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   豊洲への移転を早く決断すべし
     
再度言う「環境基準と安全は無関係」 04.20.2017
               



  3月25日付の本サイトの記事として、「豊洲の安心にいくら税金を払いますか」を書きました。その後、Wedgeという雑誌の5月号にも、記事を書きました。4月20日が正式な発売日ですので、この記事も20日にアップします。実は、20日からICEFのステアリングコミッティーの会議のために、パリに行きますので、本来、23日にアップすべきなのですが、それが不可能なもので。

 今回のWedgeでの原稿では、最終的に、実名を入れた記述にしました。環境大臣であった小池都知事(こちらはこれまでも実名)と、環境省の次官級のポジションの地球審議官であった知事顧問の小島敏郎弁護士(今回から実名)の両名は、環境基本法で定められた環境基準というものがどのようなものか120%知っているにもかかわらず、都議選での優位性を確保するという政治的な目的のために環境基準を意図的に誤用し、都民を不安に落とし入れて、自己の政治的目的を果たそうとしたことは、余りにも行き過ぎた行為であった。しかも、意図が見え透いていて、みっともなかった。もういい加減にして欲しい。小島弁護士は、築地の改築&豊洲の売却まで視野に入れているとのことのようだけれど、呆れてものも言えません。

 豊洲は、現状でも充分に安全だと断言できますので、都税を自分達の政治的な意図のためだけに使っている彼らは、都知事として、及び、その顧問として、言語道断ではありませんか、と言いたいのです。現在の人気を考えれば、豊洲が安全であることを小池都知事の口で説明すれば、かなりの都民は納得できるはずです。

 もし、それができないというのなら、都知事の現状は「小池党ファースト」なのでは。本来であれば、それこそ「都民ファースト」でなければならないのですが。

 今回、環境基準というものを、もう一度、基本から見直した記事を書くことにします。
 参考文書は、
https://www.env.go.jp/council/toshin/t090-h1510/02.pdf
でして、環境基準の決め方を議論することで、その基本的な考え方は、「環境基準」≠「安全基準」であることをまず、しっかりと再確認したいと思います。狙いは、今回の本記事をしっかりと読んでいただければ、豊洲の地下水が環境基準というものを、例え100倍超えていたとしても、安全は確保されていることがお分かりかと思います。そもそも、安全を議論する手段ではない環境基準というものの成り立ちを、しっかり理解していただければ、「安心」を自ら得るための一助になることと思っています。

 そして、他人が提供してくれるはずもない「主観」である「安心」ではなく、「安全の確保」と「信頼できる組織」の実現を小池知事に要求しましょう。安全の確保はもうできていますので、「信頼できる組織」の確立が急務なのですが、現状ですと、余りにも政治的意図が見え透いていますので、このままだと、「小池都政も信頼できない」ことになりそうです。


C先生:これまで、どちらかと言えば、抑えた表現で豊洲問題を扱ってきたけれど、もはや、「いくらなんでも、いい加減にしろ」、というレベルになったと思う。しかし、この感覚を分かっていただけるには、もう一度、環境基準を100倍超しているということが、どのぐらい危険なことなのか、それを実感していただくことが不可欠だと思うのだ。今回は、それを環境基準の数値の決め方について、もう一度丁寧に復習するので、理解が進むことを期待している。

A君:すぐに実例に入ります。参考文書には、21種の環境基準項目があり、既存の8種類の要監視項目に加えて、新たに検討された、要監視項目が7種類、記述されています。

B君:さて、どれからやるか。これまで、ベンゼン、全シアン、ヒ素、が豊洲では問題になったが、この順で復習かな。

A君:まあ、ベンゼンがもっとも深刻な問題だとされた訳ですから、そこで、基本的な考え方をしっかりと説明するのが良いと思います。

B君:OK.それでは、ベンゼン、ヒ素、全シアン、を対象に、まずはベンゼンからしっかり。



ベンゼンの環境基準

 ベンゼンの環境基準は、水道水と同じである。世界標準と考えられるWHOの飲料水質ガイドラインとも同じである。いずれも0.01mg/L。水道水は、毎日2L、一生飲み続けて悪い健康影響はでないことを前提として基準が決められている。ベンゼンの場合、発がん物質としての取扱がされていて、マウスなどを使った動物実験などのデータを使って10万人に1人が、骨髄性白血病になる確率を推定し、その数値が採用されている。10万人に1人という数字は、何かが起きていても、「誰も気付くことができない」というレベルを示すものとして使われている。実際には、マウスという生物は、ヒトに比べると、かなりがんになりやすいので、加えて相当な安全係数(10倍以上?)が掛かっていることになる。

 以下、骨髄性白血病の説明。北陸がんプロというサイトからの引用 
 http://www.gan-pro.com/
 『血液細胞は、骨の中にある「骨髄」でつくられます。骨髄中には、これらすべての血液細胞の基になる「造血幹細胞」があります。慢性骨髄性白血病は、この造血幹細胞自体が「がん」になってしまう病気です。我が国における年間の発症率は、人口10万人に対しおおよそ1人です。 (注:たまたま10万人に1人という数値ですが、白血病の発症原因がベンゼンだということではありません。ベンゼンは危険因子の一つとして認識されていますが、むしろ、それ以外の原因が多いでしょう。次の説明をお読みください)。』

 以下、『がんのきほん』というサイトからの引用
  http://www.gan-info.com/322.3.html
 『戦争中に日本に原子爆弾が投下された後、白血病患者が急増したことにより、放射線の被曝で遺伝子が変異し、白血病を引き起こしたのではないかと考えられています。
 また、ダウン症候群・ファンコニー貧血・ブルーム症候群など、生まれつき遺伝子異常を持つ人は、白血病になりやすいことも知られています。
 他に、慢性骨髄性白血病の原因としては、9番と22番の染色体(遺伝子)に異常があり、白血病を引き起こすことがわかっています。
 有機化合物では、ベンゼンやトルエンといった人体に有毒な有機化合物が危険因子であることがわかっています。』(筆者注:「がんの原因物質」と「がんの危険因子」とはかなり違う表現。危険因子はそれを摂取したから、かならずがんになる訳ではないという意味を含む。)


ベンゼンに関する規制の過去

 歴史を振り返れば、ベンゼンについての過去の規制の状況はとても安全であったは言えそうもない。そもそもベンゼンは、気体として吸入することで体内に入る可能性がもっとも高いという特性をもつ物質である。ベンゼンは、過去、ガソリンの中にかなり大量に含まれていた。日本では、1996年になって始めて5%以下に規制され、2000年以降は、含有量1%以下になっている。それ以前には、ガソリン中に含まれるベンゼンの濃度に規制は無かったので、その時代の含有量は不明である。ガソリンスタンドに給油に行けば、かなり濃いベンゼンの蒸気を吸入していたことになる。特に、ガソリンスタンドの従業員はかなりのベンゼンを吸入していたことが確実である。ベンゼンは、IARCのクラスAに分類される発がん物質で、大量に摂取したときには、骨髄性白血病の原因になりうるとされているのですが、色々とデータの存在を調べたところ、ガソリンスタンドの従業員が、骨髄性白血病になる可能性が高い、というデータは見つからない。

 豊洲市場の土壌に、環境基準の100倍のベンゼンが含まれていたとしても、地下水を飲むわけでもなく、また、汲み上げて市場内に散水することはないので、そこで毎日働く人々が吸入するベンゼン量はかなり限定されている。むしろ、日常的に地下水に触ることはないのだから、体内にベンゼンを取り込む可能性は、ほとんどゼロと考える方が妥当。むしろ、それ以外は考えにくい。鼻の判別能力を活用すれば、自分の車をセルフのスタンドで満タンにするときに吸入するベンゼンの量よりも、豊洲での吸入量は遥かに少ないだろうと推定できるだろう。

 このところの騒ぎの影響なのか、豊洲市場内の空気中のベンゼン濃度について、測定値が発表されている。0.0019mg/m3で、大気の環境基準の6割であるという。これが土壌汚染と関連していて、かつそこで、働く事業者にとって危険だとする報道もなされた(赤旗より:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-08-05/2016080515_02_1.html
修正宣言を要するぐらい誤った記事であるが、修正された形跡はない)。

 歴史的にみると、沿道での大気中のベンゼン濃度が環境基準を満たすようになったのは、やっと平成11年(1999年)からである(東京都の測定データ)。すでに述べたガソリンに含まれていたベンゼンが原因であったと考えられ、2000年からの1%規制を、石油精製業が前倒しで達成したのがその理由。そして、東京の大気には、現時点でも、0.0013mg/m3程度のベンゼンが含まれている。豊洲市場の空気のベンゼン濃度は、東京の大気とほぼ同程度だということになる。

 一方、労働環境の基準値、すなわち、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される空気中のベンゼン濃度は、環境基準の100〜1000倍も高い値に設定されている。これは、ガソリンスタンドの従業員などのように、どうしてもベンゼンが含む空気を吸う職業でない限り、このような値に到達することはないので、食品市場での通常の作業をする場合には、可能性を考える必要もない。

 すなわち、豊洲の地下水のベンゼンの濃度が環境基準の100倍であっても、誰かが被害にあう事態が起きる道筋を想定することは、あり得ないことを想定することに等しい。



A君:これをしっかり読んだとき、豊洲のベンゼン濃度が、例え環境基準の100倍あったとしても、誰か健康被害を出す可能性があるのか、確率は極めて低いことがお分かりいただけると思う。

B君:基本的な考え方だけれど、「良く分からない。しかし、なんとなく危険みたい」、と思うのは、メディアあるいは、ある目的をもって危険を煽る人々、具体的には、今回であれば、小池都知事と小島顧問、そして、赤旗などの思う壺にハマるだけである。なぜ危険だと考えるのか、そこから遡るという考え方を持たないと。

A君:そう来ましたか。そのような考え方のひとつは、専門用語では暴露経路を推定する方法、と言います。ある毒物が怖いか怖くないか、それは、その毒物がどのぐらい毒性が強いかは重大な要素です。わずか耳かき一杯でも飲むと死んでしまうような毒物を考えますか。確かに、怖いです。しかし、その毒物が充分に管理されている。例えば、鍵付きの容器の中に密閉されていて、その容器が金庫に入っていて、容器と金庫の鍵は厳密に管理されている状態であれば、口に入る可能性はまあゼロです。しかし、それをさらに具体化して考えるのです。
 例えば、口に入る段階が最後ですので、この最後の段階から考えます。最後から(1)毒入りコーヒーを飲まされてしまった。(2)そのコーヒーに誰かがその毒物を入れた。(3)その人は、小さなガラス容器にその毒物を入れて、別の場所に隠していた。(4)その人は金庫の鍵を手に入れて容器を取り出し、かつ、容器の鍵も手に入れていたため、毒物を入手できた。(5)以上の条件を満たす人は誰だろう。
 これを、暴露経路を推定すると表現します。いわば、犯人捜しです。

B君:市民の立場から見れば、豊洲市場の地下水に含まれているベンゼンが口に入る経路の推定。それには、最終段階は、豊洲市場で取引された食品にベンゼンが付着していなければならない。食品としては、マグロにするか。
 最終段階から行けば、(1)マグロを食べた、(2)マグロにはベンゼンが含まれていた、(3)このベンゼンは、ケース1:空気に含まれてた、ケース2:魚を洗う水に含まれていた。ケース3:床に付着していた。(4)どこかで水揚げされたマグロが、豊洲市場に運ばれる。
 ということにすれば、原因を究明するためには、(3)だけを考えればよいことになる。

(3)のケース1:ベンゼンが空気に含まれてた
 豊洲市場の室内空気中のベンゼン濃度は、測定されているように、東京の大気と変わらない。となれば、築地市場で取引されたマグロとなんら変わらないはずである。
(3)のケース2:魚を洗う水にベンゼンが含まれていた
 地下水には環境基準の100倍のベンゼンが含まれているとする。その地下水は、汲み上げて何かに使っているのか。いいえ。魚を洗う水は水道水。水道水に含まれるベンゼンは、都内の魚屋ならどこでも皆同じだろう。となれば、豊洲市場で何か特殊なことが起きる訳ではない。
(3)のケース3:豊洲市場の床に、なぜか地下水が付着していた
 床の清掃には、水道水か濾過海水が使われるので、地下水にあるベンゼンが床に付着することはない。水道水のベンゼンの基準は、環境基準と同じ。濾過海水中のベンゼンは現状ではデータが無いけれど、測定がなされるはず。万一ベンゼン量が多ければ、水道水が使われる。そのため、魚を床においたとしても、床にベンゼンが有害となるだけの量が存在し、それが魚に移行する理由は考えにくい。

 となって、地下水が例え環境基準を100倍超していたとしても、マグロにベンゼンが付着するという経路が見えてこない。

A君:「しかし、不安だ」ということは、心理としてあり得るのですが、「だから、不安を解消して欲しい」と言えば、政治家は、「はいはい分かりました」、と言う。人気取りの良いチャンスだと思って、そのために「税金を大量に使います」とは言わないで、自分にとってベストのシナリオを考え始めてしまう。

B君:小島顧問の築地改造論なども、このような経過で出て来ている、と判断すべき。

A君:小島顧問は、なぜ、不可能かつ金銭的にも資源的にも無駄な議論をするのか、と問われた場合には、「東京都の中央卸売市場の担当者達は、どうしても信頼できないから」、と主張する予定だと思われる。

B君:上述の「毒入りコーヒーの話」の「金庫番が信頼できないので、安心できない」、ということが、その発想の正当化に使えることになる。

A君:しかし、都民としては、これに騙されてはいけない。「信頼できないこと」がイコール「安全でないこと」でもないし、「安心できないこと」でもない。いくら相手が「信頼できなくても」、ベンゼンの有害性の影響を都民が受けるシナリオが存在しなければ、やはり、安全なのだから。
 でも、「信頼性」は重要。しかし、別の問題としてそれを議論すべき。

B君:だから、都民としては、小池都知事と小島顧問に向かって、「豊洲市場は、安全であることは、すでに分かっています。だから、豊洲市場は信頼できる組織であることを示して下さい」、と要求すること。これがもっとも重要ということになる。

C先生:まあ、そんなところで良いだろう。そろそろヒ素に行くか。ヒ素という元素は、海底にはかなり大量に存在している。もっとも、有毒な無機ヒ素は少なくて、藻類のように有機ヒ素(メチルヒ素)を含むものが多いのだが。

A君:では、ヒ素の環境基準から。



ヒ素の環境基準

 ヒ素の環境基準は、やはり水道水と同じであり、0.01mg/Lである。水道水は、毎日2Lを一生飲み続けても、健康被害は起きないという水準に設定されていて、国際的にもこの値が採用されている。実は、ヒ素が若干含まれている方が水の方が味が良いとされる。
 水道水がまずいこと、具体的には塩素くさいこと、を別にすれば、水道水がもっとも安全であることは、絶対的な真理。なぜなら、安全性は塩素のおかげで維持されているから。飲料水の最大のリスクは、微生物の繁殖で、これを塩素が防止しているから。

ヒ素に関する知識の追加

 ヒ素は皮膚がんの原因物質である。バングラデシュなどの地下水には大量のヒ素が含まれているので、障害が出ている。雨水を貯めて飲む方がヒ素のリスクを考えれば遥かに安全なのであるが、バングラデシュでは、雨水は危険である(あるいは元々飲むものではない)と思い込んでいる人々が多いとのこと。日本のNPOや大学などが、バングラデシュでの雨水の飲料水としての普及のために活動を行っている。

 上述のように、ヒ素は、海藻にかなり多く含まれている。多くの海藻には、無害な有機ヒ素の形で含まれるのだが、なぜか、ヒジキは、特異的に高濃度の無機ヒ素を含んでいる。そのため、乾燥ヒジキをそのまま食べるのは危険性が高い(誰も食べないと思うが)。水で戻し、その水は捨てること。さらに、煮汁も飲まないといった配慮は必要だと思われる。



B君:公共用水域(河川、海岸)などでのヒ素濃度が環境基準を超している割合は、平成13年度で、4643ヵ所のうち、17ヵ所で、0.3%。しかし、地下水は、3422本の井戸のうち、44の井戸であり、1.3%。地下水の方がヒ素を含む可能性が高い。

A君:ある外国銘柄のミネラルウォータ(地下水)はやや多量のヒ素を含むとされている(どの銘柄だかご存知ですか?)。一般に、河川水を原水とする水道水よりも地下水からのミネラルウォータの方が、ヒ素の濃度は高い。

B君:もし、地下水起源のミネラルウォータを常用するのであれば、そして、安心を求めるなら、ヒ素濃度をメーカーに問い合わせることが必要だろう。

A君:地下水は、あるいは、ペットボトル入りの地下水は安全なのか。日本では、しっかり殺菌されていますが、ヨーロッパ製だと、Natural Mineral Waterとは、無処理が原則で、ガス入り製造のために炭酸を溶かし込む操作のみ許容、という定義ですので、殺菌も加熱処理もされていません。歴史的に被害はでていない、ということが安全の根拠になっています。これで市民の安心が得られているということであって、ヨーロッパとは、まあ伝統を守る偉い社会ではあります。日本で売られているヨーロッパ製の水も、ヨーロッパ仕様ですが、安心できますか?

C先生:それでは、次にシアン。



シアンの環境基準

 毒性の特徴から急性毒性を考えるだけで十分であり、慢性毒性は考えなくてもよい。シアンは天然物としても存在している。例えば、アーモンドは微量のシアンを含む。ヒトに対するシアン化カリの致死量は150〜300mgであり、シアン換算にすれば、60〜120mgとなる。1回に飲む水の量を0.5リットルとし、安全率を100倍にみて、2mg/Lが許容限度と考えられている。そをさらに20倍して、2000倍(1000リットルを一気に飲む仮定)に設定して環境基準にしている。水道水の基準は、さらに10倍の2万倍を安全係数として用いて、一気に1万リットル飲む条件を仮定して、厳しく安全性を求める基準にしている。


シアンに関する知識の追加

 シアンは急性毒性が主たる毒性で、慢性毒性を考える必要がない化合物なので、水道水の場合には2万倍という安全係数が、そして、環境基準であっても2000倍という安全係数が考慮されている。

 シアンの基準としては、「検出されないこと」、となっているが、現在の分析機器では、検出感度が非常に向上しているため、検出されないという状態は多くの場合あり得ないので、環境基準の場合には、定量限界を0.1mg/L、水道水の場合には0.01mg/Lと決めて、これ以下の数値の場合には、「検出されない」と判定することになっている。

 いくつかのメディアは、この状況を知らないのだろう。シアンの分析値が発表されると、環境基準値は「検出されないこと」なのに、「なぜ、検出されるのだ。それは、大問題だ」と考えてしまったようである。

 メディアは、このような勉強をしてから記事を書くべきだ。それがプロというものだ、と個人的には思っているが、どうやら、最近のメディアの記者で、このような志をもっている人は、特に、新聞系では極めて少数のようです。

 現時点でも、多くの新聞系の記者は、やはり、ロッキード事件のような大悪を暴くことが理想のようです。そのため、石原元都知事とか、浜渦元副知事がターゲットになっているのです。



A君:シアンの場合には、環境基準の表現を変えれば良いのにと思うのですが。そもそも、「検出されないこと」などという基準は時代遅れですよ。

B君:一旦、何かが決まってしまうと、官僚というものは、結構、保守的になってしまうのだろう。実際には、ある数値を決めているのだから、それを基準にすればよいだけなのだが。

C先生:ということで、3種類の環境基準を検討してみた。これを読んで、「いかに環境基準というものが厳しいか」、というよりも、「将来の理想的状況を示している数値なのだから、このぐらい厳しい基準でなければ、意味はない」、ということがお分かりいただけたか、と思う。

A君:環境基準は、言わばこんな状況を考えるべきなのでしょう。登山しているときに、なぜか道に迷って谷川のところに出てしまった。この水は飲めるのか。

B君:待て待て。その答えは、実は、難しい。現在考えられている環境基準は、新たに検討した7件、環境基準21件、要監視項目8件、以上36件の化学物質に関しては、この谷川の水は、飲んでも大丈夫と言っているに過ぎない。しかし、水の最大のリスクは、このような化学物質ではない可能性が高い。それは、多分、微生物だろうと思う。微生物量は、海水浴場の場合には、大腸菌数といったことで、管理されているが、それは環境基準とは言いかねる。

A君:さらに言えば、農薬も、実は環境基準に入っていない。だから、近くに水田や畑があれば、その水は、農薬で汚染されている可能性が否定できない。もっとも、最近の農薬は、毒性が下がっています。ヒトが飲んでも、その毒性ではなくて、むしろ加えられている界面活性剤の方が危ないという説もあります。Webを調べてみると、ラウンドアップという除草剤そのものは、ヒトには無害なのですが、界面活性剤が入っているために、除草剤だから自殺できるだろうと(かつて、除草剤の毒性は大変に高かったので)、誤解して飲むと、界面活性剤のために大変に苦しむ、とのことです。認知症の高齢者による中性洗剤の誤飲事故と似たようなことになるのでしょうね。

C先生:ということで、一応終了。もう一度、強調しておきたい。「環境基準とは、将来、達成すべき理想的な基準であって、例えそれを100倍超していたとしても、現状では理想にはまだまだ距離がある、と理解すべき数値にすぎず、本来、安全とか安心と関係付けて考えるような数値ではない」。しかも、安全かどうかを、その物質をどのぐらい摂取してしまうか、を根拠に判定してみれば、「現状でも、豊洲の安全は十分確保されている」。「むしろ、ネズミとゴキブリの管理が不十分な築地よりも安全性は確実に高い。食物の最大のリスクは、細菌による汚染だと考えられるので、豊洲の安全性の方が、恐らく、1桁以上高い」。これが最終的な結論だ。
 最後になるが、納税者は、「安心を求めてはいけない」。是非、「安全」と「信頼できる組織」、さらには、「無駄のない税金の使用」を求め続けて欲しい。