれば、太陽熱温水器がかなり重要。ところが、このところ、太陽熱温水器の普及台数は減少傾向にあるようだ。

C先生:太陽熱温水器については本来もっと活用されるべき機器だと考えている。
http://item.rakuten.co.jp/otogino/solarpanel-55w/
の記事にあるように、風呂のお湯のために、一世帯あたり一日に電力換算で約10kWhものエネルギーが必要とのこと。たった42℃ぐらいのお湯なのだから、エネルギーの質としては低いものなので、太陽熱が最適なのだ。

A君:太陽熱温水器のシステムはそれこそ、ピンからキリまで。ここでは、その極限である。自作太陽熱温水器のサイトをいくつか紹介してみます。まさしく、拾エネの見本のようなものです。

http://www.hidenka.net/hidenkaseihin/solarcollector/solarcollector.htm
http://solar.take-4.net/
https://www.youtube.com/watch?v=V45901do6DU
http://www.cwo.zaq.ne.jp/rupisu/sun/sun010i.html
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1410/28/news044.html

C先生:持論としては、南側の壁面に設置することで十分の効果がある。太陽光発電と同様の考え方で夏の南中高度が最適角度だという考え方で設置すると、夏には沸きすぎで不要になり、冬には不足する。本当の最適角度は60〜70度だと思うけれど、垂直面に吸熱板を設置するという形で十分。面積としても、1世帯で6平米もあれば良い。

A君:不凍液循環型であれば、格好も悪くはないですね。ただし、若干の電力がポンプ用に必要ですので、それは太陽電池を付けることでカバーするとより環境適合型になります。

C先生:設備によって、エネルギー獲得量はほぼ決まるので、是非、FIT制度の中に加えて貰いたいと思っている。


レベル1 携帯・スマホや、エネループなどの充電が可能 

A君:折りたたみ式などの太陽電池で充電をするタイプ。このジャンルだと色々ありそうですね。

B君:ソーラーチャージャーという名前で検索をして貰えば良いと思う。

C先生:非常時のときに連絡が付かないという事態が起きることを想定して、このレベル1程度のことは、すべての家庭で準備しておくべきなのではないだろうか。

A君:最後に一つだけ。足踏み発電機。ジムでエアロバイクで発電できるようにすべきだ、という主張をしていたら、最近、そんな製品があることが判明。
http://www.alinco.co.jp/product/prod_item.html?itemId=I20121029002

B君:非常事態になったときには食料が不足することを考えると、これはダメかもしれない。

A君:もう一つ。四国の例では、通常時には、IHクッキングヒータを使っていたけれど、それでは不安なので、LPGを使ったガスコンロが予備用としてあったようです。ところが、この熱エネルギーを電気に変換することができなかった

B君:なるほど、熱電発電装置付きの鍋の話をやる気だな。
http://tes-ne.com/Japanese/pot/

A君:産総研の技術移転ベンチャーとしてできた会社のようですね。

B君:鍋が29925円もするけれど、これで、20Wの出力があるらしい。21000円のもだと7W。

C先生:さて、まとめるか。今回は、非常事態対応の発電ということで拾エネ・蓄エネを取り上げてみたけれど、このコンセプトをもっと推し進めることで、二酸化炭素排出削減のための拾エネと蓄エネにつながっていくように思えるのだ。
 特に、プラグインハイブリッド車の非常事態対応能力が広く認識されることによって、多くの車がかなりの量の電池を搭載するようになり、それが、Vehicle To Home用の電池として使われるようになれば、自然エネルギーの不安定さを緩和する巨大蓄電装置として使えるようになる可能性がある。
 現時点で、日本には約6000万台の自家用乗用車があるらしい。その1/3がプラグインハイブリッド、もしくは、電気自動車になって、20kWhの電池を搭載したとすると、日本全体に4億kWhの電力を貯めることができる装置ができたことになる。
 相場観を共有するためのデータだが、日本の1年間の発電総量は、電気事業連合会によれば、2012年で9408億kWh。一日あたり25億kWh。
 経済産業省は6月下旬に、2014年3月末までの再生可能エネルギー発電設備の導入状況を発表し、運転開始した発電所は累計895.4万kW、設備認定容量は6864.2万kWだった。
 もしも設備認定容量のすべてが発電を開始したとすると、最良の条件だと1日で2億kWhを発電することになる。勿論、最悪の条件だと発電量はほぼゼロになる。
 車が動くのは1日に平均的に1時間とされているので、駐車状態のときはいつでも、電力グリッドに接続されているような状態を作れば、太陽電池の発電量のすべてを安い価格で車に充電し、発電量がゼロのときには、車から電気を高く買うというという運用を行えば、電力グリッドの安定性にかなり寄与できるものと思われる。
 当然のことながら、これが実現するには、電力網が直流送電などによって強化されて、九州の電力を関西で、北海道・東北での電力を関東で使えるようにならなければならないという課題が残るのは事実であるが。