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 エネルギー供給の青写真募集     04.11.2011
     
 バーチャル後藤新平 青写真東日本スケールその1



 Facebookの環境学ガイドで議論を開始しました。



 2050年の環境省中長期ロードマップを考えるときの、もっとも基本的な考え方は、電力をグリーン化すれば行けそう、であった。具体的には、原子力発電の可能な範囲内での増強と発生したCO2をCCSで処理することに依存していた。

 この考え方は、その思考の中心がCO2の削減にあって、2050年には80%削減を目指すというものであったが、エネルギー使用量の削減はとなると、40%削減程度に留めるという発想であった。

 2050年には、2005年比で30%程度の人口減が予測されることを考慮すると、一人当たりの消費エネルギーは、ほとんど変わらないという前提に基づいていたとも言える。

 今回の東日本大震災によって、少なくとも東日本においては、原子力発電への依存を当面回避する方向が選択されるものと思われる。当面といっても、それが何年間継続するか、その予測は難しいが、ここでは、30年間程度を想定したい。しかし、30年後までには、別の大地震が起きている可能性があるので、この予測は妥当ではないかもしれない。

このような状況で、今回、提示する全体的な課題は次のようなものである。

 「東日本のエネルギー供給戦略、すなわち、電力使用量の15〜25%を削減するか、あるいは、再生可能エネルギーに置き換えるためには、どのような青写真を描くべきか」。


 課題の意味することは、以下のように解釈できる。

 震災前の時点での東日本に存在した原子力発電の発電容量は、100万kW×22基程度とし、100万kWの原発1基で、年間70億kWhを発電と仮定する。東京電力の年間供給電力量は、2008年度で2890億kWh、東北電力の年間供給電力量は790億kWh、合計3680億kWh。

 この20%を削減するとしたら、736億kWhを省エネで節約するか、再生可能エネルギーにしなければならない。この電力量は、原発10〜11基分である。

 どのようにすべきか、青写真のアイディアを募集します。


以下、関連しそうな情報を整理する。


再生可能エネルギーの能力の理解

(1)家庭用の太陽電池 3kW
 年間発電量は、1kWあたり1000kWh(設備利用率は12%ぐらいしかないということ)。1年間で、能力が100%でる晴天が1000時間。1日平均3時間という計算。3kWなら、3000kWh程度。
 100万kWの原発1基分の発電量70億kWhを出すには、233万戸に設置が必要。
 1997年から2005年までの設置補助金の統計では、この間に設置された住宅用太陽発電システムは、25万件。普及件数をこの10倍にするにはどうするか。

(2)メガソーラー
 八戸太陽光発電所は4万9千平方メートルの敷地に、太陽電池パネル約1万枚や電力の変換・変圧施設を設置する。年間発電量は約160万kWh。
 100万kWの発電所相当の発電量を出すには、22000万平米。ほぼ15km×15km。福島第一で避難している範囲が20km圏であることを考えると、相当に巨大。

(3)風力発電 
 年間発電量は、定格出力がでる風が吹く時間は、日本ならば年間2000時間程度と仮定するのが良いだろう。2000kWクラスを1基作れば、年間400万kWhの発電量。
 1750基作ると、原発1基分。一直線に並べると、1kmあたり10本として、175km。仙台から南に下れば、いわき市を通り越して、小名浜港あたりまで。

(4)洋上風力
 それこそ風次第ではあるが、かなり古いNEDOの報告によれば、
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/819/819-1.html
 デンマークなどでは、設備利用率が高いようで、コスト的に見合うらしい。
 英国が計画中とされる洋上風力の規模は32GW=3200万kW。これは、超大型風車で10000基か。
 設備利用率が30%だとすると、原発10基分に相当する。

(5)バイオマス発電 
 発熱量は低い。100万kWの石炭火力の場合、燃やしている石炭の量は、1kgあたりの発熱量を6200kcal、効率を40%として必要な熱量が250万kW相当とすれば、8300ton/日。
 バイオマスであれば、1万トン/日以上を燃やす必要がある。杉1本が800kgだったとすると、1日に1万2000本を燃やす必要がある。

(6)地熱発電所 
 九州電力八丁原が日本最大。5.5万kW×2という発電能力。これを10箇所作ると原発1基分。
 地熱発電の特性は、原発や石炭火力に似ていて、ベースロードの確保には最適。
 現在の日本全体の導入総量は、53万kW。これを5倍にすることが必須。設置場所としては、東北には良い場所が多いから東日本にとって絶対に必要な方策なのではないか。 これによって、原発2.5基分を確保。

(7)水力発電と中小水力
 水力発電所が使う水の量を増やす。水利権などで規制されているだけだとすれば、可能ではないか。現在、800億kWh程度の電力が水力から発生している。これを10%増加できれば、原発1基分にはなる。ただし、日本全体の話。
 中小水力も、できるだけやる以外にない。ポテンシャルとしては、年間1400万kL程度と言われている。これは、概算で、原発8基分程度か。現実的には、2基分ぐらいは行けるかもしれない。これも日本全体の話。

(8)太陽熱の導入
 大規模太陽熱発電は、日本の場合には見合わないものと思われる。
 家庭用の太陽熱も複雑なシステムを入れると、経済的には見合わない。
 できるだけ簡単な設備で、賢く使うという方向性が必要。例えば、マンションなどの壁面に設置して、温水用の予熱に使うといった考え方が良さそうに思える。定量的には不明。


再生可能エネルギー大量導入を可能にし、50Hz、60Hz問題も同時に解決できる
「フラつく再生可能エネルギーへの対応電力網」


 サービスエリアを小さくして、それぞれを直流送電で結ぶことによって、多少のフラつきがあっても、大停電になるリスクは避けられる可能性が高い。これは、再生可能エネルギーを大量に導入することを可能にするためではあるが、もしも50Hzと60Hzの間も直流幹線化すれば、この問題も同時に解決が可能だと思われる。直流送電にはそれなりに様々なリスクはあるようだが、その解決に向けた努力が求められる。

 フラつく電力網に対応するために、また、停電が嫌ならば、各家庭に、なんらかの電力平滑化装置を入れ、同時に、ガスによる次世代燃料電池を併用するなどの分散型電源にするという対応を任意で行うことになる。

 ガスによるエネルギー供給量は、2008年統計によれば、一次エネルギー供給量21565PJのうち4019PJで、18.6%相当。このうち、都市ガスとして配給されているのが、1570PJ。

 電力用に使われている一次エネルギー供給量は、合計8989PJで、天然ガスが2258PJで25%を占めている。

 もしも天然ガスの供給量を増やすことができるのなら、これを都市ガスに上積みして、その分を分散型次世代燃料電池にすることで、電熱同時供給型にし、効率を高めることは考慮する余地がある。


大災害対応型の分散型電源

 都市ガスは、大災害対応型とは言いにくい。最後の最後に復旧するのが都市ガスである。

 そこで、大災害対応としては、究極の分散型とも言えるLPGによる燃料電池を設置するか。

 現在の燃料電池、太陽光発電では、停電時にはほぼ使えない。電力網があることが前提の設備である。LPGによる冗長度の高いエネルギー供給システムを作ることができれば、画期的かもしれない。


省エネで20%の電力削減は可能か

 民生業務部門:まず対応すべきは大型冷暖房機器のインバータ化。できれば、地中熱を利用したシステム(まだ決定的なものが存在していないが)。コンピュータ系の省エネ(特に、サーバ系)。冷房負荷を下げるために、南側の窓には、反射フィルムを張る。照明をHf型蛍光灯に。などをやっても20%に行かないケースが多いだろう。

 民生家庭部門:古い冷暖房機器、冷蔵庫の買い替えの推進。オイルヒーターなどの電気を熱に直接変換する機器の使用制限。家庭は、やはり昔ながらの生活に戻すか。

 産業部門:かなり進んでいると言われているが、どのレベルにあるかの診断を行うことが必要。



Facebook での議論をPickUp

MDK 太陽光や風力によるエネルギー自立には、昼夜や季節による間欠性をならすエネルギー貯留が不可欠です。まず人口あたりの再生可能エネルギー供給量が豊富な農産漁村から、中期的(次の設備入れかえの機会)に、エネルギー自立をはかっていくべきではないでしょうか。電力会社を津津浦浦にまで電線網を維持する義務から解放して身軽にすることにもなります。農産漁村にある通信アンテナなどのエネルギー自立は情報網の回復を早めることにもなるでしょう。

安井至 電池の必要性ですが、こんな風に考えています。電力のグリーン化だけを考えてきた単一的な解を、複数のエネルギー源をやや冗長性をもって配置するという、安全保障の考え方を入れたものに変える必要がでてきたではないか。
 例えば、再生可能エネルギーを大量に導入した電力網があるが、なんらかの理由(風が無い、曇天)で電力網が一時的に使えないとき、1kW程度のSOFC燃料電池だけでは、起動時の電流値が大きな家電や電子レンジをちょっと使うのはやはり無理で、なんらかの電力貯蔵が必要になり、大容量キャパシタでも使いふるしの大容量バッテリーでも良いのですが、蓄電装置が各家庭に存在しているということになるかもしれません。
 電池の場合、容量としては、高々1kWh程度まででしょうから、それがEVの電池とは思いにくい、というのが直感的なところです。なぜなら、1kWh程度ならそれほど高価でもないし、EVが出かけているときに困るから。