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  交通機関はどのような青写真 たたき台  03.22.2011

    バーチャル後藤新平 被災地復興



 Facebookの環境学ガイドにて議論を開始しました。



 CO2の削減が目標であった環境省中長期ロードマップ小委員会の検討では、電力のグリーン化が達成できるという仮定が成立すれば、解は実に簡単であった。要するに、できるだけ電気で動く交通機関にすればよい。

 ところが、グリーン電力が実現不可能になりそうである。そうなったときの対応はいかにすべきか。

 これは、エネルギー使用量をミニマムにすることを条件として、最適な組み合わせを探ることになる。すなわち、単位サービスあたりのエネルギー効率を最大化することが条件になるだろう。

 CO2はどうするのか。当面、CO2は考えない。しかしながら、徐々に、様々な再生可能エネルギーを導入することによって、電力をグリーン化し、CO2の排出量削減を実現する。同時に、徐々に電気へとエネルギー源を切り替える。こんな方針になるだろう。

 フラつく再生可能エネルギーで水を電気分解して水素を作り活用、という考え方は、固定サイトでのエネルギーの一時貯蔵手段に限られるだろう。それは、水素は可搬型エネルギーとしては欠陥が多すぎるからである。

 具体的に交通機関に当てはめるとどうなるのか。

 電車のエネルギー効率は高い。しかし、乗客数が確保できないときには、設備をできるだけ簡単なものにしないとLCA的に見合わない可能性もある。

 しかし、これまでのローカル線の、土盛り+砂利+枕木+線路という構造では、津波には全く無力である。

 せめて、低目の高架+コンクリート+線路というミニマムな線路を実現したいものである。雪への対策としても、この構造の方が優れているだろう。

 自動車は、まずは小型化・軽量化である。これを実現するには、最近提案されている2人乗り新規格カーが注目に値する。このサイズなら、エネルギー効率的にはEVが良いだろう。

 エネルギー効率面から見れば、ガソリン車<HV<PHV<EVという序列が変わることはない。しかし、電力事情に余裕が無い状態だと、EVは大量の電力を消費するためツライ。

 そこで、EVは新規格カー程度までのサイズにすべきで、それ以上のサイズでは、PHVがやはり本命だと思われる。単なるHVだと、コールドスタート直後の効率が悪くて、短距離の走行時のエネルギー効率が低下する。短距離は、やはりEVに限る。ただし、EVだと暖房は難しいので、シートウォーマー程度になりそうだし、冷房も新規格カーでは装備されていないのかもしれない。

 毎日決まった経路を走るコミュニティーバスは、電力供給に余裕があればEVにするが、もし余裕が無ければ、地場産のバイオガスで走るのが良さそうである。

 トラック類(軽トラを含む)については、当面は、現状のまま行く以外になさそう。

 海岸の平坦な地域では、自転車道路を整備することが、観光用としても望まれる。



これまでのFacebookでの議論を以下に採録

SKY 自動車産業に従事しております。膨大な自動車が津波に流され焼け崩れた衝撃的な映像が何度もテレビで流れ、これだけの自動車を被災者が再び購入できるのはかなり先のことだろうと感じました。道路交通ですぐに必要なのはトラックかバスか、あるいはハイエースなどを柔軟に乗り合い営業させる。この辺りにタクシー関係の規制や法令、免許・許認可制度が渦巻いていると思います。自家用車の販売を阻害しない料金レベル・利便性レベル、過当競争の排除、など、多くは供給サイドの都合で制定されているものと思います。これを緩和・撤廃することが当面必要ではないかと思います。


SKY 道路の再建と、鉄道線路の再建は、どちらも高架線を除外するとして、コスト対効果の高いのはどちらなのでしょうか。アメリカの荒野を最初に貫いたのが鉄道であったことを考えると、ゼロベースなら鉄道が勝ると考えたくなります。道路を補完する意味で、DMVやピギーバック輸送(陸上カーフェリー)も活用すべきと思います。


SKY 大手自動車メーカは、原発事故によるイメージダウンはあるにせよ、プラグイン・ハイブリッド自動車、バッテリー電気自動車を環境問題への切り札として推進し続けるでしょう。これらは震災復興の都市計画の中でどのような意味づけが可能でしょうか。
 大容量の電池を各家庭が所有することになれば、V2G (Vehicle to Grid) 接続で、エネルギーセキュリティーに有効と宣伝されています。しかし充放電時の損失はあります。資源消費をLCA的に正当化できるかという点は突き詰められていないように思...続きを読む


安井 至 先日、仙台に行ってきましたが、津波を受けた地域でも、道路は元に戻っていました。鉄道は、北リアス線はあの田老付近すでに動いているようですね。意外と早い回復です。
 ローカル専用のEVと遠距離とローカル両用のPHVは、2035年ぐらいまでは必然なのではないかと思います。ただし、PHVはガソリンなのかどうか。電力のグリーン化がいささか難しくなったと思いますので、CNGを使ったPHVなども考えなければならない可能性があるように思います。
 資源消費をLCA的に正当化するというのは、LCAというものの性格上、不可能な話のように思えます。必要かどうかという判定はLCA、の範疇ではないからです。
 電池の必要性ですが、こんな風に考えています。電力のグリーン化だけを考えてきた単一的な解を、複数のエネルギー源をやや冗長性をもって配置するという、安全保障の考え方を入れたものに変える必要がでてきたではないか。
 例えば、再生可能エネルギーを大量に導入した電力網があるが、なんらかの理由(風が無い、曇天)で電力網が一時的に使えないとき、1kW程度のSOFC燃料電池だけでは、起動時の電流値が大きな家電や電子レンジをちょっと使うのはやはり無理で、なんらかの電力貯蔵が必要になり、大容量キャパシタでも良いのですが、蓄電素子が各家庭に存在しているということになるかもしれません。
 電池の場合、容量としては、高々1kWh程度まででしょうから、それがEVの電池とは思いにくい、というのが直感的なところです。なぜなら、1kWh程度ならそれほど高価でもないし、EVが出かけているときに困るから。


TKI 米国の一般向けの科学雑誌のScientific Americanには、昨年七月に、EVやPHVが、石炭火力の比率の高い地域では、"Greenではない"事を指摘した記事が出ています。
 原発を使えなくて、風力発電などの再生可能エネルギーの比率向上が期待出来ない中では、この指摘は、日本にも当てはまるのではないかと思います。
つまり、福島原発の事故は、電気自動車の未来をーー少なくとも当面はーー否定したのではないかと思います。


SKY 移動手段としてだけの自動車をプラグイン電気で駆動するかどうかは、比較対象が火力なら、大規模火力発電所の高効率が充放電損失で目減りしてしまうので、単なるHVで良いと言うことになるでしょう。残るのは、エネルギー貯蔵庫としてのバッテリーを、出かけてしまう自動車に搭載して、運用上のメリットが出せるかどうかと言うことでしょうか。


SKY 日産LEAFのビジネスモデルは、使用状態を逐一モニターした中古電池を定置用に再利用することを予定しておき、自動車を値引きしようということのようです。自動車は定置用電池のエージングを担うわけです


安井 至 EV、PHVの妥当性は、現時点であれば、次の7つのポイントで検討すべきだと考えます。△は、今回の事態で変化した点。□は数年後の課題。
(1)化石燃料を使うという仮定でも熱効率が良いと言えるか。△
(2)電力供給量は十分か。△
(3)運用コストの優位性があるか。△
(4)資源的にみて妥当性があるか。
(5)電池の寿命は十分か。
(6)急速充電でない充電時間が十分に短いか。
(7)大量の再生可能エネルギーを有利に活用できるか。□
 今回どう変わったのか。
(1)は、PHV、EVはHVより有利のはず。実効率をどこに設定するか次第。
(2)これが、今回×なので、当面、EVはなくなった。PHVはバッテリーが大きいHVとも言えるので、ダメとは言えない。
(3)これは、原発をベースロードとしない場合に深夜電力料金がどうなるであり、×になりかも。
(4)今回の状況では変わらない。もともとモーターとコントローラの再利用システムが必須?
(5)現状では?〜×。LEAFの電池は、充電回数の点で、本当に再利用できるのか。
(6)EVは×。PHVは2kWh/日程度の充電までならOKでは。
(7)これは、NAS電池(発電サイト)、大型キャパシタあるいは劣化した電池+SOFC(需要サイト)という組み合わせの方が妥当性が高くはないか。


安井 至 補足:(6)は、HVのコールドスタートでの効率の悪さを考慮。現行プリでも、往復2〜4km程度の短距離には使う気にならない。


SMM HVやEVと再生可能エネルギーとの連携が効率的に進むまでは、CNG車やLPG車を活用してはどうでしょうか。HVやEVにはかないませんが、排ガスの問題もガソリン車に比べて少なく、すでにインフラもある程度整っているので、脱化石燃料の第一歩としての選択も現実的だと思います。


SKY ガス燃料について、CNGはエネルギー密度が小さいのでタンクが大きく航続距離がガソリンに劣ります。インドやバングラデシュではガソリン車に後付けでCNGタンクとミキサーを付ける改造が奨励されていますが、国内で天延ガスが産出するからという理由があります。CNGがなくなったらガソリンに切り替えるバイフューエルで、車両の重量はサスペンションを強化しなければならないほど増加します。


SKY LPGは液化している分密度が高いがガソリンより熱量が小さいです(炭素量が少ないから?)。日本のLPGは原油分溜の残り物としてのブタンを消費してもらうために政治的に値引きされたカテゴリなので、急に用途が広がるのも困るということです。プロパンに比べて燃焼特性が悪いので燃料消費が大きくなりがちです。ならば改質すればと思うところですが、CTLやGTLとまでいかなくても、別の成分に改質するとエネルギーは目減りします。


SKY 北リアス線の復旧区間というのは、津波に流されなかった高所を走っていたのでしょうか?それが津波常襲地帯での正しい鉄道の使い方ではないかと私は思います。生活の基盤は高所の鉄道沿線に置く。仕事のために下りなければならない海岸との間は、インクライン(傾斜鉄道、ケーブルカー)で結んでおく。インクラインはエレベータのようなものですから、避難用道路の代用にはなりません。高低差の大きい路線バスを、トロリーバスか大容量EVで設計すれば、回生ブレーキの活用でエネルギー効率が高まる可能性はあります。


安井 至 昨年の夏に、その経路を車で走ったときの印象としては、この地域の鉄道はトンネルと高架でできているような感じでした。ただし、それほど高いところを走っているような記憶は無いです。