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  新型(ブタ)インフルエンザ その2   04.30.2009
     



 成田に到着した日本人女性に感染の疑い。今のところ、A型のインフルエンザへの感染が確認されたところではあるが、成田日赤に隔離された。今後、遺伝子解析を行い、A型のインフルエンザが、H1N2A香港型なのか、それともH1N1Aソ連型か、あるいはH1N1A新型インフルエンザかどうかを判定する予定。(23:00のニュースで)。



 フクダWHO事務局長補代理は、29日の記者会見で、「収束する様子はない」、「フェーズ5に迫っている」と報告。
 そして、29日深夜(日本時間30日)にフェーズ5に引き上げられた。



 WHO緊急委員会の委員である国立感染症研究所の田代真人インフルエンザウイルス研究センター長が28日にジュネーブで記者会見し、ウイルスの特性について見解を発表した(読売新聞4月30日朝刊トップ)。

 それによれば、米国疾病対策センターCDCの分析で、ウイルスは、鳥および北米とユーラシア大陸のブタにそれぞれ伝わる型とヒトの香港型が交雑した「新型」と判明したという。ヒトには免疫がほとんどないが、「強毒性」インフルエンザと異なり、重篤な前進感染を起こす遺伝子が欠ける。田代氏は、季節性インフルエンザ同様、呼吸器感染にとどまり、「大流行してもそれほど大きな健康被害はでないのではないか」との見解を示した。

 この記事の内容を検証する個人的な能力はないが、今回のブタインフルのウイルスはH1N1タイプだとされているが、A香港型はH1N2タイプなので、香港型との交雑した新型というのはよく理解できないところだ。



 メキシコでの死者の数はあまり増えていない(読売新聞、朝日新聞4月30日)。患者数は2498名だが、死者は159名。

 しかし、それにしても、メキシコの死亡率はあまりにも高すぎる。田代氏の言う、「弱毒性」というのは、米国などのすでに遺伝子解析がされた例を元に述べられていることなのではないか。メキシコの非常に高い死亡率を見ると、この解釈とは一致していないように思える。メキシコのウイルスの遺伝子データの解析が早急に行われることを期待したい。

 米国のNCBI(National Center for Biotechnology Information)では、以下のようなHPで、遺伝子情報を公開している。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genomes/FLU/SwineFlu.html

 NCBIは、NLM(National Library of Medicine)の下部組織であり、NLMはNIH(National Institutes of Health)の下部組織である。

 NCBIで遺伝子データが公開されているウイルスの採取地点は、ほとんどが米国で、
 ニューヨーク   2株
 テキサス     4株
 カリフォルニア 11株
 オハイオ     1株
 カンザス     1株
 ドイツ       1株
となっている。メキシコのデータがない。

 メキシコには、日本の臨床現場で使われているインフルエンザ迅速診断キットのようなものもないのだろうか。もっとも、このキットでわかることは限定的。



 季節性のインフルエンザでは、日本においてどのぐらいの死亡率なのだろうか。そのデータを探したところ、
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1955.html
にまとめられたデータがあった。資料としては、厚生労働省の人口動態統計、国立感染症研究所感染症情報センター月報が使われたようである。

 インフルエンザによる直接の死亡者は、1957年の7735名、1962年の7014名、1965年の5024名といった数から大幅に減ってきたが、このところ再び増加傾向にあって、2005年には1818名の死亡となっている。2006年が865名、2007年が696名である。

 しかし、これらの死亡者数は、インフルエンザによる直接的な死亡者であって、肺炎などを併発した場合には、統計に入らないらしい。そのため、WTOや厚生労働省は、超過死亡といった数値を推定している。

 超過死亡数は推定値なので、なんとも言い難いが、2005年の死亡者数1818名に対して、15100名という推定になっている。すごく多い。

 この数値を採用すると、インフルエンザの死亡率は結構高い。2008/2009シーズンのインフルエンザ累積報告数は、1,237,576だということなので、毎年同数程度が発症しているとして、死亡数が多い年だと、超過死亡数を基準とする死亡率が1%以上ということになる。直接の死亡者を対象にすれば、0.15%程度である。

 ちなみに、先ほどのURLは、社会実情データ図録というHPで、制作者は本川 裕氏である。男子マラソンの世界記録の推移といったものから、南アジア諸国の民族の構成といったものまで多種多様である。一度ご覧になることをお奨め。