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  ミトコンドリア・ミステリーという本 08.07.2005



 今回取り上げるのは、「ミトコンドリア・ミステリー」ブルーバックスB1391である。内容はやさしいとは言いがたい。少なくとも、「遺伝子にコードされているタンパク質」という表現に違和感を持たない程度の慣れが必要である(科学的知識など、所詮慣れだとも言うことができるが)。

 この本を取り上げた理由は、生命というものに対する生物学的理解がなかなか面白いからである。

 著者:林純一筑波大学教授。ブルーバックスB1391、ISBN4-06-257391-1、講談社、2002年11月初版。定価1040円


C先生:この話が環境問題と何の関係があるのか、と思われるかもしれないが、ミトコンドリア・イブの話など、人類とは何かを考えるときの教養として、有っても良い話の一つなのではないか。

A君:どこまで説明すべきか、なかなか難しい本なのですが、分子生物学に関わるような話は抜きにして、結論だけをざっとカバーしましょう。

B君:高校で生物学を履修した人ならこの本もOKなんだろうが、もしも生物学って何、という人だとすると、恐らく数冊の本を読破してからでないと、この本は読めないだろう。

A君:いずれにしても、ミトコンドリアとは何かの説明は必要ですね。ヒトも他の生物もそうですが、細胞というものからできている。ヒトの場合、なんと60兆個とも言われるほとんど無数に近い数の細胞からできている。細胞とは、生理食塩水の入った単なる袋ではなくて、その中に、実に複雑な化学反応を行う器官が詰まっている。ミトコンドリアも、細胞の中に存在しているそんな小器官の一つである。

B君:もう一つ理解すべきことは、ミトコンドリアは、どうももともとは生物として独立した存在だったようだ。1967年にボストン大学のリン・マーギュリスが発表した「細胞内共生説」というものがある。これは、ミトコンドリアなるものがどうして細胞の中に存在しているかを説明するもので、多くの研究者の支持を得ている。
 まず、地上に最初に現れたのが原核生物であった。時間の経過にともなって、3種類のものが出現した。第一が原始真核生物。第二が葉緑体の祖先となる原核生物。そして、第三がミトコンドリアの祖先となる原核生物。

A君:原核生物とは何か。すべて一つの細胞でできている単細胞微生物。真核生物と違って、核をいうものを持っていない。

B君:そして、酸素というものが鍵になる。第二の原核生物は、葉緑体の祖先なだけに、光合成をおこなって、地球の空気の主成分であった二酸化炭素と水に太陽光を組み合わせて、ブドウ糖を合成し始めた。そのとき、この光合成によって、酸素が大気中に供給され始めた。

A君:ここで、多くの人々は誤解するのですが、酸素=健康に良い、だから、原始的な細胞達は幸せだった。しかし、と思ったら大違い。酸素は、細胞にとって猛毒というか、非常に危険な物質。なぜなら、酸素という原子は、フッ素の次に電子というものを他のものから奪う能力が強い。そして、周囲にある物質と手当たり次第結合してしまう。そのため、酸素が体内に入れば、生命活動に必要なDNAやタンパク質を酸化してボロボロにしてしまう。

B君:原始真核生物は、核膜によってDNAを保護するような仕組みを発明していたのだが、酸素に対する防御は不十分で、他の原核生物と同様に、死に絶えるか、あるいは、酸素の少ない地下に潜るしかなかった。

A君:葉緑体は、他の生物をほぼ完全に抹殺した。しかし、進化というものはあるもので、そのなかで新たな生物が生まれた。それが、第三の原核生物で、ミトコンドリアと類似した生物。この原核生物は、酸素を利用する方法を持っていた。酸素を利用してブドウ糖を二酸化炭素と水に酸化分解して、そのとき、この反応によって生じるエネルギーの差をATP(アドノシン三リン酸)という物質のエネルギーに変換するという全く新しい能力を持っていた。この能力を、「酸素呼吸」という。

B君:原始真核生物は、酸素のお陰で滅ぶ寸前の状況にあったが、このミトコンドリアと似た生物を旨く利用するという方法を採用したものがあった。なぜならば、ミトコンドリアは、有害な酸素を水に変えることが出来ただけでなく、生命にとってほぼ唯一のエネルギー源であるATPを生産してくれる都合の良い生物だったからである。すなわち、原始真核生物は、ミトコンドリアという他の生物を体内に取り込んで、新しい形式の生命へと進化した。これを「細胞内共生」という。

A君:この本の本題は、細胞内に存在する小器官であるミトコンドリアにも、実はDNAが存在しているということから始まる。1963年にマーギット・ナスによって発見された。これを本物のDNA、すなわち、遺伝情報を司っている核内の核DNAと区別してmtDNAと表記することにする。このmtDNAは、核DNAと違って、一つの細胞あたり、ほとんど同じ形の分子が数1000個もコピーされて存在している。一方の核DNAには、同じ分子のコピーは、たった2個しか存在しない。

B君:もう一つ、子供の核DNAの内容は、両親のDNAで決まるのに対し、mtDNAの内容は、母親のみで決まる。細胞分裂をするときの情報の伝達の仕方も全くことなる。核DNAは、分裂するときに出現する特殊な分裂用の装置のお陰で、受精卵の核DNAとほとんど変わらない遺伝用の情報を保つ。しかし、mtDNAの方は、どれが複製されるかどうかも適当だし、どのように分配されるかも適当。より正しい表現を使えば、確率が支配している世界。各DNAがもっている分子の配列(いわゆる塩基配列)からなる情報のうち、遺伝子として作用する部分は、ほんの僅かで5%以下に過ぎないのに、mtDNAの場合は、無駄を徹底的に排して95%が利用されている。そもそもDNAの長さも形も全然違う。mtDNAは、約1万6千塩基対からなる環状二本鎖のDNAでできており、そこには、たった37種類の遺伝情報があるに過ぎない。

A君:ミトコンドリアが細胞内に取り込まれたときには、勿論、これほど短いDNAしか持っていなかったとは考え難い。もっと長い長いDNAを持っていたと考えられる。その残りはどこに行ったのか、というと、その行き先は核DNA。すなわち、ミトコンドリアは、共生を完成させる過程で、自らに必要なタンパク質を製造するために必要な情報を残して、残りのDNA情報を核DNAに避難させてしまったらしい。

C先生:ここまでで示されたミトコンドリアのミステリーは、
 mtDNAは、核DNAと全く違った情報の持ち方をしているが、それは何故かという問題が根本的なものである。
 すなわち、
(1)数。 核DNA:2コピー。mtDNA:数1000コピー。
(2)長さ。 核DNA:長い。mtDNA:短い。
(3)遺伝子として使っている部分。核DNA:5%。 mtDNA:95%。
(4)情報の元: 核DNA:両親。 mtDNA:母親だけ。
(5)そして、最後に、なぜ、こんな形式、すなわち核DNAとmtDNAを分けて持つ生物だけが、これまで絶滅しないで発展してきたのか。

A君:こんなミステリーを、ミトコンドリアが犯した可能性が高いいくつかの犯罪の嫌疑(?)を元に解いていくというのが、この本。
 そのような嫌疑とは、
(嫌疑その1)がんの発生はミトコンドリアが犯人である。
(嫌疑その2)mtDNAは、父親からも情報を盗んでいる。
(嫌疑その3)mtDNAの情報が壊されると病気になる。
(嫌疑その4)mtDNA情報の破壊が老化の原因である。

B君:それでは、まず、嫌疑その1:「がんの発生はミトコンドリアが犯人である」説。
 なぜ、そんな嫌疑が掛けられたのか、と言えば、まず、ミトコンドリアがやっている職業が関係する。ミトコンドリアは、細胞内の発電所みたいなもので、ブドウ糖1分子と酸素からエネルギー源として30数分子のATPを作り出している。この過程で、酸素の一部が活性酸素になるもので、mtDNAは傷を受けやすい。がんは、DNAの傷に基づいているものとすると、酸素を直接取り扱っているミトコンドリアのDNAが怪しい。実際、DNAの傷の別の表現である突然変異の発生する頻度は、核膜で守られている核DNAよりも5〜10倍速い。そのため、様々な研究者が「がんの原因はmtDNAが原因」と考えるようになった。

A君:著者は、mtDNAを入れ替える技術を使って、この嫌疑が濡れ衣であることを証明するのだが、その概要だけ書けば、(1)ヒトのガン細胞を原料に用いて、(a)そのまま、(b)mtDNAを取り除いた細胞、(b)正常なmtDNAに置き換えた細胞、を作って実験動物に植えつける。(a)当然がんが発生。(b)がんは発生しない。(c)がんが発生。これから、がんの原因は、核DNA側にあることが分かる。

B君:嫌疑その2。mtDNAは、母親だけから情報が伝達される。しかし、ある研究者が「父親の情報も0.1%程度紛れ込む」と主張した。

A君:この話は、PCR法が1988年に発明されて、DNAを増幅することができるようになったから出てきた話。若干内容は難しいので、スキップして結果だけ述べることにしますと、ウプサラ大学のギレンスティンと「ミトコンドリア・イブ説」を提唱したカリフォルニア大学のウイルソンの共同研究で、それまでミトコンドリアは母親からのmtDNAだけを受け継いでいるとされていたが、父親からも僅か0.01〜0.1%程度に過ぎないが、DNAを受け継いでいるの発表が行われた。

B君:世界の父親達が、この発表を聞いて喜んだ。

A君:しかし、著者は、この発表に違和感をいだき、この発表がありえないことを証明する。精子由来のmtDNAは、受精した直後にはその存在が確認されるのだが、受精卵が2つに分裂する前に、例外なくしかも完全に消滅していることが実験的に証明された。ただし、異種間の交配の場合に限って、精子のmtDNAがちょっと残る。

B君:それは面白い。自分の種の父親のmtDNAは完全に排除するのに、種が違う父親のmtDNAはその排除システムが働かない。

A君:精子のミトコンドリアの外膜になんらかの特別なシグナルが付いているかららしい、というのが結論で、ということは異種のシグナルには、どうやら反応しないらしいですね。

B君:しかし、結論として、自分の種内では、父親のmtDNAに含まれる情報は完全に排除される。それはなぜなんだ。生物には、遺伝子の多様性を維持しようとする特性があるのが一般的なのだが。

A君:著者の説明によれば、それは、精子というものの特性によるとしています。受精までに精子は鞭毛を動かして猛烈な運動をしなければならない。となると、そのエネルギーを供給するミトコンドリアが大量の酸素を処理していて、当然活性酸素にさらされ、mtDNAに多くの傷が残っている可能性が高い。そのため、卵子は、このような危険性の高い精子のmtDNAを排除するのではないか、と想像しています。

B君:多様性を捨てても、突然変異が多発している可能性のあるmtDNAは採用しないという安全策か。

A君:もっともmtDNAは、核DNAよりも、それでなくても突然変異が起きる可能性が高く、その速度は、5〜10倍。となると、多様性は、自然に保たれているということになる。むしろ、ボトルネック現象というものを引き起こして、多様性を消す方向が、どうやら安全な方向のようですよ。

B君:ボトルネックは、絶滅に瀕することによって、遺伝子の多様性が失われる現象だが。それを卵は利用して、より均一なmtDNAを次世代に伝えようとしているということか。それは、ミトコンドリアのもつ機能が、エネルギー供給ということに特化しているために、多くの多様性を必要としないのかもしれない。

A君:いずれにしても、この著者の研究によって、mtDNAは、母性遺伝することがほぼ確実であるということになったようです。ということで、次の話題に行きますが、それは、嫌疑その3:ミトコンドリア遺伝病なのですが、都合によって省略。そして、最後に嫌疑その4:「老化の犯人はミトコンドリアなのか」という話。

B君:老化というと、おなじみの生活習慣病、さらには、アルツハイマー病・パーキンソン病のような神経変性疾患、などなどだろうか。

A君:それもそうなのですが、もっと直接的には老化に伴う呼吸機能低下がmtDNAの突然変異に原因があるということのようです。

B君:年を取ると記憶力が衰えるのは、ミトコンドリアが犯人だという説を作るのは簡単だ。脳は、大量のATPを消費しているが、mtDNAに突然変異が蓄積されて、ATPを作り出す能力が衰える。そのため、神経細胞が徐々に死滅し、海馬や前頭葉の働きも鈍る。

A君:著者に言わせると、その説明は「美しすぎる」ようです。そして、ミトコンドリアは無罪であると主張しています。

B君:ミトコンドリアの呼吸の活性は、当然加齢とともに落ちるはず。

A君:勿論でして、0歳から97歳ぐらいまでの細胞中の呼吸酵素の活性を調べると、97歳では、もともとの活性の20%ぐらいしか残っていないことは事実。そして、それを延長すると、120歳ぐらいでゼロになる。

B君:またもや人間の究極的寿命は120歳説が登場か。知的寿命は、もっとも短いと思うのだが。

A君:しかし、その低下の原因がmtDNAの突然変異にあるのか、それとも、核DNA側に責任があるのか、という検証を行った。その結果、mtDNAに突然変異が蓄積されたとしても、正常な核DNAさえあれば、呼吸活性が低下しないことを証明してみせた。しかも、非分裂組織である脳の神経細胞でも同様の結論が得られることを証明した。

B君:それも理解しがたい話だな。mtDNAが劣化しても、なんで機能が保てるのだ。

A君:それが最後の話題でして、実は、mtDNAは、数1000個のコピーが存在していて、これらが単独に存在しているのではなくて、物質交換という相互作用を行いながら、機能しているということを証明した。

B君:核DNAは、2コピーしかないので、個人プレーをし、他のコピーは本当に予備でしかないのだが、mtDNAのように数1000個も同じものがあると、チームワークで動くということ?

A君:どうやらそのようで。呼吸機能が無くなったmtDNAの割合が90%を超さなければ、正常な残り10%がtRNAを出し続けることによって、細胞としては機能を続けることが可能だという証明が行われたようです。

B君:それは結構すごい話ではないか。

C先生:機能を保つということを実現するためには、いくつかの方法がある。核DNAは、傷ついた場合には、2本存在しているので、もう一方の情報を使って自己修復を行う。もしも、2本とも切れると、修復できる可能性は減るが、それでもなんとか持ちこたえることができる。それは、5%程度の部分しか遺伝情報を持っていないからかもしれない。一方、ミトコンドリアの場合には、やっている仕事がもともと危険業種なものだから、2本程度では、両方とも切れてしまう可能性が高い。そこで、分子量を減らし、95%程度の部分に情報を詰め込んでおいて、その代わり、そのコピーを数1000個用意しておく。もしも、傷ついたとしても、残ったコピーが働けばよい、という発想。

B君:それは、「歩兵思想」と言われる管理法。同じ機能をもった大量の人材を準備し、いつでも補給できるようにしておく。軍隊では必須の方法。

A君:自爆型のテロでも同様。消耗品を多数用意して戦う。これが実のところ極めて対処し難い方法だったりする。

B君:核DNAが採用している方法は、「エリート型」。少数の将校を厚い防御壁で守る。もしも傷ついたとしても、その治療チームを強化しておいて、なんとか生存を目指す。それと同時に、「機能を持たない影武者」を用意して、その影武者が傷ついたとしても、機能には変わりは無いという方法。

C先生:図らずも、DNAが生存を図る戦略が、両方ともイラクにおいて見ることができた(できる)戦術と同じものであるとの結論になったな。

A君:本書の提示するもう一つの結論が、実は、老化のところにもあったのですが、飛ばしてしまいました。それは、老化というものは、多細胞生物になって初めて誕生したプログラムであるということ。生殖細胞によって老化がリセットされて、次の生命が誕生する。

B君:老化というプログラムを仕込むことができた多細胞生物が結果的に地球上に生き残ったと言えるだろうから、老化できるということが種の生存競争には強力な手法なのだろう。

A君:種を継続させるという方法には、大別すれば二種類あって、個体の寿命をべらぼうに長くする方法。例えば、5000年間生きる生命を作って、そして、次の世代へと交代する。もう一つは、生殖細胞への悪影響を最小限にする仕組みを作って、個体の寿命はそこそこの長さにして老化をプログラム化しておいて、個体はこの世から消える、という方法

B君:樹木は、一般には他の生命よりも長生きだ。かれらの取っている戦術は、こんな方法か。まず、細胞が死んだ後に、物理的に耐久性の高い素材が残るような物質を選択し、表面のみで生存を続けるながら、死骸を内部に蓄積していく。そして、一本の木としての個体寿命を長く保つ。すなわち、世代交代によって、一本の木としての個体を保つ。

A君:個体というものの定義によりますね。樹木の場合には、種の存続と、木一本一本の個体の存続が似たようなものだということだけなのでは。

B君:木は、死骸を有効活用するというところがすごいところだと言いたいのだ。

A君:まあまあ。細胞の寿命を長くするという戦略をとった生命は、どうやら死滅した。そして、次への交代をスムースに行う戦略をとった生命だけが存続した。結果的に、生殖細胞を旨く活用することができたら、個体は老化して消え去れというのが多細胞生物に組み込まれたプログラムだとしています。

C先生:それはそうなのだが、この手の話が出てくると、毎回反論しているが、サケとヒトとでは話が違う。サケの親は確かに生殖を済ませると死んでしまう。子は親の顔を見ることはない。ところが、ヒトの場合、子を産み落として親が死んでしまったら、その子は生存することができない。ウマの子であれば、すぐに立ち上がって乳を探すが、ヒトの子は、そんな能力すら無い。しかも、ヒトの場合、その生存には、大脳内にそれなりの情報が詰まった状態にならない限り、不可能である。それは、ヒトが社会の中に生きるため、社会のルールを親が子に伝達することが不可欠であることを意味する。さらに言えば、親からみれば、次の世代にどのような知的情報を伝達するかという義務を負っていることを意味する。この知的情報には、子が生きる意味なども含まれるものと思われる。だから、ヒトという生物は、生殖を終えてからもかなり長い間生きることが必要不可欠。生殖を行わない場合でも、生存しつづけて、次世代に何を残すかを常に考え、実行する義務がある。

A君:著者は、種によるミトコンドリアの違いの議論をしていませんから、仕方がないのでは。

B君:ミトコンドリア・イブの話は、名前しか出てこなかった。ヒトの話は、やはり多少違った話題なのでは。ということで、ここでもお読み下さい。
http://biowonderland.com/OmoshiroBio/JapBasic13.html

C先生:まあ良い。いずれにしても、生物学や物理学、さらに天文学などを極めると、同じような死生観に到達するということの一つの証明のような本だった。著者は、がんというものも、現世代を早く終了させ、次世代への負担を減らすべく、遺伝子にセットされたプログラムなのではないか、と述べている。少々とっつき難い本だが、もしもがんばって読めば、それなりの知識・情報・哲学が得られるだろう。