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  省エネ無駄電力編  06.29.2003 訂正07.03



 前回、電気ポットの省エネについて検討したが、今回は、完全なる無駄電力編。使っているつもりはなくても、使われている電力である。

 それに加えて、電気ポットのその後、そして、一週間前に起きたある事件が今回の話題。

 訂正:交流の消費電力は、実は、このような簡単な方法では計ることはできない、というご注意を3名の方からいただいた。確かに交流の場合には、位相まで考えて消費電力を計測する必要があるため、電力計という特別のものが必要。そこで、多少の訂正を行なうこととした。消費電力 → 上限消費電力:これ以上の消費電力は無いという上限値。 料金にも同様に上限を追加。さらに、無駄率 → 見掛け無駄率 と変更。 この見かけ無駄率の大きい電源は、触ってみても熱いので、恐らく相関はあるように思える。

C先生:最初の話題は、無駄電力の話。世の中には、電源ケーブルを抜かないとある電力が自動的に消費されてしまう機器がある。その最大のものが、ACアダプター(=外部電源)である。さらに充電器などもそうだ。

A君:ビデオやテレビは待機電力と言うものを使っていますが、これは、リモコンからの指令をまって待機をしているだけに、それなりの意味が無いとも言えないものです。しかし、今回取り上げるものは、全くの無駄電力。

B君:といってもそれほどの量ではないので、問題にすべきかどうかも含めて議論をして行きたい。

C先生:今回は、つぎのような装置で交流電流を測っている。もしも同様のことをされるのであれば、感電にはお気を付けいただきたい。


今、測定中のACアダプターは、AIWAのポータブルプレイヤー用のもの。39.4mAの電流が流れているのが分かる。消費電力が約4Wということだ。ちなみに、測定器は、SANWAのデジタルマルチメータCD721。


この写真は、接続部分。短いACケーブルを2本使用している。このケーブルは、オーディオテクニカ製。

A君:それでは、データです。項目の名称などについて、若干の訂正を7月3日にしています。

用途 メーカーなど 電源仕様 無負荷電流 上限消費電力 1ヶ月料金の上限 電源容量 見かけ無駄率 品質ランク
      mA VA %  
電話 Panasonic PHS 充電器 ? 3.4 0.34 5.6     A 
電話 Docomo P003 充電器 5.7V 0.75A 3.8 0.38 6.3 4.3 8.9 A
デジカメ Konica 4.2V 0.6A 4.5 0.45 7.5 2.5 17.9 B
充電器 Sony Ni-H電池用充電器 ? 5.7 0.57 9.4     B 
デジカメ Panasonic FZ1 8.4V 1.2A 7.5 0.75 12.4 10.1 7.4
デジカメ Sharp MZ-EZ5 10V 1A 7.8 0.78 12.9 10.0 7.8
パソコン PanasonicCF-T1 16V 2.5A 8.5 0.85 14.1 41.6 2.0
PDA InterTOP Fujitsu 12V 0.8A 9.2 0.92 15.2 9.6 9.6
PDA HP 12V 1.2A 9.6 0.96 15.9 14.4 6.7
パソコン Casio FIVA 205用 16V 2.8A 9.8 0.98 16.2 44.8 2.2
ルータ Buffalo Rooter ? 9.8 0.98 16.2    
電話 Docomo P001充電器 5.7V 0.75A 11.3 1.13 18.7 4.3 26.4
デジカメ Canon G1 用充電器 9.5V 2.7A 11.4 1.14 18.9 25.7 4.4 B
パソコン Casio FIVA 206用 16V 2.8A 13.4 1.34 22.2 44.8 3.0 B
USB Buffalo USB Hub 6V 2A 13.9 1.39 23.0 12.0 11.6
パソコン Toshiba Lib70用   24.6 2.46 40.7     D 
パソコン Toshiba 8086 MSDOS 12V 1.7A 26.1 2.61 43.2 20.4 12.8 D
時計 Epson Chrono-Bit用 5.5V 0.3A 35.1 3.51 58.1 1.7 212.7
CD Aiwa Portable CD 6V 0.3A 39.4 3.94 65.2 1.8 218.9
スピーカ Yamaha PC-Speaker 12V 0.85A 47.1 4.71 78.0 10.2 46.2


B君:左側から、何用の電源か、次が型番。不明のものもあって、不完全。その次が、その電源の仕様。いずれも直流に変換しているが、その電圧と最大電流。そして、その次の欄が、測定した電流値。その次が電流値に100Vを掛けて計算した消費電力。そして、1ヶ月の電気代。

A君:そして、その次の無駄率というもの。これは、電源が供給できる電力を分母に、そして、全くなにも負荷がつながっていないときにでも消費している電力を分子にして、それを%表示したもの。例えば、無駄率3%といえば、3%の電力がまさに無駄に使用されていることになる。

B君:下から2番目のCDの電源の場合には、なんと無駄率が218.9%。すなわち、100という電力を供給する能力しかないのに、なんと、無駄な電力としては218.9も消費するということ。これは使用中であろうが、使用しないで単に電源にプラグを差し込んでいても、この無断な電力は使われている。

C先生:実際に消費する電力は、4.71Wなので、べらぼうに多いという訳ではない。しかし、無駄は無駄だ。

A君:しかし、それは、結構古いものでしょう。最近、待機電力なども大幅に下がっていて、ACアダプターも進歩しているようですから、新しいものに変えれば良いのでしょう。

B君:今回テストした中に、同じような製品がいくつかある。一つがDocomoの充電器。P001とP003。古い初代の充電器の1.13Wだったものが、新しいP003では0.38Wになっている。1/3ぐらいだ。0.38Wになると、1ヶ月の電気代上限が6円ぐらい。無駄は無駄でも大分少ない。

A君:ノートパソコン関係のACアダプタも、かなり進歩している。消費電力は多少あるが、無駄率が非常に低いです。初期のものだと、無駄率が12.8%もあったものが、3%とか2%とかいった値になっていて、やはり、高価な電源なのでしょうね。

C先生:パソコンのACアダプターは、小型化競争がここ2年間ぐらいでやっと始まったのだ。消費電力低減の動きは、それ以前からのようだ。

A君:自分の製品も評価したいが、計測器がないから測定できない、と言われるかもしれませんが、中ぐらいのサイズのACアダプターだと、3W以上あると、触って暖かいです。ですから、触って暖かい感じではないACアダプターは変える必要は無いですが、もしも、暖かいようだったら、無駄をしている可能性が高いということです。

B君:もちろん、充電中やパソコンなどが動作中は暖かい。それでも、最近の製品だとそれほど熱いという感じではない。

C先生:といったことで、最後の評価は、AからEまでの5段階。表示が無いものは評価不能なので、多少低い評価になっている。いずれにしても、このような細かいものでも、進歩しているということ。


C先生:話変わって、電気ポットのその後。前回までのところで、タイガーの3.8リットルの電気ポットを発注して、これでほぼ1週間ほど使っている。

A君:やはり性能的には良いですか。

C先生:エコワットで測定をしているところだが、どうも、これまで使っていた松下製の4リットルの半分の電力で保温が可能のようだ

B君:今回のもののが90度保温で21Wということだと、そんな測定値が出るということで。

C先生:それが、多少良すぎる。15Wぐらいで保温ができてしまっているようなデータだ。

A君:なにやらお休みタイマーのようなものが付いているようですね。そのためでは。

C先生:夜寝る間、例えば、7時間後に復活せよ、ということが可能。その時間には、設定温度に戻っている。ただ、戻るときには、98度まで温度が上がって、そして、90度設定なら、魔法瓶保温ということになっているようだ。

A君:切れているときを含めると、15Wで保温できるということでしょうか。

C先生:それがなんとも分からない。エコワットの誤差である可能性も大きい。そのうち検討をしてみたい。中にどのぐらのお湯が入っている状態かを考慮する必要があるので、結構大変なのだ。


C先生:さらに困ったことが起きた。冷蔵庫が止まってしまった。この松下製の12年ものの冷蔵庫(NR−F41K1)は、買った当初からコンピュータの具合が悪くて、ときどき暴走して、冷蔵庫が冷凍庫になったりすることがあった。何回もコンピュータの交換をしている。しかし、コンプレッサーなどに不具合は無かったのだが、22日の日曜日に、とうとう止まってしまった。

A君:今のような生活をしていると、冷蔵庫がないと極めて不便でしょう。

C先生:まず、どうするか悩んだ。直すべきか、新しく買うべきか。この冷蔵庫の年間消費電力は1150kWhぐらいのようだが、今新しく買うとすれば、200〜250kWh前後の製品が買える。年間2万円近い電気代の節約にはなる。環境負荷的にも、恐らく現在のリサイクルシステムを考慮すると、新しい冷蔵庫を買った方が環境負荷全体としては低くなりそうだ。

A君:しかし、今買うと、ノンフロンしか売っていないでしょう。ノンフロンを買わないと宣言している以上、困るのでは。

C先生:そこで考えた。今、ノンフロンでない製品で適当なものが有れば買おう。もしも、ノンフロンしかないのなら、修理をしてしまおうか。そして、色々とカタログ上で調べたところ、三菱電機に適当なものがあることが分かった。他のメーカーには、どうもノンフロンしかない。選択したのが、MR−S46Dなる機種にした。少々大きいかと思ったのだが。消費電力は、切り替え室を冷蔵庫にすると270kWhで、少々多いが、まあ許容範囲内か。

A君:松下のノンフロンには200kWhという年間消費電力の機種がありますね。

C先生:ノンフロンなので買わないが、確かに数値上は優れたものだ。ただし、真空断熱なので、真空が漏れたらタダの箱にならないとも限らない。冷蔵庫は15年ぐらい使うものなので、とりあえず信頼性を優先。

B君:ノンフロンを何故買わないか、その理由を再度説明した方が良いのでは。

A君:それは、すでに長い話になってますからね。ここで説明しています。http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/NonFRef.htm

C先生:要するに、社会的責任を果たしていないということが理由。それに、現在のリサイクルシステムを考えると、そんなに積極的にノンフロンにする理由は無いというのも、もう一つの理由。

A君:松下の「なぜノンフロンなの」、というページでは、やはりオゾン層破壊の話から始まるのですね。96年には冷媒はHFC134aになっていて、オゾン層破壊の話は大昔の話になっているというのに。もう7年以上前のこと。

B君:松下の説明を読んでいるとやはり矛盾している。「また2001年には、家電リサイクル法が制定され、フロン全面回収の取り組みも始まっています」、と書いてあるが、もしもフロンが全面回収されるのなら、HFCは漏れないのだから、漏れたときに温暖化ガスになるからといっても、実は問題ないではないか

A君:実際には、回収のやり方が多少荒いと回収率が50%以上といった感じのところもあるのでは。ですから、ノンフロンの方が、温暖化への影響は少ないのですが。

B君:ただし、ノンフロンの場合には、可燃性の冷媒(イソブタン)なので、発火の可能性があって、注意が必要で、リサイクル時に不用意に冷媒回収ができない。作業員が火傷をする可能性がある。ということで、リサイクルシステムがまだ完成していない。

C先生:ノンフロン冷蔵庫が今すぐリサイクルに回るということは無いとは思うが、しかし、全くゼロという訳ではないだろう。しかし、企業の責任だと思うが、「どのようなリサイクルシステムが何時ごろ完成する」、といった報告がどうしてできないのだろうか

A君:しかし、それはそれとして、冷蔵庫が新しくなると、消費電力が大幅に減りますね。

C先生:それがどのぐらいになるのか、楽しみにしている。配達が7月1日の予定だ。

A君:冷蔵庫が壊れてから10日になりますよね。これまでどうやって凌いでいるのですか。冷蔵庫なしで。

C先生:アイスボックスと氷。この氷代が1日に500円以上かかる。ものすごい贅沢をしている気分だ