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  容器包装リサイクルの政策評価 02.16.2002



 総務省なるところには、政策を評価する役割がある。容器包装リサイクルの促進などに関する政策を評価する報告書が平成15年1月に発行された。

 省庁がどんな風に政策を評価するのか、そもそも何が書かれているか、眺めてみたい。

 評価を担当したのは、総務省行政評価局 評価監視官(農林水産・環境担当)であり、評価期間は平成13年1月から平成14年12月の2年間である。


C先生:総務省の評価書が手に入った。以前、規制改革委員会の参与などをやっていた時期もあったし、また求められて、コメントをしたため、完成した報告書が送られてきたものと思われる。

A君:初めて見ましたね。このような評価書は。

B君:最近「評価ばやり」だから、は関係ないか。

C先生:今回の評価だが、まず、この政策の概要として、目標を達成するためにこんなことをやることが決まっている、とされている。
@ 消費者と事業者は、
@)容器包装の過剰な使用の抑制:減量化:リデュース
A)繰り返ししようすることが可能な容器包装の使用:リユース
によって、容器包装廃棄物の排出を抑制するように努めること。
A 消費者、市町村、事業者は、
 適切な役割分担をして、廃棄物の分別収集と再商品化を促進すること。

A君:そして、本当に容器包装廃棄物の減量と再生資源としての利用の状況が変わったかを評価することにした、とされています。

B君:書かれている日本語は、やはりお役所言葉で、一般人にはかなり読みにくいなあ。我々はかなり慣れているが。

A君:第一章として、対象とした政策の説明があって、第二章に行きます。そこでは、まず、リデュースが進んでいるかどうかの検討から記述があります。

B君:リデュースといっても、色々な観点があるが。

A君:事業者と消費者が、法と基本方針で、こんなことが決まっているということです。
@ 事業者は、薄肉化(軽量化)、簡易包装、体積縮小などをやるべし。
A 消費者は、自ら買い物袋を持参し、簡易包装のものを選択すべし。

B君:まさに投入資源量のリデュースだな。

A君:そして、結果としては、
@ 事業者は、薄肉化などを行なったものが24%。そのうち、60%は、容器包装リサイクル法がきっかけとなっている。
A 消費者の取り組みを直接的に示すデータは存在しないので調査した。全国から無作為抽出した5000名を対象に、67.2%の回収率。21%が買い物袋持参を心がけている。

C先生:どうも、消費者にそんな取り組みをすべきだということが周知徹底されているとは言えない。やはり、自分で買い物袋を持参せよ、というのなら、杉並区のようにレジ袋税のような新しい考え方を導入すべきだろう。

A君:事業者の24%が薄肉化軽量化を行なった、ということですが、どうも1500の食品製造事業者を対象に調査したようです。

B君:事業者の取り組みで、リユースは評価されていないのか。

A君:いや。ちゃんと評価されています。
@ 事業者で、法の施行後にリターナブル容器を採用した事業者が4%あった。
A 日本ガラスびん協会では、超軽量リターナブル瓶の開発に取り組んだ。
B しかし、リターナブルびんの出荷量は、39%も減少してしまった。

C先生:超軽量リターナブルびんなるものを触ってみると、本当に軽い。大体40%ぐらい軽量化されている。表面コーティングがあるから、寿命も長いようだ。

B君:出荷量の話。たしかに、リターナブルのビールびんは減っている。

A君:その理由として、次のような要因が挙げられています。
@ 消費者のライフスタイルの変化。
A 事業者がコスト面で割高だと判断している。
B 回収の機能をになってきた酒屋が減った。

B君:ライフスタイルは、どんどんと簡単・楽チンな方向に行くから、当然なんだが。それをどこかで止めないと。

C先生:それは難しい。やはり、法律などで強制的にやるか、あるいは、相当なインセンティブが無いと止まらない。

A君:社会を北欧型にするのなら、容器の種類などといった、はっきり言えば自由度があってもそれほどメリットがないものなどは、やはり自由度を制限する方向。ヨーロッパというと自由主義の国だと思うでしょうが、実は、社会民主主義が政権を持っている国も多いです。スウェーデン、フィンランド、ドイツなどですが。キリスト教民主党といった名前の与党がある国も多いですが。

B君:とは言っても、日本の社会民主主義と同じとは言えない。いずれにしても、日本は、肝心のところで自由度が無い割には、些細な規制をやろうとすると、反対勢力が多かったりする。

C先生:環境思想は、1960年代までの日本だったら、まさにすんなり受け入れられたと思う。しかし、その後、経済成長を優先した政策で実際に成長を果たし、現在は、その間で生じた歪を修正する期間と言えるだろう。方向性は、もはやドイツ、スウェーデン型に行くしかないと思うが。

A君:リターナブルびんを推奨する政策が必要だという認識もあるようで、その詳しい状況分析が行なわれています。

B君:事業者は微増、取扱量は大幅減という結論だろ。

A君:事業者は、なんと3倍増だそうで。財務省所轄が9社から19社へ、農水省所轄が20社から54社に増えています。合計すれば、28社から73社への増加。しかし、取扱量は、26%減。

B君:リターナブル優遇策は、例の自主回収認定制度が厳しく運用されているだけなのか。

C先生:自主回収認定制度の説明が必要だな。法では、自らが責任をもって回収した容器の量は、当然ながら、再商品化の義務量から差し引くことができる。実際に自分達で集めたのだから当たり前と言える。しかし、もしも90%を自主回収したと認定される場合には、回収しなかった10%についても、再商品化義務量に入れる必要がなくなる。要するに、100%回収したとみなされる訳だ。

B君:しかし、90%回収は厳しい。

A君:実質上、80%以上が回収されていると判断されて、その方法自体は、90%回収できるはずだ、という認定ができる場合には、やはり自主回収認定制度が適用されているようです。しかし、80%は必要のようで。

B君:新規参入で、いきなり80%回収するのは難しいだろう。

C先生:ということで日本生活共同組合連合会、全国びん商連合会、日本再生資源事業共同組合連合会、は、もっと基準を下げるように陳情している。

A君:実際、生活クラブ生協が平成8年度にリターナブルびんを導入しましたが、初年度は回収率が62.2%で、5年目にしてようやく80.7%になっています。東都生協は、いきなり80%ぐらいの実績を作りましたが、首都圏コープとグリーンコープは、5年たっても66%程度までしか上がらない。

C先生:その報告書のリターナブルびん優遇に関する記述が、結構微妙。「容器包装のリユースを推進するインセンティブを与える仕組みになっていない部分があるという課題の認識」を考慮にいれて、分別収集された容器包装廃棄物の円滑なリサイクルを達成するために必要な施策について、平成14年度中に検討することになっている。

B君:果たして平成14年中にどのような検討がなされているのだろうか。期待して待とう。

A君:そして報告書は、リサイクルの進展についての話題に移って行きます。これ以降は、色々と報告されていますが、どうします。

C先生:ほんの概要でまとめよう。

A君:まず、容器の分別収集をやっている市町村数ですが、人口カバー率での表現ですが、ガラス容器が93%、スチール缶が97.3%、アルミ缶が97.4%、ペットボトルも91.8%。低いものでは、紙パックが70.9%、その他プラスチックが43.6%。

B君:それでも、カバー率の向上は驚くべきものだ。ペットボトルは、平成9年には、41.8%しかなかったのだから。

A君:消費者の意識調査ですが、「次のリサイクル品で、仮に、価格、品質、デザインなどが新品と同等であれば、買ってもよいと思うものはどれですか」、という問いに対して、
 *トイレットペーパー   83.4%
 *ボールペン       73.0%
 *ティッシュペーパー   71.6%
あたりはまあまあ。しかしもっと高くても良いと思いますが。

B君:もっと当然高いかと思っていた。まだバージン信仰が強いのだけど、その理由は何なのだろう。

A君:低いものの例としては、
 *コップ         39.3%
 *紙皿          38.3%
 *ワイシャツ       26.0%
 *ぬいぐるみ       24.3%

B君:コップはちょっと意外だ。ガラスなんだから、再生品だって新品と全く変わらないが。ぬいぐるみが低いのは、子供重視の母親が多いから、分かるような気もするが。

A君:話題が変わって、排出量の減少しているかどうか。平成9年から12年の変化です。単位は万トン。
 ガラスびん   82.0万トン → 51.1万トン
 スチール缶   31.4万トン → 18.0万トン
 アルミ缶    9.0万トン  → 6.4万トン
以上が減少したもの。
 ペットボトル  14.4万トン → 18.2万トン とやや増加
 紙パック    13.6万トン → 14.2万トン 横ばい

C先生:紙パックのリサイクル率が低いのが気になるところ。9%から若干増加したものの、まだ13%に留まっている。

A君:そして、最後に総務省の見解が出ています。
@リターナブルびんについては、@)リターナブルの利点を消費者に示すこと、A)リターナブルの使用を事業者にとって有利にすること。
Aリサイクルについて、市町村はより多くが取り組むことを期待。リサイクル商品の販売については、衣料品などについては消費者が買わないという制約があるが、技術的な開発によって克服すべき。
Bリサイクル費用については、市町村の費用負担のデータが無いので、拡大製造者責任の議論ができない状態である。データの充実が必須。

B君:まあ妥当だ。Aは、価格的にどうしても高くなるものは、なんらかの経済的インセンティブを作るべきだ。バージン資源に対する課税が良いと思うが。

C先生:リサイクル費用をもっと正確に出して、消費者→事業者→処理費用という直接的な費用負担ルートをもっと増額すべきだ。市町村が負担しているリサイクル費用を消費者に直接見える形にしないと、リデュースの実現は無理だろう。

A君:いずれにしても、この報告書は、リサイクルに関心のある人には、良い参考書になりますね。

B君:どこかで入手可能なのだろうか。

C先生:調べたら、http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/030117_3_01.htmlからダウンロードが可能だ。