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 環境科学教科書「地球編」目次     06.13.2009
     
 大学初年度級の教科書検討その2 地学からの内容が8割を占める



 「新しい高校地学の教科書」という本がある。ブルーバックスB1510、杵島正洋、松本直紀、左巻健男著、ISBN4-06-257510-8、\1150+税。

 先日、高校生がどのような理科を勉強して大学に入学してくるかを解析してみた。その結果、地学を履修した高校生はほぼゼロであることが判明した。

 環境科学とは、「地球という乗り物に乗った人類の未来」を語る科学である。そのためには、地球の限界を十二分に理解する必要がある。その限界を人類の活動がどの部分で超してしまうのか、超してしまったらどうなるのか、そして、未来はどうなるかを推定する。そのためには、地球という天体がどのような特性を持っているかを知る必要がある。

 人類の活動、すなわち、人間活動を知ることがもう一つの要素である。人間とはどのようなもので、どのような活動をするものなのか。もしもルールを決めればそれに従った生存方法を採用することになるのか。それとも単に経済的なメリットを追いかけるだけの生き物が人間なのか。

 こんなことを探求するのが環境科学であるとすれば、「地球の限界」を語ることは、環境科学の半分を占めることになる。これは、高校の理科の範囲で言えば、「地学」であり、部分的には、地球上の生物の進化などを含めて「理科総合B」が取り扱っている。



C先生:本日の問題意識は、まず、地学という科目は、環境科学の基本中の基本であるにも関わらず、高校の正規の授業で真剣に取り組まれていないこと。

A君:理系の生徒だと、地学で受験することができない大学が多くなってしまったもので、履修することが不可能なのだとか。

C先生:某県の高校で地学を教えておられる某先生からメールをいただいた。

引用するご了解をいただいていないが、無難な部分だけちょっとご紹介したい。

 今回の記事、高校で地学を担当する者として大変興味深かったです。
 履修率(未履修率)データにあるように、高校で地学は「絶滅危惧種」と呼ばれております。
 私の住む県の場合、高校で地学専門の教諭は10名。地学が開講されている高校は7校のみと、非常に限定されています。
 現状では普通科、大規模校、進学校、文系クラスです。
 理系大学では国公立私立とも、地学で受験できない学部学科が多いため理系の生徒対象に地学を開講している高校はありません。
 文系生徒は大学入試センター試験にのみ対応すればよいので、地学でも大丈夫なのです。
 つまり高校での科目開設は、大学入試によって決まるのが現実です。
 教員歴は20年を超えますが、「地学」だけを教えていた年は1年もありません。
 地学を選択する生徒の絶対数が少ないことが理由です。そしてその年度の理科スタッフと生徒の科目選択状況に応じて、「調整役」として使われています。
ある年度は  地学+物理、別の年は  地学+生物+化学、そして  理科総合A+理科総合B+生物+地学 
 6種類の科目を担当した年もあり、教材の準備などする暇も無いくらいでした。
 実際の教科書の記述では、環境科学の分野がかなり入っています。
 高校現場で見ている限り、全ての教科と科目で「環境科学」に最も近いのが間違いなく地学です。

B君:またもや受験システムが劣化させる日本の理科教育か。受験に通るのが高校教育の目的であるという考え方を直すことができるのは、大学自身なのだが。

C先生:大学側としても、例えば、私立大学を考えたときに、地学の入試問題を作ることができる先生が居ないといった事態に直面してしまうのだろう。

A君:せめて、センター試験の理科の科目は、理科総合A、総合B、理科基礎だけにして、物理、化学、生物などは、個々の大学に任せるといった対応が必要なのでは。

B君:受験生のまたまた負担が増えるという文句が聞こえてくるような気がするが、学問というものに含まれる知識の総量が増えているのだから、負担が増えるのが当然。しかし、総量が増えると同時に、知識を圧縮することができるメタ知識のようなものも増えているのだから、教え方というか学び方次第では、負担が増えるとも思えない。

C先生:例えば生物学などの変遷がまさしくそうなのかもしれない。以前、生物学とは博物学的な知識の羅列であった時代がある。その時代には、個々の知識はあくまでも個々の知識だっただけに、それを記憶するとしたら、構造化もできず、単に詰め込むしかなかった。ところが、最近の生物学はバイオテクノロジーの進歩によって、体系化が進んだ。だから、ある意味で、原理原則を理解するということによって、記憶効率が高くなっているものと思われる。

A君:今日は地学の話をする予定なのですが、寄り道をして生物T、Uでどのようなものを習うのか、示してみます。特に、生態系というものをどのように習うのか、見ていただきたい。


生物T
(1) 生命の連続性
ア 細胞
(ア) 細胞の機能と構造
(イ) 細胞の増殖と生物体の構造
イ 生殖と発生
(ア) 生殖細胞の形成と受精
(イ) 発生とその仕組み
ウ 遺伝
(ア) 遺伝の法則
(イ) 遺伝子と染色体
エ 生命の連続性に関する探究活動

(2) 環境と生物の反応
ア 環境と動物の反応
(ア) 体液とその恒常性
(イ) 刺激の受容と反応
イ 環境と植物の反応
(ア) 植物の生活と環境
(イ) 植物の反応と調節
ウ 環境と生物の反応に関する探究活動


生物U
(1) 生物現象と物質
ア タンパク質と生物体の機能
(ア) 生物体内の化学反応と酵素
(イ) 同化と異化
(ウ) タンパク質の機能
イ 遺伝情報とその発現
(ア) 遺伝情報とタンパク質の合成
(イ) 形質発現の調節と形態形成
(ウ) バイオテクノロジー

(2) 生物の分類と進化
ア 生物の分類と系統
(ア) 生物の分類
(イ) 生物の系統
イ 生物の進化
(ア) 生物界の変遷
(イ) 進化の仕組み

(3) 生物の集団
ア 個体群の構造と維持
(ア) 個体群の維持と適応
(イ) 物質生産と植物の生活
イ 生物群集と生態系
(ア) 生物群集の維持と変化
(イ) 生態系とその平衡

B君:生態系の話、生物学には確かに含まれている。生物Uの後半に。

A君:生態系の議論は本日の主題ではないので、後ほどまた機会があったら検討ということで行きたい。

C先生:もう一つ。生物の進化については、理科総合Bでという話があったが、どうも生物で言えばUで教えているようだ。進化の話は、大陸の移動や、化石などの話があるので、地学との関連性も大きい。

A君:本日の直接の検討対象である「新しい高校地学の教科書」には、生命の進化の話が含まれています。当然なのですが。

B君:しかし、文部科学省の指導要領を見ても、地学の中に生命の進化は含まれていないようだ。

C先生:そろそろ本題に移ろう。環境科学の教科書は、おそらく、大別すれば、地球編、人間編の2つの部分に分けることができる。もっとも具体的な教科書としては、そのように分けて記述がまとめられるとは限らないが。
 本日は、「新しい高校地学の教科書」なる本の中身を検討しつつ、どのような部分が環境科学の大学初年向け教科書の「地球編」に取り込まれるべきか、その検討をしてみよう。

A君:それでは、まずは、この本の目次からでしょうか。

「新しい高校地学の教科書」目次

第1章 地球の形と構造
1−1 古代の人々の考えた地球
1−2 地球は本当に球なのだろうか
1−3 重力からわかること
1−4 地球の内部には何がある?
1−5 より詳しく地球内部を調べる

第2章 地球を作る岩石と鉱物
2−1 元素・鉱物・そして岩石
2−2 岩石を作るプロセス:火成岩とマグマ
2−3 堆積岩と変成岩:地球に特有の岩石

第3章 地震・火山・プレートテクトニクス
3−1 活動する地球
3−2 地震と火山
3−3 プレートテクトニクスと地殻変動
3−4 マントルの対流

第4章 変わりゆく地球の姿
4−1 地表の景観を決めるもの
4−2 過去の地球を読み解く

第5章 地球と生命の進化
5−1 地球の誕生と地球環境の変化
5−2 生物の爆発的進化と陸上進出
5−3 進化と絶滅、温暖化と寒冷化の歴史

第6章 大気と水が織りなす気象
6−1 私たちをとりまく大気
6−2 太陽放射と大気の運動
6−3 雲と雨、低気圧と高気圧
6−4 日本の天気の移り変わり

第7章 海洋がもたらす豊かな環境
7−1 海のある惑星
7−2 海水の振動
7−3 海水の流れ
7−4 海が抱える豊かな資源
7−5 環境を安定なものにする海洋

第8章 太陽系を構成する天体
8−1 太陽系の発見
8−2 惑星のすがた
8−3 奇跡の星・地球
8−4 母なる太陽
8−5 第2の地球を探せ

第9章 恒星と銀河、宇宙の広がり
9−1 恒星の世界
9−2 恒星の進化
9−3 銀河
9−4 宇宙の構造

B君:ざっとみて、やはりいかにも地学という感じの章・節と、環境科学の基礎知識的な章・節がある。環境科学に含ませるべき章・節を拾い上げることが最初の作業か。

A君:さらに、どこから記述するか。どんな順番で記述をするのかも地学と環境科学では違うような気がする。要するに、地学だとこんな記述の順番になるのでしょうが、第8章海洋の次になぜ第9章太陽系の記述が来るのか。

B君:本来であれば、地学の場合であっても、包含関係を考えて、第9章の宇宙から記述を開始すべきようには思える。

A君:環境科学だと、地球は太陽系の第3惑星というところからで良いのでは。なぜ、生命が進化し、ヒトなどというものまでできてしまったのか。その最大の原因は、太陽と地球との関係ですから。

C先生:作業としては、前から順番に読みながら、この節は環境科学の教科書に入れるかどうかの判定をしつつ、大きさというか規模の順、あるいは、年代順などに並べ替えてみるか。

A君:しばらく検討します。

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A君:現状の「地球編」の目次はこんなところです。


環境科学「地球編」目次
 ()内の数字は、上記書籍の節の番号

第1章 太陽系の中の地球
1−1(8−1) 太陽系
1−2(8−2) 惑星のすがた
1−3(8−3) 奇跡の星
1−4(8−4) 太陽のエネルギー

第2章 地球の歴史と生命の進化
2−1(4−2) 地球の歴史:地質時代区分
2−2(5−1) 地球の誕生と生命の進化
2−3(5−2) 生物、陸上へ進出
2−4(5−3) 進化と絶滅

第3章 地球の構造と活動、資源
3−1(1−3) 重力から分かること4:地球の質量
3−2(1−4) 地球の内部に何がある:地磁気の存在
3−3(1−5) より詳しく地球内部を調べる:地殻・マントル、アイソスタシー
3−4(3−3) プレートテクトニクスと大陸移動
3−5(3−2) 活火山の分布:地熱
3−6(2−1) 元素・鉱物・岩石:資源との関係で

第4章 地球の表面でおきている現象
4−1(6−1) 大気
4−2(6−2) 太陽放射と大気
4−3(6−3) 気象現象
4−4(7−1) 海洋


C先生:先ほどからの議論の繰り返しだが、この内容だと、「地球編」としては生態系の話が不足している。

A君:生物Uからヒトに関わることを追加するという必要もあるのでは。

B君:ヒトの話は人間編で良いのでは。人間活動がヒトの健康に被害を加えているのだから。

A君:それも次回以降にまた検討するということにしましょう。

C先生:この目次の項目に付けられた番号を見ると、地学というのものは、かなりばらばらの概念がばらばらに教えられているようにも見える。この目次でもやはりバラバラという印象がある。バラバラの講義になるかどうかを検討するために、ストーリーを若干付け加えてみるか。

A君:それではそんな作業をしましょうか。

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環境科学「地球編」、概要の記述

第1章 太陽系の中の地球

A君:ここでは、太陽系の第3惑星としての地球、すなわち、「太陽という適当なサイズの星に生まれた太陽から適当な距離にある惑星」、という難しい条件を満足した地球だからこそ、生命というものが誕生したということを説明したかった。環境科学の根本「地球という乗り物に乗った人類の未来」は、実は、ほとんど起こりえないような偶然が支配していたということを理解するのが、かなり重要なことなのではないか、と思うのです。

B君:ただ、それを余り強調すると、ヒトというものは特別なものなのだ、という奢りに組みすることになる。

A君:地球が特殊な条件を満たしたとは言っても、実は、太陽は、極めて普通の恒星で、となれば、恒星にも惑星を持っているものだって多いはず。となると、ある意味で、他に地球と同様の条件を満たした星というものも多くても不思議ではない。なんといっても、銀河には数千億個の恒星があるのだから。

1−1(8−1) 太陽系
B君:太陽系というものがどのように生まれたか。地球の歴史46億年は太陽系の歴史でもある。そもそも宇宙の歴史は137億年で、宇宙誕生後、90億年を経て、太陽系が生まれた。
 太陽系ができたのも必然的なプロセスだと考えられる。

1−2(8−2) 惑星のすがた

A君:惑星は水金地火木土天海の8天で、冥=冥王星は2006年8月24日、国際天文学連合の総会の決定により、惑星では無くなった。本日紹介している本は、この日以前に書かれているので、冥王星はいまだ惑星。

B君:惑星は、水金地火を地球型惑星、木土を木星型惑星、天海を天王星型惑星と呼んで区別している。その区別は、地殻の構造によるもので、地球型だと核(主に鉄)+マントル(岩石)+地殻(岩石)という構造。木星型は、核(鉄や岩石や氷)+金属状水素+液体水素。天王星型惑星は、核(鉄や岩石や氷)+氷(二酸化炭素や窒素)+液状水素。

A君:大気の構成も全く違っていて、金星、地球、火星は、CO2+N2が基本である。もちろん地球の大気は、その後の生物の発展によってN2+O2になっているのだが。

B君:木星型と天王星型は、H2+Heという大気の組成。

1−3(8−3) 奇跡の星
A君:なぜ地球が特殊なのか、ということ。いくつかの条件がある。
1.温度。これは、太陽と地球の距離で決まる。
2.地磁気がある。これによって太陽が発する太陽風(高速の荷電粒子)の進入を防いでいる。
3.太陽の大きさ。これは、太陽の寿命を決めている。地球ができてから46億年の歳月を経て、やっと今の状況になった。とすると、太陽の寿命は、50億年より長くなければならない。恒星の寿命は重さで決まるが、もしも太陽の2倍の重さがあったとすると、寿命が13億年程度と短いため、惑星上で長い時間が必要な変化は起きないことになる。

1−4(8−4) 太陽のエネルギー
B君:太陽はまだ50億年程度は光り続ける。核融合によって水素からヘリウムを作ることによって光るためのエネルギーを作っている。このメカニズムが、星の寿命も決めている。燃えかすのヘリウムは水素よりも重いので、中心に集まる。そして、そのうち、ヘリウムの重さで、収縮を始める。収縮によって発生した熱によって、外側で水素核融合が始まり、その結果極端に膨張する。これを赤色巨星と呼ぶ。その表層は金星軌道まで達する。となると、地球上の温度も生物の生存には適さないものになる。


第2章 地球の歴史と生命の進化
A君:46億年前に出来た地球のその後の全歴史を、主として、生命の誕生を中心に振り返る。
 ところでなぜ46億年前に地球が太陽系とともに誕生したと考えられているのか。それは、現在地球に降り注ぐ隕石の年代が46億年前程度に集中しているからである。
 まず直径10km程度の微惑星ができて、それが集まって、地球などの惑星になったと考えられるが、そのプロセスは100万年もあれば、十分可能だから、地球も46億年前にできたと考えられている。
 地球もできて直後はマグマの海で覆われていたと考えられているが、その後、冷却がある程度進むと、熱湯の雨が降り注いだと考えられており、海洋が作られた。40億年前ぐらいだったのだろう。
 現在見つかっているもっとも古い化石が35億年前のバクテリアのものである。となると、海洋が存在した40億年前から、35億年前のどこかの段階で生命が誕生したのだろう。
 その後、現在までの進化の過程を述べるのが、本章である。

2−1(4−2) 地球の歴史:地質時代区分
B君:地球の歴史を語る場合に、必須のことが言葉の定義と理解である。時代には名前が付いている。この時代の名前を記憶することは必須だろう。

2−2(5−1) 地球の変化と生命の変化
A君:5.5億年前に生物が爆発的な進化を遂げる。カンブリア爆発と呼ぶ。それ以前の地球の変化と生命の変化など。エディカラ動物群の話とか、雪玉地球の話など。

2−3(5−2) 生物、陸上へ進出
B君:カンブリア爆発以降の生物の進化。生物の陸への進出、などなど。

2−4(5−3) 進化と絶滅
A君:現在、陸地はアジア、アメリカ、アフリカ、オーストラリアなどの大陸からできているが、3億6千万年前には、パンゲアと呼ばれる一つの大陸といくつかの島しかなかった。
 大陸が大移動をすることと、生物の絶滅・進化とは関係があった。
 さらに、温暖化などの気候変動の話。


第3章 地球の構造と活動、資源
B君:ここから地球の内部構造の話になる。環境科学としての目的は、一つは、海面のレベルがどう変化したかなどの関係。もう一つは、資源の話をなんとか組み合わせてみたい。鉄鉱石の話などは、第2章で書く可能性もある。石油、石炭の話はさてどこで書くのだろう。こちらも第2章か。

3−1(1−3) 重力から分かること:地球の質量
A君:地表ではどのようなものも下に向かって落下する。その力を解析することによって、地球の質量が分かる。その値は、6.0×10**24kgという数値である。地球の体積から、1cm3あたりの重さを計算すると、5.5gとなる。すなわち、比重が5.5である。

3−2(1−4) 地球の内部に何がある:地磁気の存在
B君:比重が5.5ということは、地球の内部には、重たい物質が詰まっているということを意味する。岩石の比重は大体2〜3の間だから、中心まで岩が詰まっているのでは、説明ができない。
 しかも、地球には地磁気が存在して、それが太陽風を地球から吹き飛ばしてくれるために、生物が地表に存在できる。
 地球の内部は6000℃もの温度であり、液体状態である。電気を通す重く溶けた液体が流動していて、電磁石の原理で地磁気が発生していると考えられる。

3−3(1−5) より詳しく地球内部を調べる:地殻・マントル、アイソスタシー
A君:中心温度は6000℃であるため、地表に近い部分でも、高温のマントルが液体状態で存在している。その上に、地殻と呼ばれる岩石層が浮かんでいる。氷が水に浮かんでいる状態を観察すれば、水の上に出ている部分を水面下にある氷の浮力が持ち上げていることが分かる。
 氷期には、厚さ3kmもの氷が地表を覆っていた。そのため、地殻は、500mほども沈み込んでバランスを取っていた。現在は氷が溶けたため、300mも隆起したと考えられている。この隆起は徐々に起きているため、現時点でもまだ継続している。
 このような現象をアイソスタシーと呼ぶ。縄文海進(縄文時代には、海面が高かったこと)も、アイソスタシーで説明できる。

3−4(3−3) プレートテクトニクスと大陸移動
B君:大陸がマントルの上に浮かんでいると考えると、大陸はそれほど堅いものではないので、移動しようとしたり分裂したりすることが十分に考えられる。
 かつて存在した巨大な大陸は、パンゲアと命名された。これが分離して現在の状態になったことが、海底地形や海底の岩石の古さを調査することによって、証明されてきた。
 岩石の歴史は40億年もあるのに、海底を構成している岩石は、もっとも古いものでも2億年。
 太平洋の真ん中の海嶺で海底が作られて、それが太平洋を日本の方向に進み、日本列島の下に潜り込んでいるというプレートテクトニクスという機構が信じられている。
 インド半島はもともとは島で、2000万年ほど前に、ユーラシア大陸にくっついたものである。その後、その圧力でヒマラヤ山脈ができ、その中国側では、先日の四川省大地震のような巨大地震が発生する。

3−5(3−2) 活火山の分布:地熱
A君:日本列島には多数の活火山があるが、その理由も、プレートテクトニクスで説明が可能である。
 日本列島の下には、太平洋プレートとフィリピンプレートが潜り込んでいて、伊豆半島は、その境目にある。

3−6(2−1) 元素・鉱物・岩石:資源との関係で
B君:地殻を作っている元素でもっとも多いものは約47%の酸素、約28%がケイ素、その次にアルミニウム、鉄、カルシウムといった順番である。
 鉄は、地球の歴史の初期、38億年前の縞状鉄鉱層が、現在でも鉄鉱石として使用されている。
 岩石は、通常酸化物として多くの元素を含んだ形であって、資源的な価値は無いものが多い。資源として有用な鉱石類は、その後の反応、濃縮、抽出などの過程によって、作られる。
 石油は、パンゲア大陸が分割されていく過程で、その割れ目に浅い海ができ有機物(プランクトン)が体積して石油になったとも言われる。
 石炭は、約3億6千万前から2億9千年前までの石炭紀に地表に生息した大量のシダ植物や裸子植物が湿地に埋もれできた。


第4章 地球の表面でおきている現象
 この章はほぼ気象学の記述。今回省略。
4−1(6−1) 大気
4−2(6−2) 太陽放射と大気
4−3(6−3) 気象現象
4−4(7−1) 海洋


C先生:さきほど述べた地球編における生態系の取り扱いだが、第4章で気候の話が出てくると、それに続いて、「気候が決める生態系」の話を第5章のイントロとして続けるのが妥当なのではないかと思えてくる。

A君:今回紹介している書籍の親戚に「新しい高校生物の教科書」というものがあるのですが、この本の生態系の記述や、その後の環境問題の記述などは、「どこか違う」という感触が付きまとう。

B君:中学・高校の先生方と話をしていると、どうも、環境問題をペシミスティックに、場合によっては悲劇として、あるいは、政治体制が行った犯罪として生徒達に伝達しようとしているのではないか、と感じてしまう。

A君:環境問題をどのように伝えるか、そこには、その個人の価値感や使命感、様々な感情が含まれるのは事実。しかし、教科書としては、もっと歴史的な流れの中で冷静に記述しなければならない。

B君:生態系もどう見るか、環境問題における生態系の価値をどのようなところに置くべきか、これは教育をする際の大きな問題。

C先生:しかし、教科書というものは、できるだけ価値感なしに、公平かつ客観的な記述を行うということがその使命だと思う。
 現状、生態系の良い参考資料が無いということだから、第5章の目次は未完ということにして置くか。
 ということで、環境科学の大学初年度級の教科書を作るとしたら、非常に多くの部分、恐らく5章立ての本にすれば、そのうち4章分が地学から入ることになることを確認したところで止めておこう。