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     温暖化ガス2050年実質ゼロ
        首相、所信表明で方針 11.01.2020
  



 菅首相は、一見地味だけど、実際には、なかなか凄い人かもしれない。10月26日に召集された第203臨時国会での所信表明演説で、温暖化ガス2050年実質ゼロの方針を示したからである。それが本日の主題。
  しかし、首相に関して、もう一つ話題になった学術会議の件についても、58歳で東大教授を突然辞任して、国連大学に移った、学者とも言えない筆者ではあるけれど、「学者が公務員になって、政府に進言をすることなど、無用なことではないか」、というのが個人的な意見である。政策形成にとって、必要な情報を生み出す学者だと思えば、公務員などにするのではなく、総理府を含むそれぞれの官庁が、その学者を指名して、委員会の座長などに着任して貰えば良いだけ。単なる委員会の座長では満足できず、妙に政治的なポジションに着任したい学者が存在するということを証明したのが、今回の学術会議との摩擦の中身であって、菅首相の今回の判断が当たり前であるはずなのだが、これまでの総理大臣は、なぜかできなかっただけだと思われる。
 以上の記述は、実は、完全に余分であって、
本日の本題は、やはり菅首相以外にはできない決断をしたことを高く評価したい。それは、題目に示した通り、『2050年にCOを含む温室効果ガスの排出量実質ゼロ』が目標であると述べたこと。菅首相の表現によれば、「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」
 これは、すごい決断力だし、世界的な情勢を十二分に理解していないと言えない言葉なのだ。


C先生:
菅首相の2050年COゼロに関する言葉は、実は、なかなか言えるものではない。首相というポジションにあれば、「経済を重要視しない」という非難がかなり怖いはず前首相は、アベノミクス=経済第一優先がポリシーだったからだろうが、地球全体レベルの視野、特に、気候変動のような将来的課題に対する視野が十分であったとは言えない

A君:
『もはや、温暖化への対応は経済成長の制約でありません』、という菅首相の言葉は事実に基づいています。10.25.2020の記事にも記述しましたが、CO排出量を下げた企業ほど、株価が上昇しているというのが、世界的には現実の姿。日本は、まだそのような状況の世論になっていないのが残念なところ。

B君:まあ、その通りではあるのだけれど、
CO排出量を下げることができる企業は、元々、余裕のある企業だ、ということなんだ。したがって、CO削減量と株価との相関が高いことに、何の不思議もない。CO削減は、哲学だけではできない。なんらかの経済的余裕が不可欠なのが現実なのだから。

A君:しかし、日本企業の現状だと、
その企業の経済状況がいくら良くても、CO削減を目指すというポリシーを示すことができる社長ばかりだ、とは言えないですね。社長が本当の意味でリーダーシップを持てる企業というもの自体が少ないともいえるのが日本の現状。すなわち、サラリーマン社長が多いという意味ですが。

B君:まあ、
思い切ったことをやるには、それなりの哲学が必要なのは事実だな。サラリーマンという形容詞が付く社長は、自分の哲学を押し通せない人だということ。

A君:哲学は、後から付いてくるのが、実像ではないか、といつも思っているのですけど。
すなわち、なんでも良いから、思い切った発言をしてみる。そして、実行してみる。もし成功すれば、周囲から先見性のある(≒哲学のある)リーダーだと思われる。

B君:そうか、先見性は後付けだということね。まあ、確かに、結果論で判断されることに間違いはないね。

A君:
先見性とは、実は、基本的な知識の充分な蓄積の上に、初めて湧いて出る能力だと思うのですよ。

B君:まあ、確かに、現時点までの菅首相の経験は、実レベルで多種多様だったと思われる。そんな役回りだったから、様々な能力を身に着けたのも、当然のことだろう。
日本の行政を含むあらゆる分野・層の弱点をほとんど完全に把握していても当然かもしれない。

C先生:それでは、ちょっとした提案をする。
CO削減を実現する困難さを、最初は雑然としたリストで良いから作るつもりになって議論をしよう。そして、もし可能であれば、リストを若干整理する気になれば、上出来。

A君:了解。それには、
まず、なぜCOが排出されてしまうのか、その必要性から分析をするのが良いかと思います。

B君:当然だな。歴史をチェックすることが最初か。CO
を出す根本的な原因は、化石燃料なのだから。なぜ、化石燃料が必要なのか。歴史的に何に使われたのか、などを考えることだ。

A君:常識的に行けば、その通りです。最初に化石燃料が使われたのは、
鉱山などの排水ポンプの動力だったような気がしますが。

B君:歴史的には、鉱山であることに違いはないが、その
最初の用途は、鉱石粉砕機が正しいみたいだ。Stamp Millと呼ばれるもので、鉱石を鉱物分と岩石分に分離する前に、微粉砕をする機械で、重い金属の塊をカムで持ち上げて落し、その落下の運動量で、鉱石を微細に砕く。どうも、ローマの鉱山で最初に活用されたとのことだ。

A君:イタリアが鉱山の技術の先進地域だったのですかね。

B君:どうも、
歴史的に最初に使われていたのは、同じ構造の機械なのだけれど、穀物の脱穀作業に使われていたようだ。それが、鉱山用に使われるようになったのだろう。水力がエネルギー源だったようだ。イタリアなら、傾斜地が多いから可能なのかもしれない。

A君:なるほど。
平坦な土地のオランダだと風車が動力に使われていた。もっともオランダの風車の最大の用途は、水の排水用だったけれど。

C先生:もし
「CO完全ゼロ」、と言われて、化石燃料を燃やせないとなると、その時代に戻ることになるから大変だという人も多いかもしれない。勿論、動力源は、電力で代替できるから、そんなことにはならないのだけど。このところ、ヨーロッパ諸国に行くと、どの国でも風力発電用の風車の林立状態を見ることができる。勿論、国によって、様々で、海があれば、洋上風力が非常に多い。

A君:
日本でも、最近洋上風力が増えていますが、やはり、日本の海は、すぐ深くなるので、大変ですね。

B君:秋田県でも陸上の風力の新規設置は、そろそろ限界なのでは。

A君:今後は、秋田でも洋上風力ですか。

B君:どうも、そのようだ。日本海側は比較的海が深くないけど、やはり、限界はあるようだ。それは、
風況が大きな要素だからだな。また、メンテナンスも洋上は結構大変

A君:もう一つの
大きな要素が、電力の消費地があるかどうか。東北は、まだ関東地方に送電するということがあり得るのですが、北海道は、海を越える必要があるので。もっとも、今後の送電線は、青函トンネルを通るようですけど。そのぐらい、北海道にも風車の適地は多いのですが、北海道の需要だけを考えると、発電施設の増設は、もう不要だと考えられているです。確かに、人口も1997年がピークであり、減少し始めていますし。

B君:太陽電池も、今や、地方に行くとやたらとどこにでもあるけれど、やはり、根本的に夜になると発電ができないのは大きい。
東京都のサイトには、屋根に太陽電池が乗せられる家の地図があったけど、今でもあるのかな。

A君:まだ、あります。東京ソーラー屋根台帳と言います。

C先生:実は、
自宅の太陽電池を撤去することにした。設置したのが、17年前で、FITが始まる前。当時、先駆者的行動だと言われたのだけれど、やはり、太陽電池には寿命がある。インバーターの寿命も問題で、今まで動いていた2代目が故障したのが、一つの決断になった。パネルもかなり死んでいるし、インバーターもとなると、結構な投資になるので。それより、さらに心配しているのが、そろそろ、猛烈台風によって、パネルが飛ばされるような事態になりそうな予感もあった。

A君:そろそろ本題に戻りますけれど、
菅首相は、小泉首相と比べると、実務レベルの能力がかなり上なのでは、と推測されるのですが。さらに、パリ協定のような国際的な状況に対する感度も高い。

B君:
これまでの職務経験から言って、日本の現状と、どこに最初に手を付けなければならないか、といった判断については、最高の能力を持っている人なのだろう。

C先生:こうしてみると、
首相という地位に就く人も、特徴がそれぞれだね。小泉首相は、やはり余りにも長く勤めすぎたのではないだろうか。トランプとの関係を良く保てたのは、良かった。もし、次もトランプだとすると、菅首相はどのような対応を考えるのだろうか。そもそも菅首相は、ゴルフはどのぐらいできるのだろうか。次がバイデンなら、相性は悪く無さそうだけれど。

A君:色々と探したのですが、ゴルフに関する情報が見つかりませんでした。

B君:ゴルフの腕は不明だが、こんな記事があった。
日刊スポーツの9月2日版「スポーツ万能少年だった菅氏は、小学時代は陸上、相撲などの大会で活躍。中学では軟式野球部で、俊足巧打の『1番三塁』だった」

A君:どうも、
「俊敏なトップバッター」だったという評価のようですね。ゴルフも、もしやったことがなくても、なんとかなりそうですね。まあ、バイデンになることを個人的には期待しますが。

C先生:本日の主題は、最初に述べたように、2050年に「CO
完全ゼロ」を目指すと、菅首相が述べたことなのだけれど、それ以外に菅氏の特徴を色々と調べてみると、一般社会に与えていたこれまでの「地味・着実」といったイメージとは、相当違う能力と才能を持っている人のような気がしてきた。考えてみれば、だからこそ、学術会議に対してもあのような対応ができたのだろうと思う。なんだか、菅政権の今後が楽しみになってきた。「アベノミクス」だけであった元首相を、確実に上回る現実的な成果を上げることが期待できるような気がしてきた。しばらくは、じっと見守ろう。