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  V後藤新平 農地と街区の青写真   04.17.2011 

      人口ピラミッドの重要性 



 4月17日の朝日新聞の1面に、現政権が考える農地・漁港集約の法案を提出するという記事がでた。要するに、居住地・農地の分割案である。

 虫食い状態の農地と住宅地を集約して、農地を大規模化すると同時に、住宅地店舗は山側に集約する。

 このプランの最大のポイントは、地域を一括してデザインし直そうという点で、これは重要である。

 しかし、無視していると思われるポイントがあって、それが人口ピラミッドがどうなるか、である。

 高齢化した農業人口をどこで活用するか。機械化した農業は、少数の農業従事者で十分である。野菜・花卉などの手作業を要するような農産物については、高齢者の活用を考えるべきで、そうなると、農地と住宅地が近接していることが望ましい。

 となると、津波受け流し型住区が農地に点在しているという構造なのではないだろうか。

 という訳で、人口ピラミッドの重要性から議論を始めたい。



C先生:今回のポイントは、居住地と農地を考えるとき、人口ピラミッドを考えることが重要であり、単に、大規模化をすれば良いということではない、という主張をすることだ。

A君:まずは、現時点で確定しているデータということで、2005年の国勢調査の結果を基にして作成された人口ピラミッドを検討しますか。



図 2005年人口ピラミッド 実は、全くピラミッドではない。

B君:まず、この図を見てもらって、クイズに答えて貰いたい。

クイズ1:図中の1の凹みは、どのような理由で出来たものか。
クイズ2〜5:同様。

クイズついでに、次の図4枚は、どの県の人口ピラミッドか。選択肢を出します。アイウエオ順:秋田県、沖縄県、滋賀県、東京都。


図 xxxの人口ピラミッド


図 yyyの人口ピラミッド


図 zzzの人口ピラミッド


図 αααの人口ピラミッド


B君:答えは、このHPの最後に。

A君:2005年の人口ピラミッドに話を戻して、重要なのは3と5との関係です。この関係が維持されているとしたら、本来あるべき傾向が、15歳以下の年齢層には明確に現れていない。

B君:なるほど。このピラミッドを見て、15歳から5歳ぐらいまでの人口がほぼ一定になっている。出生年代で言えば、1990年から2000年まで。これは、本来であれば、33歳から40歳程度までの人口の分布を反映すべきである。すなわち、人口が下にいくほど増えるべきだ。

A君:その前の16歳ぐらいから21歳までの世代では、出生数が年とともに減少している。これは、親世代の人口分布を見ると、減るのはおかしい。1984年から1989年出生ぐらいですか。

B君:バブル期だな。本来であれば、この時期には、出生数が増加しなければならないはず。この図で言えば、45歳から33歳ぐらいに向かって人口が増えているのだから。

A君:調査時点の20年前の1985年であれば当時25歳。そこから8年間は、1993年ぐらいまで、25歳の人口は増加していたはず。

B君:このあたりで結婚感が大きく変わったという証拠なのだろう。女性も、子どもよりも、仕事といった風潮だった。

A君:この人口ピラミッドで、将来の動向をしる上でもっとも重要なのは、5歳から0歳までの出生数が減少傾向であること。親になりうる人口が減少傾向なので当然なのだけど。

C先生:ということで、この人口ピラミッドに出生率の変動を仮定して、未来のピラミッドを作るとどうなるか。

A君:国立社会保障・人口問題研究所の推計による2050年の人口ピラミッドがこのようなものになります。ピラミッドというよりも、外国の凧みたいな形ですが。



図 2050年の人口ピラミッドの予想図。

B君:ピークとなる年齢層が、77歳ぐらい。39年後だとすると、現在38歳。2005年の時点で32歳のピークがここに移動している。

A君:この図の左にあるように、2005年の1億3千万が、2050年に9500万人へと25%の減少。当然のことながら、それから先の減少も相当な速さになる。

C先生:ここで最大の問題は、と言えば労働人口。2005年のグラフの定義では、老年人口が65歳以上、生産年齢人口が15〜64歳、年少人口が15歳未満。
 2005年時点で、65歳以上の人口が約20%だったのが、2050年になると、40%になっている。やはり、労働年齢人口が一定程度以上いないと、就業していない人口を経済的にどのようにして扶養するか、これが問題になってしまう。

A君:現時点の老年人口は、かなり資産を溜め込んだ世代ではありますから、働かないでもなんとか食える。しかし、正規社員がドンドンと減って、非常勤や派遣社員が増えている現状を考えると、2050年では、老年人口の定義を大幅に変える必要がある、と思います。

B君:ちなみに、老年人口というものの考え方は。

A君:当然、生産年齢人口が、日本全体の経済を支える訳で、どんな社会を作るかによって、その労働生産性が変わりますから、老年人口の定義も変わってくることになります。非常に生産性の高い社会、例えば、製造業も研究開発とか企画とか設計とかいった高度な知的労働に変化させれば、生産年齢人口は、多少少なくてもなんとかなる。

B君:というと、例えば、ワークシェアリング的な分かち合い社会を作ると、労働生産性が低いので、生産年齢人口が増えないと維持ができない社会になる。

A君:2050年に、年金なるものがどのような状態になっているか。それによっても、かなり違いますね。今の状態だと、年金を頼りにすることは不可能に近い。

B君:それでは、ざっくりと現在の老年人口を20%をぐらいとして、この割合をキープするとしたら、どうなるのだろう。

A君:2050年の80歳以上の人口が17%という予測ですから、老年人口を78歳以上にすることになりますか。

B君:77歳ぐらいまでは生産年齢人口になるということは、定年も77歳だろうか。

C先生:2005年で32歳、現在38歳ぐらいの人は、77歳まで働いてください。となると、そのころの農村の生産人口はどうなっているのか。

A君:農村人口は、もっと高年齢化が進んでいるものと思われます。となると、80歳ぐらいでも、農業生産のある部分を担当しているものと考えて、生産農地の配置を考える必要があることになりますね。

B君:大規模農地は、コメ生産が主になる。これは、機械化を進めるので、高年齢層が担当するとも思えない。

A君:やはり、居住地の近くに、集約度の高い農地を作って、手作業を必要とする高付加価値の野菜とか花卉を生産するというシナリオになる。

B君:となると、どんなイメージ図になるのだろうか。

A君:ポイントを再度整理します。
(1)大規模・高度機械化された農地。場所は、海岸付近にも配置。しかし、避難場所は必要。
(2)生産年齢が高齢化することに対応するため、居住地に近いところに高集約度の高付加価値農業用農地
(3)(1)と(2)を両立させるには、避難場所としても活用できる津波などへの耐性が高い住宅地を海岸に近いところにも設定することがよい。デザインは、津波受け流し型人工台地型
(4)高台に居住地域を設定し、ここは近隣の大都市へのベッドタウンにもなる。ここには、鉄道の駅が存在。

C先生:仙台市郊外などのイメージになる。

A君:それは、平地が広い場合ですね。前回提示した漁村的なイメージに加えて、農漁村的なイメージがこれ以外にも必要ですね。

B君:その場合、高台だけで居住するとしたら、高台が不足する。そのため、山地を部分的に平坦にして居住地とし、削った山地の土をつかって、津波受け流し型人工台地を作るという方法によって、海岸近くの農地にも居住区を作る。高齢農業従事者のための職住近接の高付加価値農地は、その周囲にも作る。

C先生:農漁村型だと、こんなイメージだろうか。先日の漁村型を再利用して作成。
高付加価値高集約型の農地は、ビニールハウスで表現した。鉄道は、高架になっている。





クイズの答

1:日中戦争動員による出生数減
2:終戦前後による出生数減
3:第一次ベビーブーム
4:丙午(ひのえうま)出生減
5:第二次ベビーブーム

xxx=東京都
yyy=沖縄県
zzz=秋田県
ααα=滋賀県