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低炭素得意技を主張できない日本2 08.01.2010 |
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前回の続きである。前回のHPで、一部の図が未完成のまま放置されたことを陳謝。 この1週間の関連事項。原子力について、東芝が新型炉の発表を行なった。小型炉で、30年間連続運転が可能という。これが日本の得意技になるのかどうか。設置場所は、まず、都市の大深度地下になることだろう。その地域のエネルギーは、その地域で作るということになるかもしれない。 「東芝独自の小型炉で、出力は1万〜5万キロワット。熱を伝える冷却材に液体ナトリウムを使うことで原子炉が小さくなるほか、保守管理の負担を大幅に減らせ約30年の長期連続運転が可能になる」。 もう一つ。6月3日に経済産業省がまとめた「産業構造ビジョン」だが、 http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004660/index.html ほぼ2ヶ月遅れでやっと目を通した。非常に大部な文書であって、目を通すだけでもなかなか大変。もっとも簡単に理解しようと思えば、 「産業構造ビジョン2010骨子」なる8ページほどのPPTによる文書に目を通せばよい。 http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004660/vision2010gist.pdf ただし、現状分析のプロセスがこの骨子には含まれていないので、この提案の妥当性を検討するには、この骨子だけでは不十分かもしれない。 この骨子だけでも、よくよく見れば、国内予選でエネルギーを消耗させている日本産業と韓国産業との比較、エネルギー自給率を向上させることの重要性、人口減少に伴なう労働人口の減少、などが検討されたことは理解できる。 今後の日本の稼ぎどころとして、5つの分野が挙げられている。(1)インフラ関連/システム輸出、(2)環境・エネルギー課題解決産業、(3)医療・介護・健康・子育て、(4)文化産業立国、(5)先端分野(ロボット、宇宙など)。 C先生:前回の続きをやろう。産業構造ビジョンに比較すると、かなりピンポイントの話になるが、基本思想は似たところがあるのだが、我々の視点はもっと近いところにあるということのようだ。これまでの産業構造だと分類されている「高品質・単品売り」を継続すべきだが、当面、これをもっと国家戦略的に行うべきだというのが、今回の2回のHPの主張だと理解しよう。 A君:いずれにしても、前回のリストを再掲します。 *固定価格買取制度の拡充などによる再生可能エネルギー −太陽光 −風力 −小水力 −バイオマス −地熱 −など *IT技術を活用した低炭素社会 *原子力利用の着実な取り組み *蓄電池 *次世代自動車 *火力発電所の効率化 *情報システムの低消費電力化 *省エネ家電の普及 *日本型スマートグリッド *リサイクルの推進 *レアメタル・レアアースの代替材料 *エコ住宅の普及 *ヒートポンプの普及拡大 *LEDや有機ELなどの次世代照明 *緑の都市 *オフィスビルの更新 *公共交通の利用促進などによる地方都市 前回、次世代自動車のところで終わっています。今回は、 *火力発電所の効率化から。 B君:日本の技術は優れているようだ。中国がもっとも欲しがっている技術がこれか。 http://www.mhi.co.jp/products/category/integrated_coal_gasfication_combined_cycle.html A君:IGCCと呼ばれる石炭ガス化複合発電ですね。これは三菱重工の国産技術。 B君:その次に来るかもしれないのが、SOFC(固体電解質型燃料電池)+ガスタービン+蒸気タービンによるコンバインドサイクル。これも三菱重工。 http://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/451/451027.pdf A君:SOFC製造の基本となるセラミックス電解質の検討は、日本の特技のひとつになりうる。 B君:これが実用化されると、発電効率が70%まで期待できるかもしれない。 C先生:1970年代、日本がエネルギー技術を盛んに研究していた時期だが、似たようなシステムの提案があった。それは、MHDを使ったコンバインドサイクルだった。MHDとは、Magneto-Hydro-Dynamicsのことで、プラズマ流体などを磁界に直角に流すと、ファラデーの原理で発電が行われるというもの。しかし、実現しなかった。その理由だが、結局のところプロジェクトの成否を材料が握っていた。イオン化を促進するために、アルカリ元素を使おうとしていたのだが、高温の流体だけならまだしも、アルカリ分を含む高温の液体に耐える電極材料が無かった。システム屋は、材料などはなんとでもなると思って、このような提案をしたのだが、そうは行かないのだ。 A君:核融合が現在そんな感じのように思えますね。やはり材料開発がネックになりそう。 B君:材料開発というが、そんなに自由にはならない。なぜならば、この地球上に存在している元素は限られている。 A君:現在の科学が立脚しているのは、この地球の元素構成ですよね。あるいは、宇宙を構成している元素構成といった方が良いかもしれない。全く別世界であれば、MHD発電も実現できるのかもしれませんが、この宇宙では無理。この宇宙という言葉は、銀河系という意味ではないです。お隣のアンドロメダに行ってもやはり無理です。 B君:アンドロメダと我々の銀河系は、40億年後には衝突すると言われているが、その後も、使える元素が増える訳ではない。まあ、それまで人類が居る訳もないので、何の期待も心配も無用だが。 A君:10億年後には、太陽が活動を高め、その熱のために、地球の気温は高温になりすぎて生命は消滅。その後、数10億年で、太陽に飲まれていますからね。 B君:その前に、アンドロメダと衝突するのか? C先生:突然現実に戻れば、火力発電所の効率向上は、ひとつの鍵。三菱重工が頑張っていることと、日本のセラミックス材料関連企業が、稼ぎのネタを作る可能性がある。 A君:次はこれです。 *情報システムの低消費電力化 B君:インターネットのトラフィックが増えるばかり。現状だと、YouTubeなどを見るのが大きい。ビデオのデマンドサービスなどが本格的に普及したら、相当なことになる。 A君:そのうち、本もインターネットで買う。 B君:しかし、そのサイズはそれほど大きくはないと思うが。 A君:いずれにしても、サーバーなどの消費電力が下がれば、これは省エネになる。サーバーの電力を下げると、必要なエアコンの大きさも小さくなって、二重に効くのが実態ですからね。 B君:これは、半導体素子の開発。ノーマリーオフ型とか。 A君:待機時電力をゼロにすることもできますね。http://techon.nikkeibp.co.jp/article/HONSHI/20090427/169435/ B君:しかし、本当は情報システム用というよりも、インバータを制御する半導体の高効率化が必要なのではないか。 A君:その通りですね。それが抜けている。プラグインハイブリッド技術の高効率化に利きますから。 B君:半導体としては、シリコンではダメで、SiC、GaN、そして最終型がダイアモンドなのかもしれない。 A君:この研究は、まだまだ各社が競争状態。このような技術開発を一元化して行うことは、日本の場合だと余り好まれなかった。それは、やはり国内の企業がまずは、ライバルだから。海外企業との開発速度を問題にするとなると、トップに集中的に投資をすることが重要になる。 B君:この技術は、まだ基盤技術で、すぐに消費製品に直結するものでもないので、日本にとって重要な技術ような気がする。 C先生:ハイブリッド用のモータは極めて大きいから重要なのだが、エアコン用などのインバーターなどの半導体の効率が上がれば、これは大きい。次の *省エネ家電の普及 の重要な要素でもある。 A君:これは2つの要素がありますね。ひとつは、半導体技術ような見えない部分での省エネの実現。冷蔵庫の例では、真空断熱がそれに相当したのかもしれませんが。 B君:もう一つが、やはり新コタツ文明的な考え方。センサーを活用して、無駄なエネルギー消費を極力抑える。 C先生:そう言えば、やっと我が家の温水洗浄便座をパナソニックのビューティートワレにした。省エネ面から変えるべきだと分かっていても、やはり何かキッカケが無いと実行できない。もともとの便座がとうとう壊れた。水がチョロチョロと出っぱなしになってしまったのだ。バルブに何か詰まったのかもしれない。 アマゾンで購入して、自分で付けた。状況によって違うからなんとも言えないが、我が家の状況はもっとも簡単に対応可能な形式だったので、本体の取り外しと新規取付は30分。その後、リモコンの設置、ヒトセンサーの設置に20分ぐらい、合計1時間以内で終わった。 A君:トイレ便座は、常時ONタイプの家電ですから、意外と年間の消費電力が多い。 B君:パナソニックによれば、家庭での消費電力のトップ5は、 http://panasonic.co.jp/csd/kaden/denryoku/index.html 1位:エアコン 25.2% 2位:冷蔵庫 16.1% 3位:照明器具 16.1% 4位:テレビ 9.9% 5位:電気カーペット 4.3% 6位:温水洗浄便座 3.9% A君:家庭の全消費電力量は4209kWh/年・世帯。ビューティートワレの最新モデルだと、62〜75kWhが年間消費電力ですから、1.5〜1.7%にしかならない。ということは、現在、標準的に使われている通常の暖房常時ON+貯湯式のトイレ便座は、平均的に250kWh程度の年間消費電力だということですか。 B君:TOTOのHPに、10年前の便座のは、469円/月の電気代が掛かっていたという記述がある。恐らく、22円/kWh程度の換算だろうから。年間消費電力としては、255kWhが想定されている。 C先生:使い始めると、なかなか新しいものには変えない代表的製品だろうから、そんなものなのだろう。恐らく、10年以上、ひょっとすると20年前の製品が動いているだろう。 A君:しかし、255kWhという平均年間消費電力だとすると、これは大きい。最近、テレビの消費電力が下がっている。カタログ値なので、本当なのかどうか、検証を要すると思うのですが、60V型などという普通のお宅では置かないような3D対応液晶テレビでも、220kWh(LC-60LV3)ですからね。 B君:なんと以前は消費電力の大きさでエコ派から攻撃対象になっていたプラズマテレビの消費電力も下がっている。50V型で169kWh(TH-P50G2)などというものもある。 C先生:そろそろ結論か。待ち時間に消費電力を使っている製品の代表格が便座だということだ。それが、センサー技術の開発、瞬間加熱技術の開発などによって、極限までの省エネが達成された。 しばしば、待機電力を削減して下さいと言うが、最近だと待機電力そのものが0.1Wといった製品も多いし、多いものでも、1W以下という状況になっている。何でもプラグを抜けばよいというものでもない製品も増えている。例えば、DVD/HDDレコーダは、プラグを抜くべきではない。 温水洗浄便座を新しいモデルに変えるのは、お薦めできる。この製品に限らないが、古い製品は、一度、待機電力を測定されると良いかもしれない。もしも5Wという待機電力だっとして、本当に24時間×365日その値だと、44kWh/年、となって、ビューティートワレの消費電力に近い電力消費量になってしまう。 それ以外のお薦めだと、もしもガスを使っているようなら、ガスのコントローラをオフにすることぐらいか。先程紹介したパナソニックのHPの下に、待機時消費電力のデータが出ているが、308kWh/年・世帯という数値だ。そのトップが、なんとガス給湯器なのだ。 A君:308kWhの13%。約40kWhということは、約5Wだということですね。 B君:余り知られていないことだ。我が家では、夏の間、給湯器のコントローラは普段オフになっている。当然、風呂を沸かすときは、オンにするが。 A君:夏なら、台所は水でも十分。 C先生:日本の省エネ家電は、とにかく世界でトップクラスであることに間違いはない。韓国製のテレビに、人感センサーが付いているかどうか、ちょっと見た限りでは見つけられなかった。 A君:しかし、問題は、やはり競争が激しいことか。液晶テレビだとソニーとシャープ。東芝、三菱などは、それほどの競争力を持たない可能性が強い。プラズマだとパナソニックと日立だが、どうやらこちらは、パナの1社体制になってしまいそうだ。 B君:ということは、テレビも、もっと思い切った投資戦略を実行できれば、再度、サムソン、LGと対抗できるということだろうか。世界的な視野に立てば、まだまだテレビの需要は大きいから。 C先生:次だ。 *日本型スマートグリッド これは、何を意味するかなかなか分からないのが現実。どうも、スマートメータといって、現在、一軒一軒電力メーターを見て回っているが、これを自動化しようとするようなもののようだ。 A君:その自動化にもレベルがあって、無線で飛ばして、前の道を自動車で走りながらデータを取るといったレベル。さらには、すべてがインターネット上に乗って、自動的にデータが収集されるといったもの。 B君:とにかく米国のスマートグリッドのように、電気自動車に溜まっている電気を使わせて貰うといったレベルの話とは相当違うようなのだ。 C先生:日本版スマートグリッドが、グリーンイノベーションと関係なさそうな感じ。 A君:それでは次です。 *リサイクルの推進 *レアメタル・レアアースの代替材料 これらは今回省略しましょう。次の機会にこれだけを取り上げることとして。 B君:次は、 *エコ住宅の普及 *ヒートポンプの普及拡大 これも決まっている。エコ住宅の住宅部分について言えば、やはり断熱。ヒートポンプは、むしろ、日本は進みすぎぐらいで、むしろ、米国のように全くインバーター技術が普及していない国に、どうやって日本の素晴らしいエアコンを輸出するか。 C先生:米国のエコノミークラスのホテルに泊まると、エアコンがオンオフ制御で、動き出すと、グゥオーという騒音がでて、本当にウルサイのがすごく気になる。韓国でもそんな経験がある。済州島だったが。 A君:日本製のエアコンは、静静とずーっと動いていますからね。 B君:次へ。 *LEDや有機ELなどの次世代照明 A君:これは誤解が多い。LEDは次世代照明であって、現状のLEDランプは、効率が悪くて、電球型蛍光灯にまだ敵わない。 B君:Trendyなる雑誌に、その測定結果がでている。 A君:lm/W、ルーメン・パー・ワットと読むのですが、この数値が100を超さないと何の意味もない。ただし、用途によっては、LEDは省エネに繋がります。その代表例がテレビ。なぜならば、指向性が非常に強い光なので、周囲に漏れ出さない。これを液晶テレビのバックライトに使えば、冷陰極管タイプよりも省エネになる。 B君:製品として到達可能と思われる効率が200lm/W。それには、しばらく時間を要するのでは。 A君:現時点で、またまたメーカー間の競争が激しい。 B君:そのうち、どこかが潰れるという競争か。それこそ国内戦で消耗するという見本見たいになるのかもしれない。なんとかならないものだろうか。 A君:有機ELは、LEDとは対照的に面発光が得意。壁全体が光といった用途に向いている。となると、建物と一体化する可能性がある。それには寿命が最大の問題になって、この点がどうなることやら。 B君:寿命が問題ということは、材料そのものの問題なので、これは時間が掛かるのではないだろうか。 A君:残り3項目。 *緑の都市 *オフィスビルの更新 *公共交通の利用促進などによる地方都市 最後の項目は、前回、東急バスナビを紹介しているので、良いとしますか。 B君:オフィスビルの冷暖房は、すでに相当なレベルになっている。深夜電力でビルを冷やしておいて、昼間の高い電力の使用量を減らすというようなことも行われている。 A君:オフィスビルには、もっと自然光導入を進めるべきではないですかね。自然光ならば無料だし。 B君:自然光を導入しようとすると、どうしても階高が高くなる。光を導入するには、現時点だと光ダクトが現実的なので。 A君:ということは、設計者の意識が変わらないとダメということですか。 C先生:そろそろ終わりにできそうな感じだな。 本日の結論としては、中国がもっとも欲しがっていると思われる石炭ガス化発電、SOFCコンバインドサイクル、などの基盤的な技術は、日本にとって勝負技になるのではないか。 しかし、同じような基盤技術だと思われる日本版スマートグリッドは、いまだに何が商売になりそうなのか分からない。 ハイブリッド車などのモータの制御用に使用される半導体の省エネ化は、日本にとって大きな開発課題だ。SiC、GaN、ダイヤモンドなどの素材が使われることと思われるが、開発を急ぐ必要があるだろう。しかし、多少時間が掛かりそうだ。 省エネ家電は、やはり日本の産業活力の中心になるべき製品だ。新コタツ文明を組み込む必要があるだろう。ただし、これを海外に売るには、海外に省エネマインドをまず輸出する必要がある。「低炭素化は地球人に必須の教養」であるという教育用アニメなどを輸出して、じっくりと取り組むのが良さそうだ。 次世代照明と言われているLEDは、いまや競争激烈で、まるで牛丼業界状態。これでは、共倒れになる可能性が強い。なんとか、Only One状態を作らないと、勝負にならないのではないだろうか。 |
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